「ふれあい」VOL.17 2009年9月号

子どもたちと一緒に地域の民話をいかした紙芝居や影絵の上演を行っている「かんからこぼし座」
自分たちのまちを誇れる大人になってほしい!



デイサービスを利用する高齢者の方への慰問がきっかけに

3年前の春休み、地域の子どもたちと一緒に、知り合いのデイサービスの施設に市販の紙芝居を上演に行き、皆さんにとても感動してもらえたのをきっかけに、今の活動を始めることにしました。

その時に、「おなじ活動をするなら全国的な話よりも地元の民話を生かしてみたら」、と地元のボランティアグループ『古道魚まち歩観会』さんからアドバイスや協力をいただいたことから、地元の民話を題材に上演をすることにしました。

さいわいにも私たちのまちには、二十以上の民話が残っているんですね。
また、紙芝居の延長として影絵の上演もはじめました。

地元の民話をたくさんの人に知ってもらいたい

上演をしてみて良かったのは、自分たちが住んでいるまちの民話を地元の皆さんに聞いてもらえたことですね。
大人の方からも「題名は知っていたけど本当はこんなお話だったんだ」という感想を度々いただきます。

最初、影絵を見たことがない子どもたちに興味をもってもらえるか心配でしたが、みんな集中して見てくれました。
驚くことに、2歳の子どもも真剣に見てくれていましたよ。

最近では、魚市場を見学に来てくれた町外の小学校の子どもたちに、朝食にマンボウを食べてもらった際、「まんぼうと殿様」の紙芝居を上演しました。民話を通して、まちの魚マンボウの話を真剣に聞いてもらえてうれしかったですね。


何よりうれしいのは子どもたちがやりがいを感じていること

上演の演出は子どもたちが自分たちで考えています。
影絵の人形は、首や腕がカクカク動くだけですが、かんからこぼしの物語に登場する河童が川を楽しそうに泳いだり、腕を切られて痛がったり、河童の気持ちがどうやったら伝わるか。
自分が痛い時は、どんな表情をするか。子どもたちが河童の気持ちになって考えます。
河童の表情を出すための工夫も「つり目にしたら?」「たれ目にしたら?」と子どもたちのアイデアはなかなか心を和ませてくれ、ずいぶん助けられるんですよ。

観客の皆さんも上演が終って影絵を動かしていたのが子どもたちだと分かると驚かれますね。
“あの動きを子どもたち4人でやっていたの!” なんて声をかけてもらえます。

そんな声が何よりも子どもたち自身の上演をするやりがいに繋がっています。
おばあちゃんがほめてくれたり、おじいちゃんが楽しんでくれたり、自分たちが上演した紙芝居や影絵を観客の皆さんがとても喜んでくれているのをきっと実感することができるからなんですね。



自分たちの住んでいるまちをもっと好きになってほしい

いま一緒に活動をしている子どもたちは、大きくなったらまちを出ていくかもしれませんが、活動を通して自分たちのまちのことを好きになってほしいし、自分の言葉でまちの魅力を伝えられるようになってほしいと願っています。

この活動では、上演先でいろいろな人に出会えますので、誰とでも話をできる人になってもらいたいです。
やがて、子どもたちが成長して地域外に出た時に、自分のまちを自慢できるようになれたらいいですね。
そして、休みの日なんかに、一人でも、二人でも友だちを連れてまちに帰ってきてくれたらうれしいかぎりです。


地元から他の地域へ・・・そして、このまちがもっともっと元気に!

これからは、新しいメンバーの募集も考えながら、まちの文化を次の世代に伝えることで、地元の子どもたちはもとより、まち以外の人たちにも、ここ漁師町紀伊長島のよさをもっともっと広く伝えていきたいですね。

そんな思いもあり、夏休みに週一回「孫太郎オートキャンプ」へ出かけ上演しているんですよ。
町外から来た人たちにも、私たちのまちならではの楽しみをどんどん紹介することで少しでもこのまちの魅力を感じてもらえれば。
そしてその人たちがまたこのまちを訪れてくれる、こんな流れが続いてまちがもっと元気になればいいですね。

そして、私たちの活動を通して、その元気がいつまでも続けばいいな、と思います。