三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2013年7月14日放送

鈴鹿のお茶『かぶせ茶』を、もっともっと売り出したい!
たくさんの人に飲んでいただきたい!
お茶の未来のために活動し、そして地域をゲンキにしたい!

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鈴鹿山麓に広がるお茶畑。
鈴鹿から四日市にかけての地域は、お茶に適した自然環境で、千年以上前からお茶の生産が行われてきました。


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茶葉を収穫する前に、14日間、黒い布をかぶせるのが、この地域の伝統農法『かぶせ茶』。
かぶせて旨味を引き出したそのお茶は、三重を代表するお茶ブランドになっています。

今回ご紹介する『ささらくらぶ』は、製茶工場である『伊勢茶工房・ささら』を立ち上げた3軒のお茶農家を中心に発足。
地元の『かぶせ茶』をもっと知ってもらいたい、もっと飲んでもらいたい。
そんな思いを共有する80軒のお茶の生産農家と共に、お茶の未来のために活動しています。


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『ささらくらぶ』代表の大野久美子さんにお話を伺いました。

「鈴鹿山嶺は全国一の『かぶせ茶』の産地なんですが市内でも知らない方が多いので、もっと知ってほしいですね。
みんなで一緒にすることでコストも抑えられ、知恵を出し合い助け合うこともできるので大きなメリットがあります」


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『ささらくらぶ』の活動には3つのポイントがあります。
まず1つめのポイントは『生産と加工の集約』です。
こちらは『伊勢茶工房ささら』。
お茶の製茶加工には、たくさんの設備が必要ですが、それをここに集約することによって大幅なコストダウンを実現しています。


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お茶づくりの行程。
蒸し器で蒸された茶葉をロータリーに入れて水分を少しずつ順番に抜いていきます。


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こちらは『揉捻』という作業。
手で揉むように、重みをかけて水分を搾り出します。
ここまで来ると、普段見慣れたお茶っ葉ですね。
これを更に乾燥させて完成です。
良い商品を作るために、最終工程までなんと5時間もかかるそうです。

大規模な工場での効率的な加工。
これが『ささらくらぶ』として活動する目的の大きな軸になっているんですね。


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次に訪れたのは、『ささらくらぶ』のメンバーである山口さんの畑。
鈴鹿、四日市に畑を持ち、家族でお茶を育てています。

訪れた6月下旬は、ちょうど、2番茶の収穫時期。
5月の中頃に終えた1番茶の刈り取りから、およそ1ヶ月半、青々と育った2番茶を機械で効率よく刈り取っていました。

「若い人を中心に『お茶離れ』が進み、急須でお茶を飲む習慣が減ったため、以前よりも消費量が減っています。
ただ、ブログや携帯でお茶を作る行程を見て、お茶のありがたみをわかってくれる人もいるようです」
と山口さん。

情報発信と、情報の共有。
お茶の生産農家の横の繋がりとネットワーク化は、堆肥などの共同購入によるコストダウン・販路の拡大など、メリットが大きいようです。


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2つめのポイントは、『新しいお茶の楽しみ方の提案』です。
『ささらくらぶ』では、若い世代にもお茶を楽しんでもらおうと、『お茶のドレッシング』を開発。
すでに販売に入っています。
ドレッシングにはお茶の粉末が入っているため、後口に緑茶の苦みがふわっと口に広がるのが特徴。
パスタにそのままかけたり、冷奴に醤油の代わりにかけても合うそうです。


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他にも、ライフスタイルに合った自由なお茶の楽しみ方の発信に力を入れています。
茶葉で飲むことだけにとらわれず、粉茶やティーバッグでも鈴鹿のかぶせ茶の味が楽しめることなど、お茶の味わい方を、飲む人自身に見つけてもらうという形の提案を始めました。

さらに 自分好みの飲み方を見つけてもらおうと、90℃、60℃、10℃の3つの温度での味わい方を提案。
こちら、10℃の冷水で入れた水出しのかぶせ茶は、茶葉は、お湯で使う茶葉と同じもの。
5分ほど置いただけで、ご覧のような鮮やかな色になります。
お湯ではなく、水でもお茶が出ることを知らない人も多いのではないでしょうか。


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そして3つめのポイントは『後継者問題対策』。
組織化による経営の安定は、後継者問題にも大きな変化をもたらしています。
『製茶工場ささら』の共同経営者の一人、伊川吉隆さんと息子の淳也さん。
淳也さんは大学卒業後、1年の修行を経て、お茶の仕事を継ぐことを決心しました。
同じく工場の共同経営者の大野さんの息子も 2年前から茶農家として働き始めています。

吉隆「工場の共同経営者の3軒のうち2軒が後を継いでくれるのは、今の時代ではありがたいですね。母体がしっかりしているからこそ、継いでくれるのだと思います」

淳也「将来、自分が父の年代になっても企業が存続していて、幅広く何でも手を伸ばせたらいいなと思います」

若い世代のお茶離れ。生産者の高齢化。
お茶を取り巻く環境は、昔に比べ、大きく変わってきています。
集約による効率化。新しい形の楽しみ方の提案と挑戦。
そして、後継者の確保。

もんで揉まれて、香りたつ、家族の、地域の挑戦が、今、始まりました。