三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2013年9月1日放送

海産物加工会社が新たに漁船を造り、漁師の世界へ参入!
船上で魚の処理をしっかりすることで鮮度を上げ、魚の価値を上げ、さらに消費者との距離を縮めます!

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三重県の南に位置する漁業の町、尾鷲は、昨年から熱く熱く盛り上がっています。
他地域の漁船、つまり員外船の誘致を積極的に開始。
これまでほとんどなかったマグロの水揚げを増やし、新しいお客やビジネスチャンスを生み出そうとしているんです。


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そんな尾鷲で、もうひとつ大きな取り組みが始まりました!
尾鷲に基地を置く水産会社『尾鷲物産』が、マグロのはえ縄船を新造。
その名は『良栄丸』。
近海マグロを高鮮度で供給しようという新しい試みです。
水揚げの減少、魚の価格の低下、そして漁師の後継者不足・・・そんな状況の中で、新しい活路を見出そうと、大海原へと出港したのです!


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今回の水揚げの責任者である『尾鷲物産』の高橋法嗣さんにお話をうかがいました。

「この『良栄丸』は今年(2013年)6月に完成して7月19日に出港、8月16日に初水揚げをしました。何から何まで初めてで、何もかも新品です」

『良栄丸』の操舵室は、船の操縦をするための部屋。
機械も新型の高性能なものを積んでいます。


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船の動力を生み出す心臓部分である機関室は、帰港して休むまもなくエンジンの整備。
みんなの命を預かる、重要な部屋です。

出漁中、調理室で乗組員が食べるのは、意外にも冷凍食品やカレーなど。
獲った魚は商品なので、食べないそうです。

寝台はちょっとしたカプセルホテルのよう。
大切なプライベート空間です。


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船の船尾部分では、主に『投縄』という作業を。
ピンク色の丸い輪に釣り針と餌を付け、船尾から流すのだそう。
1籠でおよそ2.4㎞、全部で40籠ほどあるので、全長は100km近いのだとか!


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そして『良栄丸』の最大のポイントが、こちら最新の冷却設備。
これまでのものより冷却パイプが太く、耐熱壁も厚いため、魚の積載量は従来の船より大幅に減ったそうですが、高鮮度の魚を供給できるようになりました。
量より質へ。
それが『良栄丸』のこだわりなのです。


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『良栄丸』が入港した翌朝。
たくさんの人が見守る中、初水揚げが行われていました。
大きなサイズのビンナガマグロや、キハダマグロがぞくぞくと良栄丸から運び出されます。
市場に並べるのも一苦労。

通常の船だと『ビンナガマグロ』はエラやハラは抜きませんが、『良栄丸』では少しでも鮮度良く持ち帰るため、手間がかかるのを承知で、処理をして持ち帰ってきます。

さらに、あまり凍っていないように見えるのは、冷凍というより冷蔵だから。
冷媒となる冷却水(水と海水を調合したもの)を冷やし、それで魚を冷やしているため、マイナス0.5℃~0.6℃ほど。
凍らせずに鮮度を保つところが最大のポイントなんです。


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続いて始まったセリでは、『良栄丸』の高鮮度のマグロに期待以上の値段が!
これは嬉しいですね!

『尾鷲物産』社長の小野博行さんに、『良栄丸』を造った経緯についてお聞きしました。

「燃油高、魚価安、で後継者不足という中で、何故船を造ったのかとよく聞かれますが、魚を加工流通するところが船を持つということは、漁師になるということ。
消費者の方と漁師の距離をグッと縮めるということが大きな目的です。
海で魚の処理もしっかりやれば、魚の価値をもっともっと上げることができるはずだと思ったのです」


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『良栄丸』の高鮮度マグロの初水揚げを祝って、みなさんにふるまい!

地元の人も遠方から尾鷲を訪れた人も、みなさん納得のおいしさのよう。
港についた『良栄丸』のすぐそばで行われたマグロのふるまいは、大賑わい!
大量に用意したマグロのお刺身があっという間になくなりました。


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尾鷲の名産品、地元の特産品が並ぶ地場産品直売所『おわせ魚いちば おとと』でも、初水揚げの感謝の気持ちを込めて、『良栄丸』から揚がったばかりのマグロを一本まるごと解体!


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切り身が店頭に出されると、マグロ争奪戦状態に!
出すそばから手が伸びてきて、商品を並べる暇もないほどです。

そしてもちろん、こちらでもマグロのふるまいが行われました。

「おいしい!」
「食感がぜんぜん違う!」
「やわらかくて甘い感じがする!」


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『おわせお魚いちばおとと』店長の須藤俊宏さんに、この日の手応えをお聞きしました。

「今日は200kg用意したんですが、ほぼ売り切れとなりました。鮮度保持を施した『ビンナガ』はまったく新しい魚ですので、上々の反応でした。
この高鮮度のマグロが大きな目玉になれば、尾鷲を魚の町として、さらにアピールしていきたいですね」

マグロを目玉にした、魚の町、尾鷲の熱烈アピール。
海と消費者、漁師と消費者の距離を縮め、さらにおいしい魚をさらに安く!!
そして尾鷲をゲンキに!!
その取り組みは、いまはじまったばかり。
大海原にむかって出航です!



おわせ魚いちば おとと
住所 尾鷲市古戸野町2-1
お問い合わせ TEL 0597-23-2100
営業時間 10:00~18:00(夏期は19:00まで、年中無休)