FM三重『ウィークエンドカフェ』2013年10月12日放送

今回のお客様は『公益社団法人伊勢志摩観光コンベンション機構』事務局長の水口良之さんです。

『伊勢志摩観光コンベンション機構』には、14名のスタッフがいます。
伊勢市・鳥羽市・志摩市そして、度会町、玉城町、南伊勢町の観光PR、
映画誘致などのフィルムコミッション事業、修学旅行のセールスなど観光推進のためにいろんな事業に取り組んでいます。

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■意外な観光の素材!

私たちの仕事は、三重県の魅力を発見し、三重県に来てもらうよう、旅の情報発信などです。
そして探していると、意外と観光事業者ではない業種の方が、「これはすごい観光の素材なのでは」ということを一生懸命やっているんですね。
そういうのを発見するのも仕事です。
例を出すと、南伊勢町で体験プログラムをされている『友栄水産』さん。
オーナーさん昔、世界各国を放浪されていた方で、お父さんの後を継いで水産業をしながら体験プログラムとして『つぼ網漁』をやっているんです。
つぼ網漁とは、定置網漁の一種で、網の中に迷い込んだ魚を四方から縮めていき、魚を出られなくする漁法です。
この『つぼ網漁体験』では、天然の南伊勢の魚が仕掛けに入ってくる。
それがやらせではなく、自然のままなんです。
だから、全く入っていない時もあれば、とてもたくさん入っている日もあります。
しかし、それ自体が自然の漁の本当の姿なんだ、ということを伝えたいという思いがあるんですね。
漁師さんが大変な思いで魚を獲っている姿も伝わりますし。

そしてこの『つぼ網体験』、大阪や名古屋あたりの料理屋さんが、体験を兼ねて仕入れにやってくるそうなんです。
これってすごい面白いことですよね。
そういうのに気づかせてもらうのでありがたいな、と思います。
また、1つの観光商品、旅行の目的の1つとしてクローズアップしていける可能性がありますよね。

→友栄水産


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■せんぐう旅博と『参宮木札』

今年は遷宮ということで、近鉄さんのエリアキャンペーンと一緒になって、『せんぐう旅博』というスペシャルなエリアキャンペーンを行っています。

その中で神宮を、パワースポットとしての神宮ではなく、天孫降臨から始まった日本人の歴史感を表す『神宮』として、しっかりお伝えしてきたいですね。

2000年前から培われてきた精神性や文化の積み重ねが、ここ伊勢神宮に凝縮されているんです。
それが過去の遺産ではなく、2000年前から現在も、そしてこれからの500年後1000年後も変わらず続いていく姿がここにはあるんだ、ということをみなさんに感じて欲しいです。

それから、今回のキャンペーンの目玉に、『参宮木札』があります。

江戸時代のおかげ参りは、貧しい中、お伊勢さんを目指して全国から参宮者が集まりました。
その参宮をする旅人たちをもてなすのは伊勢の神領民。
彼らの心意気のお陰で、無事参宮できたわけなんです。

そして、おかげ参りの目印は、参拝するときに手水に使う柄杓だったそうです。
旅人は柄杓を菰に巻いて、背中に背負って旅をしてきます。

そんな参宮に来られたお客様を、神領民たちがあたたく迎え入れ、お腹が減っていればおにぎりを、のどが渇いていたら水を差し出し、わらじが擦り切れていたら、新しいわらじを用意する・・・無償のもてなしで迎えてきました。

そこで今、現代のおかげ参りを象徴するものとして『参宮木札』を、伊勢市のみなさんが中心となって、取り組んでいます。
『参宮木札』を首からぶら下げられて来られたお客様には、おかげ参りと同じような気持ちで、旅行者の方をあたたかく迎え入れ、また次に来ていただくきっかけにする。
これを『せんぐう旅博』で展開しています。
この『参宮木札』を大切に思ってくれる旅行者の方がとても多く、嬉しいですね。
地元の人たちとふれあい、おもてなしの心を感じていただけた証だと思います。
「伊勢志摩に来てよかった」と思っていただくことが私たちの幸せですから。


※参宮木札
配布期間
巳:平成25年10月1日(火)~12月13日(金)の平日(土・日・祝は除く)各日先着100名
午:平成26年1月14日(火)~3月31日(月)の平日(土・日・祝は除く)各日先着100名
外宮前観光案内所にて無料配布(8:30~)
旅博インフォメーション12カ所で販売もしております。(平成26年3月末まで)


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■伊勢志摩だからこそ感じてもらえる修学旅行を!

