FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年12月2日放送

伊勢市神社港。江戸時代から昭和30年代にかけて、ここは伊勢の港町として栄えてきました。
今回は『NPO法人 神社みなとまち再生グループ』の中村清さんがお客様。
かつての賑わいをお聞きします。

参宮と呼ばれる船で伊勢に来るお客様をこの港でお迎えした

船で伊勢に入る人たち。
目的は荷物を持ってくることだけれど、内宮・外宮の参拝に季節的に来る、入り口というか、玄関口です。
名前そのものも神社(かみやしろ)町ではなく、わざわざその当時の住人の人たちの代表は『神社港』にしてくれというので、当時は三重県ではなく度会県だったんだけど、そういうところへ願い出て、もうすでに私とこの店屋も、商売している名前はもう全部『伊勢神社港』ということで、得意先に出しとるんで、町の名前もそうしてくれということで、『神社港』ができたと、私たちは聞いています。
町の仲全体が船で入るお客さんのために、八百屋さんはもちろん、魚屋さん、食堂、鰻屋、寿司屋、旅館、料理屋さん、一時は遊郭もありました。
ここに来たら食と遊びとなんでもできるという感じの町でした。
それが今では、見ての通り何もなくなりました。
その原因は船が入らなくなったからです。
電車やバスなど、陸上の交通の発達したことで、ピタッと。
商売していた人たちも、お客さんが全然来なくなったのでやめました。
それではなかなか生活できないので、よそに転居して。
現時点では空き地と空き家が増えているのが現状ですね。

 

のことについて歴史を調べたり、祭りを港でできるように取り組んできた

まちづくりをしないことにはと、はじめはみなさんにボランティアで協力してもらいました。
資金なんかありませんよ。
しかし組織としてそういうことをするためには、まず住民に啓蒙する必要があります。
まつりのときに、まつりも町中でしているのを港へ持っていくとか、そういうことを是非してほしいと自治会長さんにお願いしました。
みなさんの中にも郷土史を勉強している人がいましたから、本当にどういう時代背景があって神社港が発展してきたのか、資料も集めてみなさんにも勉強してもらって『港勉強会』もはじめました。
現在も、実際は勉強会というよりも、あれをしようとかこれをしようとかいうのが、現在残っている活動状況です。

 

0年ぶりにおんべ鯛奉納行事を復活させた

神社港のまちおこしとして、平成10年には、愛知県の篠島のみなさんと協力して、篠島の鯛を神宮へ奉納する『おんべ鯛奉納』を復活させました。
漁船を迎えるは神社港です。

実際にターミナルもなくなって、海上アクセスがなくなった今となっても、ヨットが入ったり、NPOが愛知県の篠島から呼んできたというか。
昔から漁師さんがお伊勢参りに来たと。
それを現在もやっているというので、その漁船を1年に1度、10月12日に『おんべ鯛行事』として、これも15年以上になります。
船参宮の原型を取り戻したいということで、現在しているんですけど。
篠島の場合は朝入って行きて、昼には帰ってしまうもんで、本当に1年間の町を賑わすものではないので、他にもないのか…これからの課題ですね。
私らも周りを見ても、四日市や鳥羽に来る豪華客船がありますから、あれを伊勢に呼んだらいいんですよ。
その船から乗り換えて、ここまで入ってくれたら。
これは是非取り組んでもらいたい、港を使う、人を呼び込む方策だと思いますけどね。

 

みずきを使ってこれからの神社港の観光を考える

港や船を使って新しい伊勢の観光を考える。
海の玄関口としてできることから取り組みを始めました。

私とこの『みずき』も木造船で15年ほど稼働しましたが、腐ってきていますので、もう近いうちに廃船となります。
『みずき2世』というFRPの船をこしらえました。
それが今もここの活動の一つとして、やっていますけど。
その船が『勢田川観光交流塾』的な関係先がありまして、いまでも『みずき』の運行は1世も2世もかかわらず、ここを出て二軒茶屋、河崎と。
できれば私としては河崎からもうちょっと上流の、橋を7つくらい越えたところの『小田の橋』というところまで、わりと浚渫されていますもんで、それくらいまで運行できるような形に作りました。
古い船を買って、NPOだけの資金でやるだけなので、うんと縮小しました。
前の『みずき』は20人乗れましたが、今回のは10人しか乗れません。
それをなんとか新しい理事長にお願いして運行形態を変えて、他所の人が来ても何回でも乗りたいと、伊勢の町を近くに見て、橋もくぐって、昔の古市街道と言うんですか、小田の橋の裏で降りるとか、乗るとか、そんな風になれば良いのではないかと思っています。

港があるということが、私たちのまちづくりの原点だと思いますので、伊勢の人たちに、この地域は海の玄関口だという認識をしてもらい、いろいろな方策やビジョンを作っていただきたいと思いますね。