「ふれあい」VOL.13 2009年3月号

荒れた農地に再び息を吹き込みたい!
そば粉が麺になってつながるように人の心もつながっていく!

紀北町下河内地区は、昭和30年頃までは木炭の生産地として栄えました。
昭和34年頃からの燃料革命の影響で若者が職を求めて地域を出たことで過疎化が進みました。

今では4世帯、人口5人になった下河内。
今回はこの地域を元気にしようと生き活きと取り組む皆さんにお話をうかがいました。

荒れた農地に再び息を吹き込みたい

紀北町紀伊長島区でも山寄りの下河内は、国道42号線から赤羽川に沿って車で20分ほど走った先にあります。
以前は川のせせらぎが聞こえ、木々の緑が豊かな里山でしたが、時代の流れとともに過疎化が進み田畑が荒れはじめました。

私たちは美しい里山が荒れていくのを見て、このままでは下河内の歴史や伝統、文化が消えてしまうのではないか、そんな思いから会の結成を決意しました。

まず、里山の風景を取り戻そうと耕作放棄された田畑に花を植えました。
さらに、米ヶ谷地区活性化グループ『膳』代表の小倉さんから遊休地を活用したマコモやソバ栽培の取り組みを聞いていたので、私たちはマコモ・ソバなどの農作物の栽培を始めました。

ソバは県の補助事業として大台町栗谷地区でそば打ち体験が行われていたことから、その一年後に私たちにも声がかかりました。
地域で取れたソバを使ったそば打ち体験で地産地消に繋げることができればと、私たちは本格的にそば打ちを始めました。

また、そば打ち体験に参加してもらった皆さんの口コミで私たちの活動に参加してくれるメンバーも増えたんです。
今ではメンバーは84人、紀伊長島区に住むメンバーを中心に、遠くは尾鷲市や津市からも参加してもらっています。
こうしたそば打ち体験イベントをきっかけに栗谷地域振興協議会の中村さんとも交流が始まりました。



待望の集客拠点ができました

私たちの活動の一つであるそば打ち体験も集客拠点になる場所がなかったので、最初は尾鷲市や御浜町の子どもたちを対象に出張そば打ち教室を行っていました。
しかし1人でも多くの人にそば打ち体験を通して里山の良さを知ってもらいたいという思いから旧「旭屋」旅館の改修を行い、外からの皆さんを招き交流するための集客拠点としました。

今年(2009)の1月24日には、私たちの活動拠点となるそば打ち工房のお披露目や、そば打ち体験やもちつき体験を楽しんでもらう「下河内そば収穫祭」を行いました。
これからも新しく誕生した集客拠点を中心に下河内に遊びに来てもらえるように、そば打ち体験や押し花体験などの里山の良さを実感していただける企画を実施していきたいですね。

そのためにも、メンバー内で月1回のそば教室を行い、下河内に来ていただいた皆さんにそば打ちを楽しんでもらえるように、メンバーの多くが段位を取って、まずメンバー自らが楽しんで活動できるようにしたいと思っています。
段位を取って努力賞をもらった81歳のおばあちゃんもいるんですよ。

こうして新しく誕生した集客拠点の里山での活動を通して、下河内に人が集い、交流が深まり、お互いが刺激され、出会う人々から元気をいただく、そして愛する里山の風景などの貴重な財産を守り後世に伝えていく、そんな活動を大切に育んでいきたいと思います。