修学旅行で伊勢に来るのは、関西、特に大阪からが多いです。
最近では目的も多様化していまして、テーマ性のある修学旅行が増えていますね。

例えば広島へ行って平和学習するとか、環境問題のある地域で環境学習、また定番の歴史文化の学習をする・・・と、いくつか分かれてきており、以前のように、こぞって伊勢神宮や二見の興玉神社、夫婦岩といった定番コースではなくなっています。

その流れはとても良いことだと思います。
神宮も、単にお参りするだけではなく、2000年間の歴史を学んで欲しいですね。

神宮は壮大なリサイクルの歴史でもありますし、お米・塩・果物・野菜。海のもの・・・全部自給自足で作ってきた、日本人本来のライフスタイルの歴史もあります。
また、建築技術でも米倉から発達した、釘をほとんど使わないた『唯一神明造り』など、世界でも類を見ない建築様式があり、現代までその技術が受け継がれてきています。

そういうことを伊勢神宮に来ることによって、知っもらうきっかけにしてほしいし、環境と共生してきた日本の暮らしぶりというものも発見してもらえると思います。
さらに豊かな国立公園としてのロケーションの素晴らしさ、海女さんなどの漁業と直結した暮らしぶり・・・そういうのものが神宮や伊勢志摩に来れば、楽しくプログラムされて学べます。
こういったことを目的として、もう一度伊勢志摩を見直してもらえると嬉しいですね。


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■映画の顔出しパネルが大人気!

伊勢志摩は、昔から多くの映画やドラマ、CMなどの撮影が行われてきました。
中でも鳥羽市の神島が舞台となった三島由紀夫の作品『潮騒』は6回も映画化され、その都度、神島でロケが行われています。

今年の6月には、2作目のヒロインである吉永小百合さんが49年ぶりに神島を訪れ、島が大いににぎわいました。
鳥羽のみなさんも6作目をぜひ映画化したいとの思いがあります。
そんな思いを通じて、吉永小百合さんの神島への里帰りが実現できました。

『せんぐう旅博』期間中は、『伊勢志摩観光コンベンション機構』の取り組みの1つである『フィルムコミッション』との関連で、映画の顔出しパネルを作っています。
伊勢志摩管内の11ヶ所に配置して、そこをめぐってもらうという周遊プランもご用意していますので、今はやりのスマートフォンなどで撮り、気軽に写真をアップしてくれるとありがたいです。
顔出しパネルの一例として『ゴジラ』があります。
実はゴジラの初上陸地は鳥羽なんですよ。
怪獣シリーズでは『ガメラ』もあります。
また、三重県の国道42号が舞台の、今年封切られた映画『ルート42』、山口百恵さん主演の『潮騒』など。
著作権や肖像権で了承していただけたものをパネルにして、設置させてもらっています。
他には伊勢の木遣衆、伊勢神宮に関係の深い松尾芭蕉、西行さん、倭姫伝説を歌った『やまとひめ伝説』なども顔出しパネルにしましたので、ぜひ、旅の思い出づくりにめぐって欲しいですね。

この『顔出しパネル』、なかなか人気があるんですよ。
今年の『お白石持ち行事』で、『伊勢志摩観光コンベンション』は浜参宮(二見興玉神社)でのおもてなしの担当で、二見シーパラダイスでみなさんをお迎えしました。
二見シーパラダイスは、西行さんと芭蕉さんの顔出しパネルを設置したところ、ご家族連れや若い女性のみなさん、年配のご夫婦が一生懸命写真を撮っているのです。
本当に良い光景ですよ。

二見興玉神社や二見シーパラダイスなどがある海沿いは、景色も本当に素晴らしいです。
この美しい景色を見るには、今の季節だと夕方の6時ごろ。
一番きれいなのは、真冬です。
天気の良い、空気が澄んだ日、夕日の沈む光はシャンパンゴールドの道筋を海に記します。
その素晴らしい輝きこそ、伊勢志摩を訪れる人への最高のプレゼントですよ。

これから伊勢志摩への旅を予定されている方がいましたら、『せんぐう旅博』のホームページやパンフレットを見てからお越しくださいね。
みなさんの旅が、より充実しますように。