FM三重「ウィークエンドカフェ」2013年1月19日放送

今回のお客様は『尾鷲観光物産協会』の事務局長、河中希帆子さん。
河中さんは伊勢のご出身で、尾鷲に住んで9ヶ月。
以前は旅行会社の営業のお仕事をしていました。
その経験を活かしながら、尾鷲を訪れる方への観光発信を行なっています。
この場所は、河中さんにとって意味ある場所。

いろんなご縁を感じて、今、ここに生きています。

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■伊勢と尾鷲をつなげる使命!

尾鷲市さんから『尾鷲観光物産協会』のお話をいただいたのが、ちょうど、40歳という節目の時でした。
一方、私の名前『希帆子(きほこ)』というのは、亡くなった父親が付けてくれた、ちょっと珍しい名前で、希望の『希』に船の『帆』が出る、という意味。
自分の名前を考えるたびに、『帆』という漢字を持ちつつも、これまでの人生で海に関わりがないな、と思っていたんです。

そこで今回、お話をいただいた時に、年齢的な節目と、「あ、私は尾鷲から、自分が旅立っていくのか」と感じたんです。
海に向かってというか、太平洋に向かっていくというかな・・・ただそれだけで、なるほど、と感じ、尾鷲に来てしまいました。
なんというか、ここが自分の居場所というか、導かれた道かな、と。

高速道路が尾鷲まで伸びて、伊勢神宮の式年遷宮もあって、世界遺産登録10週年があって。
伊勢から尾鷲に人の流れをこちらに呼ぶ、という流れの中で、私という存在があるのかな、と。
というのも、私は伊勢出身で、伊勢駅前の外宮さんのすぐ近くに家があるんです。
外宮で子どもの頃から遊んでいた私だから、伊勢から尾鷲に人を繋がせる役を得たような気がします。

自らに与えられた運命というか使命ということではないか、と思いました。


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■地元の人と観光客が触れ合える旅を!

伊勢でも美味しいお魚を食べていたつもりでしたが、がぜん、尾鷲のほうが美味しいですね。
空も青いし、海がすぐ近くだし自然がたくさんあって、山にもすぐ登れるし・・・なんて良いところなんだろうと思いました。
こちらに来てから、山登りも始めたんですよ。
小学校の頃は父に連れられて、伊勢の朝熊山にしょっちゅう登っていたんですけど、中学生になってからはまったく。
こちらに来てから何十年ぶりに山に登って。
熊野古道の馬籠峠や、私の大好きな『てんぐらさん(天狗倉山)』からの景色は本当にスゴイ!
感動します!

こうして実際にいろいろ自分で食べて、体験してみることから始めました。

だから、自分が実際に体験した良さをお客様に伝えたいし、商品化して行きたいな、と考えています。
かつて自分が旅行業に携わっていた時と、現在では、旅の形が変わってきているというのが大きいですね。

昔だとバスに乗って観光地に行って、旗を持った添乗員さんについてあちこち回るだけ。
けれど今は、体験型に変わり、自分たちでいろいろやってみて「楽しかったね」というのが多いと思うんです。
例えば、船に乗ってブリの養殖を見に行くとか、ロープワークを教えてもらうとか。
その土地に伝わる料理を味わうとか。

昔と現在で大きく違うな、と感じたのは、地元の人とどれだけ触れ合えるか・・・というのが、とても重要なポイントになっているということ。

自分が旅行業をしていた時は、そういうことを一切考えたことがなくて、どこまでバスに乗って遠くまで行って、いいお食事をして、良いホテルに泊まって・・・が重要でした。
しかし、今は、素朴で地元のものを食べて、地元の人と触れ合って・・・ということをお客様が求めているのを感じます。

まずは尾鷲に来てもらうことが大事。
そこからさらに、観光客の方が地元のおじちゃんおばちゃんと「魚ってこうやって獲るんだよ」とか、「干物はこうして作るんだよ」「ミカンはここで採れるよ」・・・そういった触れ合いをすることが、大切なんです。

住んでいる人からすると当たり前のことのように思うんですけど、訪れるお客さんは、そういうものを求めているんだな、ということを感じます。
確かに自分自身も、地元の人たちと話していろいろなことを教えてもらうと、「ああ、なるほどな」とか「面白いな」「こういう成り立ちでできているんだ」と思うことが多いので、そういった感覚をお客様に伝えていければな、と思います。


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■須賀利の『さよなら巡航船ツアー』は大盛況!

