FM三重『ウィークエンドカフェ』2013年8月10日放送

今回のお客様は『アクティブ野菜ソムリエ T.Little Kitchen』さん。
『アクティブ野菜ソムリエ』とは、野菜ソムリエの資格を持っている人で、自らベジタブルライフを実践し、かつ野菜と果物の魅力を多くの人に伝える活動をしている人に与えられます。
現在、三重県にはジュニア野菜ソムリエが369人、野菜ソムリエが16人、そして、アクティブ野菜ソムリエが4人。
三重県で初めてアクティブ野菜ソムリエになったのがT.Little Kitchenさんです。

8-10-2

®freek

■『T.Little Kitchen』の名前の由来と、野菜に興味を持たきっかけ

家の小さなキッチンから、食の情報を発信できたらな・・・と、その気持を込めて、私の名前である『T』と小さなキッチンの『Little Kitchen』と名付けました。
また『Little Kitchen』にはもう一つ意味があります。
今、外食産業とか惣菜とかいろいろありますけど、やはり一番大切な基本は『家庭の食事』、そういうことも含めて『家の台所』的な名前を付けさせていただきました。

野菜に興味を持ったのは、私が4~5歳の頃、祖母が野菜を作っていたのを見ていたという環境と、たまたま友だちのお家に遊びに行ったとき、中高生くらいのお姉さんが、レシピカードを持っていたんです。
それを使ってお店屋さんごっこをしていたのが、とても素敵で印象に残っていました。

小学校時代は東京に住んでいたのですが、その時の同級生のお父さんが『キューピー3分クッキング』に出演していたんです。
その友だちの影響や、祖母の野菜作り、お友だちのお姉さんのレシピカード・・・いろいろな出来事が総合されて、大学進学の際に、普通の勉強より自分の体を作っている食べ物のことを知らなければと思い、食の専門の大学に進むことにしました。

つまり野菜を好きになり、興味を持ったのは、それまでの積み重ねですね。
そして、定年退職し父が今、家庭菜園で無農薬の美味しい野菜を作っていることも大きいですね。
点と点を結んでみると、そうなったのかな、って。

現在、フリーペーパーにレシピを連載するなどの活動も行なっているのですが、そのきっかけも、その小学校時代の友だちが大人になってから、スーパーのレシピカードを作っているというのを思い出しまして、働きかけたところ、結局連載を8年間続けさせていただいています。

料理のバリエーションはあらかじめ考えたものではなく、ニーズに応じでその時に考え、組み合わせて創り出します。
素材や、対象年齢、時代の流れなどを頭に入れ、その時に応じたレシピを作っています。


8-10-3

■モロヘイヤが日本で最初に作られたのは松阪

昔に比べると、多種多様な野菜が増えたように思います。
最近では一般に『健康野菜』と知られているモロヘイヤも、エジプトから入ってきてまだ20年くらい。
日本で一番最初に栽培され始めたのは、実は三重県の松阪市なんです。
三重県に住んでいながら、みなさんご存知ないのがもったいなくて。
モロヘイヤを栽培するようになったきっかけは、あるJAの方が、「タネがあるから」と、老人会の園芸クラブで栽培し始めたのが最初だったようです。
そこから健康野菜ということで、松阪で作られるようになったんですね。

また、栽培が盛んになった理由はもう一つあります。
松阪は『なばな』の産地でもあるのですが、なばなは冬に栽培されるため、夏に栽培するものがないということで、ちょうどその時期とモロヘイヤの栽培時期が合ったんですね。

なばなももともと、三重県が発祥地。
「江戸の明かりは伊勢で持つ」という言葉があるように、昔から三重県の、特に長島町や四日市では菜種油を作っていました。
今の四日市市からは想像も付きませんよね。

ただ、今は外国産の油が入ってきたため、国産菜種油の産業が廃れてきた部分があります。
そこで茎をカットして食べてみたら美味しいということで、新たな活用法となっていますね。


8-10-4

■モロヘイヤ料理コンテストで優勝!

