FM三重『ウィークエンドカフェ』2013年6月8日放送

今回のお客様は、四日市市市民文化部文化国際課の、中野千幸さん。
彼女が今、取り組んでいるのは、『全国ファミリー音楽コンクールin よっかいち』、通称『ファミコン』。
すでに応募が始まっていて、「どんな家族がこの大会にエントリーしてくれているのかな」と、楽しみにしているそうです。
今年で2回目となりますが、全国からたくさんの応募が寄せられています。
その他にも、四日市市で取り組んでいる文化事業などについてお話をうかがいました。

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■家族のあたたかさを感じた『全国ファミリー音楽コンクールin よっかいち』

昨年、四日市市は『四日市の文化力元年』という宣言をしまして、文化力を創造し、それを育て、発信していこうという取り組みを行なってきました。

その中の目玉事業のひとつが『全国ファミリー音楽コンクールin よっかいち』。
四日市というと『産業都市』のイメージが大きいかもしれませんが、実はそうではなく、文化力もかなりのものがあるんですよ・・・ということを、ぜひ全国にPRしたかったのです。

そこでまずは四日市に来てもらい、知ってもらうために、『家族』と『絆』をテーマにした、全国公募のコンクールを開催いたしました。
今年、第2回を開催しようということで、現在はすでに準備に入っています。

家族3人以上のアンサンブルであれば、合奏であっても合唱であっても、その形態や音楽のジャンルは問いません。
ちなみに去年は、北は北海道から南は鹿児島県まで、93組にご応募いただきまして、予選通過をした16組が本選に出場されました。
中には民族音楽っぽい雰囲気を醸し出された演奏をされたご家族もいました。

地域色というよりは家族それぞれの特徴のほうが強かったですね。
どのグループも、暖かくて良い演奏を聴かせてくれました。


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■意外な発見もある『郷土が誇る芸能大会』

『郷土が誇る芸能大会』は、各地域から推薦してもらった団体が芸を披露する場所で、今年1月には第2回を開催いたしました。

ところで、実は四日市は『獅子舞』がとても多い地域なんですよ。
鈴鹿の方が本家のように言われていますが、鈴鹿で活動されている獅子舞の団体さんよりも四日市市の方がとても多く、今も活動しているところもあれば、今は活動が途絶えたけど、獅子頭は残っている、というところもあります。

なので、『郷土が誇る芸能大会』にも、獅子舞が毎回登場しています。
第1回目は4組、先だって行われた第2回目も、3組ほど出てもらっています。

江戸時代の百科事典『守貞漫稿』に「江戸の獅子舞の発祥は四日市である」と記されているんです。
ちゃんと四日市が獅子舞が盛んで、それが江戸にまで影響を及ぼした、と書かれているんですね。
しかし、研究者はそれを知っていても市民がそれを知って誇りに思っている、ということはあまりないです。
当たり前すぎるんでしょうね。

身近にありすぎて当たり前すぎるものに、改めて光を当てて、
「自分らのやっとるってこんなにええことやったん?誇りに思ってええんちゃう?」
と思ってもらえれば良いなあ、と考えて始めたのが『郷土が誇る芸能大会』なんですよ。

もちろん伝統行事だけでなく、地元のおばさまたちが元気を維持するために歌謡曲にあわせて太鼓を叩くだとか、もあります。
それで自分たちだけが楽しむのではなく、慰問に行かれて、地域の方を元気にする取り組みもされています。

『雅楽』が登場したのにはビックリしましたね!
四日市にも伝統的に雅楽を受け継いでいる地域があって、長く続けて来られてようなんですね。
しかも担い手たちが若い男性なんです。
これも驚きでした。


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■弥生時代の田植えを体験しよう!

以前、四日市市立博物で、私は考古学が専門だったんです。
その関係もあり、子どもたちと一緒に古代米を育てようという取り組みも行いました。
昔のお米は背丈がとても高かったり、粒が小さかったり、色が黒かったり紫だったりするので、それを育てることで、弥生時代の暮らしに近づけるのではないかと。
その当時の土器や生活用品が、どうしたこんな形になったのか、どうやって使われていたのかに迫ることができるのではないか、と。

私たちは昔の農家の方の真似をして田植えをしたんですが、弥生時代の人たちがどうやっていたかはわからないんですよね。
それなりにやっているんですけど(笑)
ましてや、土の中に入って苗を植える経験がないものですから、どうしたもんかなと思っていたのですが・・・子どもたちは自由ですね(笑)
印象に残る子というのは、やり方が違う。
夢中になり方が違うんです。
一歩ずつ下がっていくよって言っても、その矢先にトトトと先に行っちゃったり。
もう自分の世界に入っているんですね。

実ってきて石包丁で収穫する時も、一心不乱で、一生懸命刈り取っていたり。
そして「なんでこんな形してるの?」と質問してきたり。

弥生時代に現代のように苗を作って植えていたかというと、多分違うと思います(笑)
直播きすることで育ってくるタイミングが違うし、背たけが高いので、育てるうちにいつか倒れてしまう。
今みたいにきちんと背の高さを残したまま実るというのは、ありえないでしょうから、穂先だけを摘み取るという農法だったんじゃないかな、と思います。


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■謙遜する四日市の人に代わって、文化の発信は私がする!

芸能大会をやっている中で、たくさんの魅力に出会いました。
伝統芸能自体は、前から知っていたものや人たちが多かったんですけど、第1回、第2回を通して、そうじゃないものに出会った時の感動がとても大きくて。
みなさん、人が良いんです。
いろんな方々にお会いして打ち合わせをしていると、人と人の触れ合いの中で、
「なんて良い人なんだろう!」
と感じることがたびたびありました。
自分たちのしていることを、もっと自信を持って発信していっていいんじゃないかって。

でも、四日市の人ってとても謙遜する人が多いんですよ。
街の成り立ちが、終着点ではなく、人や物が行き交うところなので、新しいものにどんどん触れることのできる街だったわけです。
その関係で、新しいものに敏感で、よその場所の素晴らしいものを知っているので、「ウチなんて」と謙遜してしまいがち。

いやいや、四日市にも魅力がたくさんあるんですよ!・・・と言いたいです。
そして、そうやってみなさんが遠慮するのだったら、私たちが代わりにやればいいんだ、と感じましたね。