FM三重『ウィークエンドカフェ』2013年9月14日放送

木曽岬村の誕生は明治22年。
木曽川と鍋田川にはさまれたこの場所は、ずっと陸の孤島でした。そこに橋が架かるまで、渡船で弥富や桑名を行き来していたそうです。
そのため、2つの文化がこの村は交じり合い、西と東、それぞれの町の影響を受けたようです。

現在ではトマトの町として有名な木曽岬町、ここまでたくさんの歴史がありました。

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今回お話を伺ったのは、木曽岬の歴史、文化に詳しい古村登さん。
かつては木曽岬町の町長さんでした。
「木曽岬町は、木曽川寄りが伊勢の言葉、西のほうが尾張の言葉なんです。面白いでしょう」
と、古村さん。
今回は木曽岬町の歴史と文化について、お話ししてもらいました。


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木曽岬町は三重県ですが、愛知県の経済圏の町です。
木曽岬は木曽御滝から流れた木曽川の土砂がつり積もって、400年ほど前から人が住みだしたと言われています。

木曽岬村の誕生は明治22年。木曽川と鍋田川に挟まれたこの場所は、ずっと陸の孤島でした。
そこに橋が架かるまで、渡船で弥富や桑名を行き来していたそうです。
そのため、2つの文化がこの村は交じり合い、愛知と三重、それぞれの町の影響を受けたようです。

昔は木曽川の支流の鍋田川というところがあったのですが、これが埋め立てられて、愛知県と陸続きになった。
現在は木曽岬町は尾張弁と伊勢弁が混ざった町となっています。
私は三重県の言葉ですが、かつて流れていた鍋田川を挟んで木曽川寄りが伊勢の言葉、西のほうが尾張言葉となっています。


■木曽川
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木曽川は木曽三川の一つで、長野県、岐阜県、三重県を経て伊勢湾に注いでいます。
そのため、木曽三川流域に暮らす人たちが集まり、川と河川敷の清掃活動を行っています。

基本情報はこちら木曽三川ごみの会





昭和34年9月26日は、木曽岬の人にとって忘れてはならない日です。
伊勢湾台風は、当時の木曽岬町の人口6000人ほどの、およそ1割方の命を奪いました。
ほとんどの家が流され、倒壊。
村から水が引くまで、およそ3ヶ月もかかりました。
今のように公共の支援が充実していなかったため、自力で復興してきたという感じですね。
本当に大変でした。
一番の被害は木曽川の堤防が破壊されたことです。
当時のすべての堤防が決壊したため、桑名、長島、木曽岬、愛知県・・・すべての村に伊勢湾の水が流れ込んできたんです。
それによって、人も家屋も生活も、みんな壊されました。
ほとんどの家が流されました。

東日本大震災の津波も恐ろしかったですが、伊勢湾台風の時はあれに雨風が加わるんです。
真っ暗だし、もう逃げ場がありませんでした。
屋根裏に上がって、家と一緒に流れた人もたくさんいました。
私の家はどうにか残りましたが、朝、明けてみると、村が一面海になっていました・・・。


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現在町内にある、伊勢湾台風の潮位を示したモニュメント。
木の葉がかかっていますが、なんと一番高いところが伊勢湾台風時の最高潮位です。
下から2番目が海抜0m地点。
当時の凄まじい様子がうかがえます。


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『木曽岬神社』は、伊勢湾台風の犠牲者の霊を慰めるため、雁ヶ地地区に創建された神社。


桑名郡木曽岬町雁ヶ地
TEL0567-68-3456




木曽岬は、農業・・・中でも稲作の盛んな地域で、戦後まで米の収穫が、三重県一多かったんです。
もちろん現在も穀倉地帯ですが。

しかし今では『木曽岬町』といえば『トマト』と言われるほど、トマト栽培が盛んです。
実はトマト栽培を始めたのは、伊勢湾台風があったから。
台風で土壌が甚大な被害を受けたため、米に変わるものをと研究した結果、ハウストマトとなったわけです。
『ハウス桃太郎』は糖度が高く、とっても人気の野菜ですよ。
温暖な気候と土壌が合ったのか、他にもメロンやナス、観葉植物などが栽培されています。


■ごたーげさん
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木曽岬町の精鋭が結集し、木曽岬町の特産物を使ったレシピなどを開発しているグループです。

基本情報はこちらごたーげさん





ここ木曽岬町は海抜が低く平坦地なため、景勝地がありませんでした。
木曽岬町を流れる鍋田川が昭和37年に廃川になった時、当時の村長が「何もない木曽岬に、何か後世に残るものを作ろう」と。

そこで廃川となった堤防の土手に桜を植栽し、桜並木を作ることになったのです。
当時の三重県知事も感動されて、何百本という木を寄贈していただきました。
愛知県から木曽岬に入り名四国道の先まで、およそ4km、1500本ほどの桜並木を作ったところ、現在ではとても素晴らしい桜並木に成長しました。

桜の季節になれば、愛知県から三重県に入って来ると、桜のトンネルが出迎えてくれますよ。


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鍋田川沿いの桜街道は、シーズンになると満開の桜が道の上を覆います。
『鍋田川いこいパーク』では毎年4月上旬に『木曽岬町桜まつり』が開催されます。


鍋田川いこいパーク
桑名郡木曽岬町大字和富地内




木曽岬町は尾張と伊勢、両方の文化を受け入れてきました。
愛知県側の祭り『尾張お神楽』のお神楽が一台だけ、伊勢湾台風で残ったため、町で引き取り、修復しました。
町の宝、歴史として残しておきたかったんですね。

三重県側としては、日本一やかましいと言われる『くわな石取祭』。
毎年8月の第一日曜日と、その前日の土曜日に開催される『石取祭』は太鼓と鉦で囃し立てながら、町を練り歩くんです。
『叩き出し』の音のすごさと言ったら!
まさに「日本一やかましい祭り」です。

ぜひ、見に来ていただきたいですね。


■桑名宗社(春日神社)
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基本情報はこちら桑名宗社(春日神社)



そしてちょっと足を伸ばして・・・。

■しろざけや 茂三郎
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『宗社神社』の脇に店を構える、『しろざけや茂三郎』。
『しろざけや』と言っても白酒を販売しているのではなく、季節限定の『かき氷屋』さんです。
営業期間は、毎年6月~9月の終わりまで。


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人気は老舗茶舗『茶茂』の抹茶を使った『抹茶』シリーズ。
(こちらは『クリーム抹茶』450円)


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そして、一日限定20食の『コーヒースペシャル氷』500円!
さらにお持ち帰り用の『冷凍かき氷』などもあり、家でも絶品かき氷を楽しむことができます。


しろざけや 茂三郎
住所 桑名市北魚町23
お問い合わせ TEL 0594-87-6520
営業時間 10:00~17:00
営業期間 6月~9月末