FM三重『ウィークエンドカフェ』2024年1月20日放送

名張の住宅街の中、1年に1回レコードコンサートが行われています。
今回は『テクノ鴻之台店』の的場敏訓さんがお客様。
的場さんの小さな頃から周りには音楽が溢れていました。

親が経営していた電気屋さんにはレコードがたくさんあった。

もともと、先代が電気屋さんでした。街の電気屋さんなんですけど、やっぱり先代が音楽を好きだったんでしょうね。
エレキギターやレコード、当時珍しいような日本のブランドオーディオを置いていました。
売れたかどうかはわからないですけども。
いろんなレコード会社から無料でくれるサンプル版というレコードがうちの応接間にたくさんあって、小学生の頃からそれを聞いてたわけです。
最初はクラシックもあったけど、小学校の頃はやっぱり映画音楽!
そこからポピュラー音楽になって、中学校1年からはほぼほぼロック。
おそらく中学時代に200〜300枚はレコードを持ってました。
ご近所の方はみんな聞きに来ていましたね。
高校1年ぐらいからジャズを聞き始めて、大学行く頃にはものすごい数のレコードがありました。
私は自分がプレーするっていうよりは、ミュージシャンの音楽を聞いてその良さを感じながら、
例えば「A人とBというミュージシャンが一緒になったらどういう化学反応になるかな」など、プロデュースする方に興味がいきました。
それが社会人になって、ジャズフェスティバルとかに繋がったのかなと思います。

域の文化を作るためやりたいことをやってきた。

芸事が好き!
音楽もですけど、同じぐらい本が好き、文学が好きで、同じぐらい映画も絵も好きで、お芝居も好き!
結局ね、芸術っていうのは繋がってるんです。
音楽一つとっても、ジャズが一番、結果的に多いし、何かとはっていうとジャズみたいなイメージがおありの方多いんですけどそうじゃなくってオペラも聞くし民族音楽もロックもブルースもフォークもゴスペルも大好き!
ジャズでも面白くないのもありますからね。
レコードも6000枚、多いときは1万枚ぐらいあったと思いますけど、私は収集家じゃないんです。
音楽は聞いてなんぼですよ。

音響機器でも一緒なんですけども、高いものを買ったからいいっていうことではなくて、
道具としてどういうふうにして音楽を聞けるようになるかということが大事。
今後の人生でどれだけレコードを聞けるかわからないですけども、とにかく聞き倒しています。
芸術含めて文化カルチャーって言ったら、人の生活から始まるわけですよ。
宗教であるとか、地域性・民族全て含めて「地域の文化」っというのが起こる。
例えば、ブラジル音楽というのは地元の民族、それから西アフリカから連れてこられた黒人の方々のリズム音楽というのがミクスチャーされて出来ています。
だから文化って、そういうところから始まって、音楽っていうのは結局そういう文化のせめぎ合いみたいなところがある。
だから音楽が好きになると、当然、その文化とか、地域性であるとかに興味を持つようになるんですよね。

楽は新しくできたものの積み重ね。一番好きだったジャズのイベント開催。

音楽なんて結局、新しくできたものの積み重ねになってるわけじゃないですか。
鴨長明の時にできた音楽が、今はエレキギターになってるわけでしょう。
だから新しいものが古くなって繰り返されるわけですから、当然何かやろうという話ですよね。
一番好きだったジャズで最初にやりました。
ジャズやっていくと、その音楽もですけれどミュージシャンの人柄みたいなものにすごく惹かれるところがあります。
彼らは金儲けじゃなくて本当に音楽が好きで、インプロビゼーションという即興演奏が好きでプレーするんですよね。
だから、そういうところから音楽っていうのは本質的に生まれるのかなって思いましたね。
やりたいからやってるわけですよ。
ただやる限りは、一流というか、とにかく誰が聞いても「やっぱりいい!」っていうものをやらないと意味ないんですよ。
だから、そこを判断するのは第三者的な自分の持ってる感覚かも。
その感覚だけはいろんなことを含めて養っていこうということを常日頃から思ってます。
これは別に音楽に限らないですよね。

音響機器でも一緒ですけども、高いものがいいわけじゃないんです。
皆さんの服装も一緒じゃないですか。いくら100万のスーツ着てても、足がサンダルだったらおかしいですよね。
だけど、ジーパンはいてて、サンダルでTシャツだったらかっこいいじゃないですか。
だから全部バランスなんです。音楽も音響機器も全部バランスですよね。

ナログは1本の線でつながっている。レコードは歌い手の思いが伝わってくる。

アナログプレーヤーって、レコードの針をわざわざレコードをターンテーブルに乗せて針を落として聞くわけですよ。
また20分ぐらいしたら針を上げて、レコードを裏返してまたB面って裏面聞くわけですよね。
それだけの時間というか心の余裕を持ってくれたら、アナログは、ものすごく、自分にとって生活に潤いを与えるようないいものになると思います。
私は70年代に青春時代を過ごしました。その頃は物が結構増えたわけですよ。
その中の一つがオーディオ装置であったり、ちっちゃいね自分の部屋で見られるようなテレビであったり。
そういう時代に育ってますので、やっぱりレコードを聞いたときの楽しみがあって。
アメリカからレコード盤っていうのが来て、自分が知らない国とか生活の匂いがする。
それに憧れるであるとか、当時の我々の子ども時代っていうのは、そういう本当にささやかだけどいい思い出っていうのが詰まってたように思うんです。
その象徴がアナログレコードなんですよ。

アナログというのは1本の線で繋がってて、聞き比べたらわかります。
演奏側の想いがレコードを通して伝わってくる。だから同じ曲聞いててもね、違います。
それを感じ取ってもらえるような装置なので、ぜひ今の若い方たちにね、いい音楽・いい音も味わってほしいし。
レコードっていうのは失敗してもいい、まず自分の小遣いで、1枚レコードを買うことがいいんですよ。
そうするそこで当たり外れとか出てくるんですけど、失敗したらまた次どうしようかなって考えて勉強するんです。
本を読んだり資料で調べるんですよ。それがないと育ちませんよ文化なんて。
ぜひね、皆さんに知ってほしい。

今日かけたレコードの音はね、明日聞けません。
一度これがこの空間に流れるとね、もう次同じ音じゃないんですよ。
一期一会でね、レコードもね、いいと思います。