FM三重「ウィークエンドカフェ」2012年12月8日放送

今回のお客様は、志摩自然学校の校長、生賀照夫さん。
ここは夕日がとってもきれいで、仕事終わりにバルコニーから見る景色は最高ですよ!と話してくれました。
大王町ともやま公園からの夕日、英虞湾のカヌーツーリング、波切の町歩き。
あれもこれも楽しみたい!
さあ、みなさんはどのプログラムを選びますか?

■40歳で京都から三重に移住!

僕は15年前、40歳の時に田舎暮らしを求めて、京都から移住してきました。
僕が幼い頃、父は鎌やクワなどの農機具の販売をしていまして、車に農機具を積んで、全国の農協に行っていたんです。
子どもの頃の僕も一緒に付いて行って、父が仕事をしている間は、田んぼで遊んだり、小川でザリガニを釣ってたり・・・。
そりゃ楽しかったですよ。
そういう幼少体験を、どこかで引きずっているんでしょうね。

大人になっても、自然に接した仕事をしたいという思いがあり、京都の町の中で自然に接した仕事・・・ということで、八百屋さんというか自然食品のお店を始めました。
そして商売している中で、三重の海産物を扱っていたため、京都と三重を行き来していたわけです。

自分の中ではそれでも、もっと自然と隣合わせの仕事がしたいなあ、という気持ちがずっとあって。
小さな頃からの夢、というか思いです。

40歳で夢を実現するにあたって、その頃ちょうど『田舎暮らし』のブームがありまして、丹後半島に住むという話があがったんです。
そちらには友人もいたので何度か行って、海に潜って遊んでいて、丹後半島で暮らそうかな、と思い始めていました。

が、機会があり、たまたま伊勢志摩の海に潜ったら・・・まったく違うんですよ、豊かさが!

土地の人に話を聞くと、志摩は何百年という海女さんの歴史があり、海女さんが日本一多い場所だと。
ということは、それだけ豊かな自然があるということなんですね。
シュノーケルを付けて浮いているだけで、浮遊体験というか、本当に浮いているようでした。
海の中をみると下に海中林・・・海の中に森があってね、
そんな風にクラゲみたいにポカーンと浮いているのが、すごい幸せな気持ちになったんです。

海を見て「田舎暮らしするならここやな」と決めました。
ここなら生きていけるベースがあるんだな、という風に感じたんです。



■観光と漁業の共存を目指して

このあたりでは30年前からキャンプ場とか、『ともやま公園』など自然と触れ合う施設があったそうなんですね。
8年前に志摩市に合併し、その半年後の平成17年6月11日に、ここ『志摩自然学校』ができました。
『志摩自然学校』は、従来の志摩の観光、風景を楽しむ『風景観光』や特産品を使った食事やスペイン村・・・そこにプラスアルファして、『自然体験』というものを提供して、お客さんに楽しんでもらうため、志摩市の事業として作られた施設なんです。

今はおよそ12の体験プログラムがあり、春・夏に集中しています。
水辺で遊ぶプログラムもいくつかある中で、一番人気なのはシーカヤック。
英虞湾は内湾の静水面なので、カヌーに向いているのですが、ここまで受けるとは思いませんでした。
しかし、今だからこれだけ受け入れられたんでしょうね。
おそらく、10年、15年前だと、まだ真珠の養殖が盛んで、海で実際に仕事をしている人がたくさんいたはずです。
それだとカヌーは迷惑になるので、無理だったでしょう。
今は真珠養殖が少なくなって、養殖用のイカダも減っているので、カヌーの通るスペースも充分空いているわけです。

こうなったら、英虞湾一面をカヌーで埋めたいですね!
・・・いやいや、これは言い過ぎで、漁業者さんと共存できたらいいなあ、と思っています。
町づくりの観点からも、一次産業を元気にするか、観光産業を盛んにするか・・・その両方で進めていかなきゃなりません。
我々観光産業の方でお客様をもっと呼べば、一次産業の需要も増えますよね。
お互いに理解を深めて、持ちつ持たれつでやっていけるのが理想です。



■大人気の『ウォーターボール』

『ウォーターボール』は、透明の大きなボールです。
水に浮かべて中に人が入って、くるくる回りながら楽しめるんです。
夏に乗りたがる人が多いんですが、大変ですよ。
日中は暑くて、中が50度を越えるので、熱中症になってしまいます!
夕方でも空気の入れ変わる5時以降でないと入れないので、夏場は昼間やっていません。

『ウォーターボール』がオススメなのは冬です。
締め切っているので寒くないし、透明度も上がるし、ひなたぼっこのポカポカ感もありますし。
寝てもらうと、まさにウォーターベットの世界!
厚さ0.5mmのビニールなので、まさに海の上に浮かんでいるような感じです。
服装もそのままで良いし、一度にに3人入れるので、家族や友だち同士で・・・カップルにももってこいですよ(笑)

海の遊びといえば夏、早くても春と思われるので、そのためにも冬に楽しめる『ウォーターボール』がいいな、と。
もともと琵琶湖でしかやっていなかったのを、こちらでも始めさせてもらったんです。



■真珠養殖の作業場を、文化的な工房に!

『志摩自然学校』には年間7000人ほどの人が訪れ、志摩の自然に触れています。
中には、この自然に魅了され、志摩でずっと暮らしたいという僕みたいな人もいます。
そんな人たちに向けて、僕には考えがあるんです。

まずは『志摩自然学校』を、ワークショップなどを行う文化村にしたいですね。
自然の濃いところで文化的な体験をするというのは、街の中やビルの中より、もっと吸収力が良いので、幸せ度が高いと思います。
いろいろな出会いもあるでしょうし。
また、そういうことを続けていれば、文化的な人も集まってくるのではと考えています。

そしてもう一つ。
英虞湾の入江に真珠の養殖工場がたくさんあるのですが、真珠養殖が衰退しているため、空きが増えている状態なんです。
そういうところに文化人に住んでもらったり、工房を持ってもらったり、そこでいろいろな体験ができるようにしたいんです。
その工房までは、カヌーで移動するんです。
楽しいでしょう。

自然ばかりに特化すると大変なので、文化的な人との交流を盛んにすることで、英虞湾を自然だけでなく『文化』をテーマに集客ができると思います。
癒し効果のある水辺で文化的なことをするっていうのは、かなり魅力的ですよね。

養殖工場は、車で降りていけるように環境も整備されていて、電気も来ています。
だから、ハード的なものはそんなに難しいものはいりません。
「新しい町づくり」みたいなのに、夢を持っていますよ、僕は。

カヌーでめぐった先に、カフェがあったりヨガができたり、工房で作品を作ったり、絵が飾られていたり、いろんなギャラリーがあったり・・・いいですよね。

それから、里海は、四季を通して楽しめるんです。
冬には青さのりの養殖で、入江が緑の絨毯になったり・・・と。
一年を通して、みなさんに来て、観て、楽しんで欲しいですね。