FM三重『ウィークエンドカフェ』2024年2月24日放送

その昔、一志郡八知村で採れたこんにゃく芋は「八知玉」と呼ばれていました。粘りが強くおいしいこんにゃくができます。 その昔ながらの製法でこんにゃくを作っている藤田てい子さんがお客様。 若い人たちにこんにゃくのおいしさを知ってもらうため、新しいメニュー作りにも取り組んでいます。

化祭のバザーでたくさん売れていたので作ってみようかなと思った

私の生まれたところがこの山の向こうなんやけど、この辺は自分とこでイモを作ってたというか、畑にありました。お正月前はどこの家庭でも自分とこでこんにゃくを作る文化があったんです。やっぱりこんにゃくは美味しいし、全然市販のと違うし。
私のきっかけは、年に1回開催される文化祭で“バーゲン”みたいに主婦の方が丸いのや四角いこんにゃくが入った袋を取り合いして買っているのを見たこと。私の義理母の兄弟がコンニャクイモを畑で作っていて、彼らに「こんにゃくってこんなに売れるんかな、そんな魅力あるんかな。」って聞きました。そしたら、こんにゃくを作る人はそんなにおらへんから、あんた作りってって言われて。お正月前にたてうすでペタペタとお餅つきますよね。お餅をついた後で、そのたてうすで自分とこの食べ用のこんにゃくをついたっていうのが私の記憶。こんにゃくをたてうすで作るのは大変なことやわと思ったんです。そしたら、そのおばさんが今ミキサーでできるよって教えてくれて。

 

動販売から、イベント出店、そしておかげ横丁へ出店

こんにゃくの出来たのが五つ六つあったんです。「それを全部くれ、俺が売ってくる。」と言ってもらって。嘘、と思ったけど持って行ってもらったら半時間もせんうちに「あれ売れたぞ!明日どれだけできるか?」と。えっ!そうなんやみたいな感じがきっかけ。今振り返ってみるといろんな人、この村の人のの助けがありました。
役場と農協さんが四日市近鉄百貨店に草餅を宣伝するのに行ってるから、あんたの作ったこんにゃくを持って行きって言われて。それで、売りに行ったら、1時間もせんうちに売れて!!これってやっぱり売れるんやみたいに感じました。1年ぐらいしたときに、ちょうど“伊勢のおかげ横丁”をするチームの人がいろんな商品を探してたみたいで。興味深そうにしてくれて、おかげ横丁をするから1店舗しませんかみたいな感じでお声がけしてもらいました。補給所さんにいろいろ協力してもらって、したい人2、3軒でグループを作ろうと。三杉こんにゃく生産組合を作って、そこでおかげ横丁に行こうかみたいな感じになりました。私もそんなんかなわんわって言っていたけど、結局また来てくれて。今度は役場に来てくれて。本当の最後にしぶしぶ「はい」みたいな感じで掲載してもらいました。みんな行くんかなと思ったら、みんな辞めてしまって。 結局、うち一軒になっていました。

 

山高校へ教えに行き、ミラノ万博の時はイタリアから調理人が視察に来た
1年に1回、白山高校でこんにゃく作り教室っていう授業あるんです。それに行くんですけども、私も40年も経っとるもんで、こんにゃく作りもやけど、今はちょっと食べ方を工夫しています。いろんな食べ方があればそれだけ売れるかなと思ったりして。おかげ横丁でこんにゃくラーメンがすごいヒット!!うちで作った糸こんに豚骨スープ。あれもすごく嬉しかったです。
ここにもミラノ万博があった時に、イタリアやフランスのシェフの方が来てくれて。外国ではこんにゃく食べる習慣がなく、日本が一番こんにゃくを食べていると話してくれました。こんにゃくは体に良いということですごい興味を持ってもらいました。それでいろいろ献立を考えました。こんにゃくの巻きずし、こんにゃくの天ぷら、味つけて売ったりとか。こんにゃく羊羹を息子が作ったり、こんにゃくドーナツなどいろいろなものができるんですよ。こんにゃくって作るのはお味噌をつけたり、お刺身で食べたり、おでんにするぐらいしかない。それに、こんにゃくは水っぽいから、天ぷらにしか油が飛んでできないというのがあったけど、それもならへんし、美味しいし。味つけて天ぷらにして、高校生に食べてもらったら「めっちゃ美味しいわ!」って言ってくれました。

 

本人の器用さからこんにゃくが生まれている

東南アジアが原産地なんです。そこから中国に流れて、中国から日本に。日本に渡ってきたのは縄文時代です。こういう歴史の流れがあるんやなって。『こんにゃく』にして今食べてるのは、日本人の一番素晴らしいところ。深い奥深い!!世界には100種類ほどあるんです。その中で食べれるのはごくわずか。そのわずかを今、日本人が食べている。この辺は、昔、傾斜面だったところはみなイモも作っていました。今でこそ年寄りしかおらへんから、作る人おらへん。そういうとこで採れた芋が粘って美味しいんだって。
年末はイベントがあるから忙しいです。いろいろなお祭りに呼んでもらうんで、出させてもらっています。そしたら、こんにゃくを買いに来てもらえるし。こんにゃくを細く切って、味付けた『こんにゃくの巻きずし』がすごい今人気あるんです。いっぺん食べてみてください。私ももう歳。今度は息子に任せてます。息子がこんにゃく羊羹とか今いろいろやっているので、それを繋いでいってくれたらいいな。きっかけと人の出会いが、やっぱり人生って大事だと思います。

 

歩みを止めない。 前へ前へと進んでいく。 その先に実り豊かな人生がある。