FM三重「ウィークエンドカフェ」2013年1月26日放送

今回のお客様は、四日市生桑にある『天然温泉テルメリゾート・ユラックス』の社長、金澤卓司さんです。
釜風呂が自慢のユラックスは、今年で創業56年目を迎えます。
四日市の皆さんの憩いの場として半世紀以上愛されている場所です。
ここでのお楽しみは、大衆演劇。
お風呂でのんびりと過ごした後は、座敷芝居と歌謡ショーが待っています。

今日も四日市の駅までバスの運転をしてお客様をお迎えに行っていました。
お客様からの声を大切に聞いています。

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■『ユラックス』の営業形態を守るために!

『ユラックス』のようにお風呂とお芝居が付いている施設を『センター』と言うのですが、経営的には実際厳しく、「社長」と呼ばれるのにも抵抗があるんです。

経営者はやはり、一般的に言われる『黒字経営』をして、初めて社長と呼ばれると思っているんですね。
社長になって3年目、正直言うとそう呼ばれるに至っていないのため、恥ずかしい限りです。

しかも今年に入ってから、僕が知っている『センター』と呼ばれる施設が、この3月までに4店舗閉鎖。
愛知県の尾張温泉さんも、お芝居と飲食店の部門をやめられるということで、この世界がどんどん少なくなってきています。
僕の使命は、この世界を無くさないように維持していくことなのでは、と思っています。

劇団をやっている方々も施設がなくなっていくと、出番が少なくなっていきます。
劇団もお客さんも我々も、何とか三方良しという形に行くためにも、しっかり経営して、こういう施設を残していかなくては・・・と思っています。

創業当時の55年前の先輩方も、大変な時もあったに違いありません。
会社を経営して初めてわかったんですが、会社を存続するということは、当たり前のことではなく本当に大変なことなんです。
それを55も年続けてくださった先輩がいる。
その方たちのためにも、この業態を何とか維持して、100年企業にしたいな、というのが自分の夢です。


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■大衆演劇で自分だけのアイドルを!お年寄りに楽しい場を!

劇団の公演はそれぞれ1ヶ月づつ。
その中で4つの劇団は、毎年ユラックスにやって来てくれます。
大衆演劇は毎日演目が違う(前)
御園座さんなどの普通の劇団は、1ヶ月毎日同じ出し物をすると思うんですけど、こういう大衆演劇さんの凄さは、毎日お芝居を変えるということ。
お芝居だけでなく、昼夜で踊りなども変えたりするので、大変ですよ。
さらに、その土地その土地に合わせたお芝居をするのも、大衆演劇の凄さ。
例えば大阪では大阪の笑いがあるそうですし、東京は東京の掴みどころが・・・。
その土地に合わせて公演されるっていうのは、頭が下がりますよ。

劇団さんのそんな細やかな気配りもあり、ファンの方も多くいらっしゃいます。
ファンの方はご贔屓の役者さんたちへ、幕やのぼり、タペストリーなどを贈るんですよ。
それから、お年寄りの方もペンライトを振ったり、20代のイケメン俳優に握手をされて「もう手が洗えないわ」なんて、喜んでもらえたり。
お客さんたちが満足して帰って行かれるのを見ると、(夢古道おわせのアドバイザー)伊東将志さんの理念はそういうことなのかな、と感じます。
ただ儲けることとか利益を出すことだけじゃなくて、おじいちゃんやおばあちゃんに楽しい場所を提供したりして。
そういうことが社会的価値だと思ってやっています。
今、銭湯も消えて行きつつある中、一度来れば楽しいということを知ってほしい・・・そういう気持ちで、やって行きたいです。

ところで『AKB48』は、自分の近くにいるアイドル、実際に会えるアイドルなので人気が出たのではないかと思うんですよね。
そういうアイドルの走りは、実は大衆演劇だと思います。
ここに来れば近くで握手もしてもらえて、「私の◯◯さん」といった気持ちで。
TVを通さないと会えない役者さんではないので、本当に好きな人は好きな世界ですよ。


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■『夢古道おわせ』の『100のありがとう風呂が、全国の温浴施設関係者との出会いをくれた!

今、お風呂業界で横の繋がりができているんですけど、それがなかったら多分もう、自分では踏ん張りが効かなかったんじゃないかな。
「あの人みたいになりたい」「あの人も頑張っている」・・・他の温泉施設の店長さんや支配人さん、みなさん、自分のことだけじゃなく、業界やスタッフのことまでもを考えてい姿に力付けられました。

特に『100のありがとう風呂』を始めた伊東さんは批判などもあり、大変なこともあったでしょうが、頑張っているのは何も言わなくても背中を見ればわかるんです。
伊東さんのような人に、早くなりたいな、と思う気持ちで日々頑張っています。

実はお風呂業界の横の繋がりできるようになったのは最近なんです。
伊東さんが、先程の『100のありがとう風呂』を日本全国に発信されて、支配人さんや店長さんと会話するきっかけができたんですね。
『100のありがとう風呂』で使う尾鷲ひのきの板は、失礼ながらただの板です。
しかし、
「尾鷲から日本をゲンキにしたい」
「おじいちゃんおばあちゃんにありがとうと言いたい」
という伊東さんの理念が乗っかってきているから、たった3年でここまで浸透したと思うんです。
あれをただ単に、1枚100円で売ろうとかだったら、浸透しなかったとですよね。


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■従業員はゲンキいっぱい!
先日、バングラディシュの男の子を採用したところ、とても目がキレイで、真面目でよく働くんです。
日本人の若い子たちの、車が欲しいとかディズニーランドに行きたいとかとは、お金を稼ぐ目的がまるで違う。
お給料は祖国に送金しているんです。
家族のためにつらい仕事も一生懸命するので、こちらが頭が下がり、考えさせられることが多くあります。
しかも働くだけはなく、日本でしっかり学んで、技術などを国に持ち帰りたい・・・日本へ来ること自体の目的も、とてもしっかりしているんです。

四日市大学から来た子も、一時、働いていました。
この子はとにかく前向きでゲンキ。
変に格好つけたり、すぐに答えを出そうとせず、常に壁にぶち当たりながらボコボコになりながら修正していく。

社会には、変に公式がたくさんあって、それに囚われてしまいがちになります・・・僕たちも含めて。
高校や大学でたくさんの公式を頭に入れていて、その問題に合わせて公式を出して解くのが受験だと思うんです。
だから今の社会は、ドラえもんがタイムリーにポケットから道具を出せるように、上手に公式を出せる子が良い大学に進む、という形。
でもその公式の意味は、本当にはわかっていないんですよ。
もしくは、本当は見てもいないのに、教科書に書いてあったから頭に入れているだけ・・・そうやって答えを導き出す子が多いです。
しかし、その子は違いました。
「うりゃ!」とか言いながら試行錯誤している姿を見ると素晴らしいな、と思います。
こういう子がこの業界には向いているんでは・・・と考え、積極的に採用しています。