『尾鷲観光物産協会』では週末に『ふるさとガイドさん』に来ていただいて、ご協力を得ながら、観光客の方や熊野古道を下ってきたお客様のお出迎えをしてもらっています。
下ってきたお客さんは、その後は帰るだけなわけなんですけど、それでも地元のガイドさんに少しでも地元の話をしてもらうだけで、ちょっと印象が違ってくるんですよ。
これはぜひとも続けていきたいですね。

私が来てから行ったツアーは、須賀利の『さよなら巡航船ツアー』。
昨年(平成24年)9月末で、尾鷲の港から須賀利へ行く巡航船が廃止されてしまったんですが、最後にお客様に来ていただこうと思って行ったツアーです。
最初の予定は30人。
それが、新聞に掲載していただいたところ、県内からたくさんのお客さんが来てくださり、約80人に!
巡航船に2便に増やしての、大人気ツアーとなりました。
でもそこでのお客さんの感想はやっぱり、
「須賀利の町の人たちとの触れ合いがすごく楽しかった」
「おもむきのある町並みが今でも残っているのが良かった」
「何でもないところが素敵だった」
というものが多くて。

中には「時間つぶしができない」という声もありましたが、「なんにもない」ということを味わってほしいですね。


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■東紀州は遠くない!

自分が思っていた尾鷲って、とても遠いイメージがあったんです。
だけど、高速道路に乗ったら、伊勢の家から今住んでいる尾鷲のアパートまで、1時間半かからずに来られるんですよ!
全然大丈夫、と思いました(笑)

今、伊勢平野に住んでいる人たちから見ると、東紀州ってすごい壁があるんですね。
JRしか通っていないし、高速もどこまで通っているのか知らないし・・・実際、私自身も尾鷲に来るまでわかっていなかったんですけど。
1回来てみると、
「こんなに近くてこんなに素敵で、こんなに美味しいものが食べられるの!」
と、ビックリしますよ。
なのでみなさんに、その素晴らしさを伝えて行きたいな、と。
山をいくつも越えるような遠いイメージがあっても、実際すごく便利になっていますし。
今年の3月には紀伊長島まで高速が来るし、そうなったら多分伊勢の家から尾鷲まで、1時間かからずに来られると思うんですよね。
それって例えば伊勢から四日市くらい・・・もう通勤圏内ですよ。
すごく近くなって良いと思います。

だから、伊勢の家に帰るたびに、会う人会う人に「伊勢から尾鷲ってすごく近いよ!遊びに来て!」と言っています。
すっごく美味しいお魚も食べられるし、いいよって(笑)
実際それで来てくれた友達もいますし、『おわせ港まつり』の花火に合わせて来てくれた人もいます。
気軽に新鮮な海の幸を食べにきてもらったり。
こんなに近かったら何度でも来られるね、と言ってもらっています。

尾鷲に来てくれるお客さんがもっともっと増えてくれると嬉しいですね。

そのために、新しい取り組みも行なっていく予定です。

『熊野古道』は今までもあったスタイルで、もちろん王道としてこれからも続けて行きたいコース。
他にはモニターツアーでもしていたんですけど、尾鷲ひのきをお客さんに間伐してもらうという『林業ツアー』など。
さらに、尾鷲ひのきを使った商品づくり、海を使った商品づくり、というのを組み合わせてやっていければな、と思っています。