FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年12月30日放送

明野高校生産科学科作物部門。
ここで学ぶ生徒が作ったお米とお酒が今年もおいしく出来上がりました。
今日は、そのお話。
3年生の宮西翔太君と北川隆斗君、仲世古柊風君に授業のことを紹介していただきます。

や玉ねぎ、サツマイモを作っている、農機に興味があった

宮西 祖父がお米を作っていたので、それを継ぐために作物専攻を選びました。
お米づくりのノウハウを学んで、継ぐときになったらその知識を活かし、米作りを円滑に進めたいと思っています。
実習が主で、座学で先生の話を聞くだけではわからないようなことが実習では学べると思うので、個人的には実習のほうが大事だと考えています。
お米の他にもさつまいもや玉ねぎを作っています。
近くに幼稚園があるので、園児とお芋掘りイベントをしたりしています。
その他にも作物専攻は『農福連携』として、地元の就労施設の人たちとお芋を掘るイベントもあるので、作物を通じて地域との交流を深めていくことができます。
作物専攻科として、とても良い体験ができていると思います。

北川 もともと家が農家で、農業機械などに親しみがあったので、機械を自分で運転してみたいとか、仕組みを知りたいとの思いから、農業機械に触れることが多い作物専攻を選びました。
まずは草刈り機ですね。
小さな頃は危ないので触らせてもらえませんでしたが、高校生になって先生の管轄下で使えるようになりました。
エンジンオイルを混ぜるところから見せてもらって、自分でも少しやらせてもらったり。
そういうところから機械を見ることができるので、とてもおもしろいなと思いました。
運転するのにお気に入りはトラクター。
他の自動車にないような見た目であったり、後ろに積んだロータリーを回しながら進む振動であったり、後ろで水を待っているカラスを見ながら運転するのが楽しいです。

 

うるち米(結びの神)は1等米 最上位の米ができた

仲世古 うるち米の『結びの神』、もち米の『あゆみもち』と酒米の『弓形穂』の3種類を栽培しています。
特に酒米の『弓形穂』は精米して、そこから日本酒にする製造も行っています。
自分たちが収穫した酒米を精米し、精米したものを『河武醸造』さんに持って行って、お米を蒸して、そこからまた冷やして固形状にした米を水や麹や酵母が入ったタンクに入れて混ぜます。
そこまでの作業をさせていただきまして、その後は製造過程の見学をさせていただきました。
今年は夏の暑さのせいで、うるち米が二等米・三等米が多くなったと話を聞きましたが、僕たちが育てている『結びの神』は高温糖熟成といって、暑さによって生まれる未白熟粒が少なくなって糖熟米が高いため、一等米という一番最上位の格付けとなりました。
夏休みは収穫シーズンですが、GAPといって労働安全・環境保全・食品安全という3つの観点から生産者が自ら、生産工程を管理するという認証がありまして、その項目は200以上あります。
その項目をクリアするのが大変でした。

 

習は生徒たちが大きく成長する

西恭平先生 農業高校ならではだと思いますが、実習が入ってきます。
座学だけでは学べない部分ですとか、身体全体で覚えることができるので、そういったところがしっかり吸収しやすい部分だと思います。
もちろん最低限のルールや操作方法は教えますが、それ以上に体感してもらって、なるべく機械を触ったり、実習をする…とそういった部分に重きを置いています。
やりながら覚えていて行ってもらうということに充填を置いています。
一貫して、1次産業から2次産業、3次産業ということで、今の社会の農業に対する取り組みにも会っていると思います。
農業単体。1次産業だけで儲けようと思うと、どうしても大規模にやっていくという方法しかありません。
しかし日本は小さな土地が点々としていますので、そういった部分でもいろいろな商品を作って利益を出すという、マルチな考え方に落とし込んでもらいたいと思っています。
この子たちは年間を通じて、そういったことを学んでもらえたと思います。
体験・実習はいろいろな企業さんに協力していただいています。
販売に出たりすることもそうです。
そのことによって、大人と関わる機会が出てきますので、生徒の成長には一番の大きな部分かなと考えています。

 

米もお酒も、ほぼ完売になった。毎年、生徒の雰囲気が違うのでそれも楽しみ

『みよしや酒店』の店主、杉浦孝彦さん 『結びの神』、いわゆる飯米を、うちの方で一手に販売させていただいています。
そしてまた純米吟醸酒『AKENO SAKUMOTSU 』をうちが販売させてもらっているという形で、携わらせてもらっています。
『結びの神』を一度食べた方は間違いなくリピータになってくださり、『来年は玄米で30kg』などの注文をいただいています。
9月の中頃に販売をはじめてから約3tは、ほぼ完売という形です。
残っているものも販売先がすでに決まっているので、実質完売です。
酒米の『弓形穂』は子どもたちが暑い中田植えをしたり世話をしたり、収穫をしてくれました。
それを河武醸造さんがお酒にしてくれる、ということで、子どもたちが日本の伝統文化の日本酒を体験することができました。
おそらく20歳を過ぎたら日本酒を飲む機会も多くなると思いますが、「自分は高校時代にお酒を作ったんだよ」なんて話しながらワイワイお酒を飲んでもらいたいな、と思います。
ウチは小売屋になんですが、この酒に関しては『みよしや酒店』が卸し免許を持っていまして、ウチから地元の酒屋さんだけに卸し販売しています。
1.8lで約200本、720mlで1200本予定でしたが、1.8lはもう完売しました。
720mlがあと少し残っているだけです。
年内には完売になると思います。
毎年毎年、3年生の生徒と関わらせてもらっていますが、子どもたちの雰囲気がその年年によって違うんですね。
楽しいです。
ウチが売らせてもらっている間は、生徒たちを応援して、暑い時期は冷たいものを差し入れしたり、これからも付き合っていきたいと思います。

宮西 農業は、本当にやり甲斐があって、とても素晴らしい職業だと、明野高校の座学や実習を通して学ぶことができたと、僕は思っています。