FM三重『ウィークエンドカフェ』2013年7月27日放送

今回のお客様は紀北町商工観光課、課長の濱田多実博さん。
大台ヶ原を源流とする銚子川は、日本でも有数の水の綺麗な川です。
最近、紀北町役場では、とってもまろやかな超軟水の『銚子川の水』の販売を始めました。
都会に住んでいる子供たちに故郷の水を味わって欲しいと、このお水を送っているお父さんや、お母さんもたくさんいるそうですよ。

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■清流・銚子川の『水』を販売!

清流として名高い銚子川は、大台ヶ原に源流があります。
大台ヶ原から『尾鷲筋』という尾鷲まで続じる道があるのですが、そこに源流があるということで、先日、訪ねてみました。
『黒滝』という所に通じている場所の、一滴の水から始まっているんです。
感動的ですよ!
そこから流れが少しずつ集まって川になり、銚子川になるというわけです。

銚子川は綺麗な川なので、夏には多くの人が訪れてくれます。
『銚子川』を売り出していくにはどうしたら良いか、銚子川の何が良いかを考えたんです。

民間では銚子川ブランドのお米を作ったり、銚子川の水を使った『くき漬け』、アマゴの干物などがあります。
あれこれ考えている中で、銚子川から、取水をしていることに気づいたんです。
そこで『銚子川ブランド』の一つとして、紀北町役場として、水を販売しようと。

次に、どんな形で売り出そうかを考えました。
まず、水道課が『銚子川の水』の製造をしました。
そして、今まではよそから防災用の備蓄として水を買っていたんですが、これからは自分たちの町にある水を使おう、備えようということで、危機管理課が備蓄用に購入。
さらに商工観光課では、これをみなさんに販売し飲んでいただくため、水道課から購入し、地元の商店に卸すという形を取っています。

最近、馬越峠を歩いていると、グリーンのラベルが鮮やかな『銚子川の水』のペットボトルを持っている人たちに良く出会います。
少しずつ知られてきているようで、嬉しいですね。


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■雨がはぐくむ水の町、紀北町

紀北町の美しいところの一つに河口があります。
海の水と川の水が混ざり合うゆらゆら帯・・・『汽水域』が肉眼で見えるところはそうそうありません。
そこで海と川が繋がる、というのが一番の良いところですね。

紀北町の町を紹介するパンフレットには、『雨がはぐくむ水の町』と書かれています。
紀北町は雨を通して町をPRしているんです。

降った雨が山を通して、川に流れ、最後は海に行きます。
山の養分が川から海に流れ込み、植物プランクトンが発生して、動物プランクトンがそれを食べ、さらに小さな魚がそれを食べ、さらに大きな魚が食べる・・・そういう循環ができるんです。
素晴らしい、自然の循環です。
それがまさに、この銚子川でできている。
この地域で美味しい魚が獲れる源なので、紀北町では、水を本当に大切にしています。

ところで、定置網漁でブリの3大漁場と言われているのは、錦、島勝、九鬼。
なぜその場所で獲れるのかというと、まわりの山が『魚つき保安林』だからです。
『魚つき保安林』があるがために、魚が回遊してくる。
基本的に定置網で獲れる魚は、そこに来るべくしてきた魚なので、やはり美味しいんです。

紀北町には地の魚を出すお店が沢山あるので、ぜひ食べに来て欲しいですね。

※『魚つき保安林』とは、森林法で定められた保安林の一つで、魚の繁殖を助ける機能を有しています。



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■外から来る人はマナーを守って川遊びを楽しんでほしい

毎年、銚子川に来てくださるお客さんが増えています。
それは本当にありがたいことなんですが、あまり来すぎてしまうのもどうかなと。
しっかりとマナーを守りつつ遊んでもらえると、受け入れる私たちとしても、非常に嬉しいです。
遊んでも、汚さないで綺麗にして帰ってもらえると助かります。

銚子川の美しさと爽やかさは格別なので、ちょっと暑くなってくると、すぐに気になってしまうんです(笑)

僕は年に1回、ターザンロープのある吊り橋のあたりから、川流れをしているんです。
ライフジャケットを着けて、プカ~っと浮かびながら、河口の銚子橋のところまで流れて行くんです。
気持ち良いですよ。
大人も楽しめます。

昔の子どもと同じように、今の町の子どもたちも川で遊びます。
『種まき権兵衛の里』まで自転車でやって来て、川で遊んで・・・。
さらに尾鷲から山を越えて来て、銚子川の吊り橋のあるあたり・・・魚飛渓の天然の滑り台で滑ったりしている子もいます。
そこは奥まで行かないとわからない場所なんですよ。
旧海山町だけでなく、尾鷲の子も遊ぶ場所として、昔から今も、それが受け継がれています。
登りで奥まっている場所なので、自転車で行くのはけっこう大変なんですが、大変な思いをして行くから、余計に楽しいんでしょうね。

しかし、良いとこばかりだと思われますが、川には怖いところもありますよ。
平成16年に大水害が起きたとき、船津川というところで、水が堤防を越えて押し寄せて来たんです。
銚子川も過去にそういう事がありました。
怖いけれども、その『水』に頼って生活しているということも事実。
家の裏に行けば川があって、そこで洗濯して、そこの水を飲んで・・・とか。

だから非常につながりが深く、そういった中で生活をしてきたということで、思い入れも大きいです。
暮らしとともにありつつ、自然の脅威を肌で感じつつ成長しているので、みんな、銚子川をとても大切にし、敬意を払っています。


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■好きなのは夕凪の時間

好きなのは夕凪の時間です。
昼間、日が照っている時は陸地が温められるので、海から風が吹いています。
それが夕方からは逆になり、川から海に吹くんですが、その間のひととき、風が止むんです。
そうすると川面がピタッと止まるというか、波がまったくない状態に。
その時にカヌーに乗っていると、宙に浮いたような状態になるんです。

その状態はなんとも言えない心地よさですね~・・・。

『夕凪』の時間は、一日のうちの1~2時間。
よく来る人や地元の人しか知らないので、紀北町で遊ぼうと思ったら、まず、地元の人と仲良くなることですね(笑)
『きほくふるさと体験塾』にはインストラクターもいますので、川の遊び、海の遊び、いろんなことを教えてくれますよ。
地元の人しか知らない穴場なんかも教えてくれる・・・そんな体験もあるので、連絡をいただけたら、いろんなコーディネートをしながら、正しく遊んでもらえると思います。

僕自身、10年ほど前に行われた『東紀州体験フェスタ』でカヌーのおもしろさを知り、購入してしまったほど(笑)
役場の職員で自分のカヌーを持っている人は、僕の他にもけっこういるんですよ。
こんなすばらしい環境で生活できるのは、本当に幸せなことです。