三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2013年1月13日放送

尾鷲漁協や三重水産協議会が協力し、尾鷲で漁業就労を目指す人を対象に『漁師塾』を開催!
1ヶ月間の研修期間で、座学はもちろん、定置網漁、刺網漁、一本釣りなど、実際の漁業も体験します!

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尾鷲市の漁師町、早田町。
尾鷲漁協や三重水産協議会が協力し、尾鷲で漁業就労を目指す人を対象に昨年10月から約1ヶ月間、『早田漁師塾』が開催されました。

塾生は2人。
漁師と同じ生活を送り、様々な漁業の実習・研修を受けました。

『早田漁師塾』の講師は地元の漁師たち。
定置網漁、刺網漁、一本釣り、それぞれの専門の漁師が、マンツーマンで2人の塾生に指導を行いました。


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実際に海に出ての漁業体験だけではなく、漁業の仕組みやルールなどを学ぶ座学も。
全国的にも珍しい、1ヶ月という期間の漁業研修。
地域で働き、暮らし、そして、地域の人と接してもらうことによって、漁村の生活を肌で感じてもらい、次の漁業の担い手に育てていこうという取り組みです。


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尾鷲漁協、仲本政史さんに、『早田漁師塾』を企画・実施した理由をお聞きしました。

仲本「どこの場所でもそうですが、漁師の高齢化と後継者不足で漁師のなり手がないのが現状です。
今回の漁師塾は、漁業の担い手を育てるために開催しました」

地域の基幹産業である漁業の担い手を育てるために開かれた、今回の漁師塾。
初の塾生となった2人は、どんな思いでここに来たのでしょうか。


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愛知県豊田市在住の30歳、吉田元治さん。

吉田「やはり2~3日の短期だとわからないことが多いと思い、長期ということでここに来ました。大変なこともありますが、楽しいし地域のみなさんも良くしてくれるています。何より魚が美味しいですね(笑)」


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大阪府在住の17歳、木村達也さん。

木村「一昨年、宮崎にある漁業の専門学校に行っていたのですが、卒業してどうしようかなと思っていたところです。1ヶ月間の研修というのは長く、それだけ充実しているので良いですね」


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こちらは刺網漁の実習。
この日は講師である漁師さんの網さばき、仕掛け方を見て学びます。


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小型定置網の網上げ実習では、魚が上がると、その都度種類を教えてもらいます。
この日はわずかな水揚げしかありませんでしたが、現実を目の当りにするのも研修のうちです。


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魚のさばき方も大事な勉強のひとつ。
その理由を、尾鷲漁協常務理事の岩本芳和さんにお聞きしました。

岩本「自分で獲ってきた魚は自分でさばいて自分で美味しく食べる。
漁村に住んだら、ある程度自分で魚をさばくことが出来ないといけないでしょう」


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2人が1ヶ月間暮らしている住まい。
基本は自炊。
洗濯や掃除も、自分たちでやらなくてはなりません。


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この日は、午前2時に起床し、実習スタート。
前日に仕掛けた刺網の網上げ作業です。
そして、網には伊勢海老の姿が!
大漁のようですね。


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港へ戻ると、網を片付けながら、獲れた伊勢海老を外していく作業。
休む間もありません。
網に絡んだ伊勢海老を外すのは、なかなか大変。
ツノや足を傷つけると商品価値が下がるため、スピードだけではなく、慎重さも求められます。
こうして仕掛けから水揚げまで、ひとつの漁が終わりました。

後継者の育成は、まだまだ続きます。


しかし、尾鷲漁協の、漁業の未来を作る取り組みは、これだけではありません。
それは『員外船』と呼ばれる、組合員以外の漁船に対する水揚げの誘致。
その結果、これまでほとんど見られなかったマグロやカジキの水揚げが相次いでいます。

市場を活性化させ、地域を盛り上げ、そして、大きな市場を作る。
これがまた、次の水揚げにつながり、好循環を生み出すのです。


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尾鷲漁協組合長、長野規一さん

「尾鷲の町はカツオとマグロが揚がると活気づく。そして、石油・氷・トラック・食料が動くことで、市も活気づくと思います。
次の後継者・若者が少ない中でも、自分がマグロ船に乗ろう、という人が出て来て欲しいですね。
まだ『復活』にはほど遠いけれど、みなさん、注目して協力してくれています」

後継者を育てる。
新たな水揚げを生み出す。
そして、漁業で地域のゲンキを作り出す。
その取り組みは、今、始まったばかりです。