日本でモロヘイヤが作られるようになって10年経ったとき、料理コンテストが開催されました。
そのコンテストで私は優勝させていただき、優勝したお料理はテレビ番組で取り上げられ、そしてそのお料理は本でも紹介され、多くの人に知ってもらうことになりました。
そんな『モロヘイヤてこね寿司風』は、私にとって大切な料理です。

モロヘイヤは粘りが多く、お醤油と鰹節でいただくおひたしが定番なんですが、それだけだと栄養のバランスが悪いです。
伊勢志摩の郷土料理である『手こね寿司』と合わせれば、タンパク質も摂れ、夏場でもツルッと美味しくバランス良くいただけるかな、と思ったのが最初です。

また地産地消ということで地元の食材を使いたいので、ひじきを入れたりとか。
お寿司を食べに行って思うのは、野菜が足りないなということ。
やまかけのイメージで『モロヘイヤてこね寿司風』をトロッと食べていただくと、美味しいですよ。
てこね寿司の上にモロヘイヤが載っていて、さらに上にトロロが載っているんです。
色も綺麗ですよね、赤と緑と白で。

ところで、野菜の彩りは、食卓を華やかにし、食欲をそそりますよね。
実いま、野菜の色が注目されているんです。
色が持つパワー。
野菜の色には抗酸化作用があり、いろいろな色を食べると体に良いんです。
例えば、今が旬のトマト。
トマトの赤い色の『リコピン』、これの抗酸化作用はビタミンEの100倍あると言われているんです。
それもトマトが自らを太陽の紫外線から防ぐための知恵なんです。
それから茄子の紫も、紫外線にあたった時にできる色。
紫外線が当たれば当たるだけ濃くなります。
これは紫外線によって害を受けない、防御する働きがあるんです。
だから焼けていないヘタの裏側は真っ白でしょう。
野菜が自分で防御する力をいただくとこによって、私たちにも同じ作用がある・・・そう言われてきたのが、ここ十数年の話です。

まずはたくさんの野菜の色を楽しむこと。
結果としていろいろな食材が取れて、かつ栄養のバランスも良くなります。
特にお子さんは、まず目から入るので、華やかにすることと、美味しさをアップするということで、いろんな野菜を取り入れてもらいたいですね。

お子さんの好きなカレー味やトマト味、うまく工夫して、美味しく食べて欲しいです。


8-10-5
■『旬』を食べることが大切!

今は時代の流れで流通機構が発達して、季節に関係なくいろいろな野菜が出回っていますが、やはり旬のもの、露地栽培の野菜は、栄養価が高いということと私たちの身体に必要な成分が含まれているんです。

例えば暑い今の時期は、身体を冷やす作用のあるトマトや胡瓜、それから塩分を排出するカリウムを含んだものが多くなるます。
春だとタケノコや山菜など、ちょっと苦味のある食べもの・・・これは冬の間眠っていた身体を起こす作用があるとか。
秋には、これからの冬に向けてエネルギーを蓄えるお芋や南瓜、冬には身体を温める人参や大根などの根菜類。
旬のものは、人間の身体にとっても必要なものが含まれているんです。
素晴らしいでしょう。

また、旬のものは、環境にやさしいですね。
違う時期の野菜を栽培しようと思うと、ビニールハウスで燃料を炊いて・・・エネルギーがかかりますね。
旬の露地栽培のものであれば、放っておいても自然にできます。
エコですね。

エコといえば最近良く見かける、緑のカーテン『ゴーヤ』。
ゴーヤはやはり、『ゴーヤーチャンプルー』が一番美味しいですね。
苦みを取ればサラダでもいただけますよ。
苦みのある部分はタネなので、スプーンを使ってうまく取って塩もみをし、水にさらすと苦さが薄れます。
ただし水にさらすことによって栄養もやや薄れてしまう。
苦みの部分に健康効果が期待できる部分もありますので、うまい具合にそのへんの兼ね合いを考えて下さい。

旬のものは一度にたくさん取れて困ってしまうこともありますが、トマトはそのまま冷凍できるんですよ。
そして使う時にちょっと流水に浸けると、皮もペロッと剥けるんです。
皮を剥いた状態を煮込めばすぐにトマトソースができますし、いつでも使えますね。
市販の缶詰のトマトソース用のホールトマトは品種が違いますが、日本の一般的な『桃太郎』という品種でも完熟でしたらちゃんと使えますよ。

旬のものをちょっと工夫して使えば、料理の幅は何倍にも広がります。
冷蔵庫にあるものを組み合わせて、どんな料理ができるかなって考えると楽しいでしょ。
バランスのとれた食生活のために、ぜひ、旬の野菜を活用して下さい!


※料理・撮影 T.Little Kitchen