左/会長 栗谷 寛さん
右/事務局長 栗谷 征幸さん

会員の手による拠点づくり

最初は少子高齢化・過疎化により荒廃していく農地を何とかしようと、休耕田でチューリップや菜の花、そばを植えたりしていました。

そんな活動をしている中、「自分たちが楽しめる活動の拠点を！」と地域活性化を考える有志３０数名の会員が互いに知恵を出し合い、役場の助言をもとに国の「故郷やすらぎ空間整備事業」を利用して施設を建てることにしました。

国の補助金で足りない分は、有志の会員の皆さんからの出資金や地域の皆さんから地元産の木を寄付していただきました。
建設費用を下げてもらうために、提供してもらった木の伐採、搬出、製材から建設する際の整地や石積みも自分たちの手で一年ほどかけて行いました。
こうして「夢楽憩いの館」は生まれたのです。

お客さんのリクエストから郷土食ランチが誕生

当初は体験工房として、そば打ちやこんにゃく作り、朴の木団子作りの体験を行い地域の皆さんの交流の場はもちろん、このまちを通行される地域外の方にも利用していただきたいと考えていました。

夢楽は国道422号線沿いにあり、土曜・日曜になると奈良・大阪方面から志摩方面に行く観光客の方がたくさん通るんですね。
そんな中、訪れてくれるお客さんから「食事はできませんか」という声が多くなってきました。
そこで、オープンから８ヶ月遅れですが、厨房をつくり食事の提供を始めました。

何よりも楽しんでやれることが大切

　郷土食ランチの提供が雑誌や新聞に紹介されたことで、訪れる人も増えています。利益はほとんど施設の維持費にあてられますので、食事を提供してくれる女性の皆さんはボランティアでがんばってくれている現状です。
　食事の提供を増やして売り上げを伸ばそうにも、なんといっても少ないメンバーで切り盛りしていること、また、高齢化が進み担当する女性が減ってしまったことなどから、土・日限定の提供となっています。
　本来なら続けていける体制にほど遠い状況ですが、それでもみんな朝から下準備に出てきてくれて、いきいきと活動してくれています。家の中にいるより、いろいろな人と話ができて嬉しいからと言ってくれます。無理をせずに、みんなで楽しんでやってきたことがこうして続けてこられた秘訣なんですね。

男性会員や高齢者の皆さんにも参加してもらいたい！

男性会員には炭焼き小屋やツリーハウスの建設から創立記念イベントなどで力を出してもらったのですが、女性会員に比べ男性会員の活躍の場が少ないため、皆さんに楽しんでもらえる事業を考えることが一つの課題でした。

そこで、会長の提案で夢楽にカラオケを置いて雨の日など暇な時間に、みんなでわいわい歌を楽しみながら集まろうと動きつつあります。
カラオケなら高齢者の方も楽しんでもらうことができます。

高齢者の方や男性にも生きがいを感じてもらえる交流の場として、どんどん活用してもらうことで、地域が元気になればと思います。

特に引きこもりがちの高齢者の方が家から出てもらえるようなきっかけづくりとして、毎年９月の敬老の日前後には、80歳以上の地区の老人を夢楽に招いて食事会を行っています。

みんなの力で「夢楽」を守っていきたい

いま一番の課題は後継者の育成ですね。
高齢化が進んでいくなか、外の地域から「活動を手伝いたい」と言ってくれる方もいますが、たくさん人を集めればいいわけでもありません。
やはり地域の皆さんが楽しめる交流の場であることを大切にしたいと考えています。

そのためにも、夢楽の活動に馴れ親しんでいただき、地域が一つになって楽しい時間を過ごせるような同じ思いの方を一人でも多く増やすことが大事だと思っています。

まだまだ「夢楽」を維持管理していくので精一杯ですが、身の丈にあった活動を、みんなの意見を聞きながら、知恵を出し合いがんばってやっていきたいですね。

いま地域で会に入ってない方も、いい取り組みを計画することで、ゆくゆくは会に入ってもらえるのでは、と私たちの思いは大きく膨らんでいます。
そして、この会が活発になって、さらには栗谷地区全体がもっともっと活性化していけばうれしいですね。

郷土食を担当する女性の皆さん

朝一で収穫した野菜を使った料理を中心に提供しています。
旬の野菜や珍しい山菜を使った料理を楽しんでもらっています。おかげさまでリピーターの方も増えました。

やっぱり食べてもらった皆さんから「おいしい」と言ってもらえるのが何よりも嬉しいですね。
家に一人でいるより仲間とおしゃべりする時間もできるので楽しく続けられています。

郷土食ランチ800円（土曜・日曜日に限定15食を提供）