三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2013年10月27日放送

身体にハンディを背負っていてもスポーツを楽しみたい!
下肢切断者のスポーツクラブ『大和鉄脚走行会』は、障がいがある人もない人もいっしょになってスポーツを楽しんでいます!

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颯爽と走っていますね!!

今回ご紹介するのは、『大和鉄脚走行会(やまとてっきゃくそうこうかい)』のみなさん。
いなべ市北勢町にある日下病院の整形外科医と、理学療法士、そして患者さんが中心になって立ち上げられた、下肢切断者のスポーツクラブです。
発足から1年半。
最初はわずか3名だったメンバーも、今では40名を越え、
障がいがある人もない人もいっしょになってスポーツを楽しんでいます。
活動は月に1度。
桑名市総合運動公園や東員町の陸上競技場に集まり、トレーニングをしています。


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活動を始めたきっかけを、理学療法士の堀田貴弘さん(左)、渡辺聡太郎さんにうかがいました。

渡辺「僕の主治医の加藤先生とリハビリの時に話している時、何気なく『走ってみたいなあ』と言ったんです。そうしたら加藤先生が『じゃあみんなで走ろうよ』と。でも最初は僕たちのような義足ユーザーが100mダッシュで14秒・13秒で走れるとは想像もできませんでした」

堀田「そこで20年前から活動している切断者のスポーツチームへ勉強に行って、理学療法士の動きや練習法を教えてもらいまして」

渡辺「帰りの新幹線の中で『良い団体だったね』『三重県でも立ち上げたいね』という話から、練習の初日まで決めました」

『大和鉄脚走行会』の結成のきっかけともなったのは、渡辺さんの「走りたい」という一言。
そんな渡辺さんは、20歳の時にバイク事故で左足をひざ下から切断。
義足をつけて歩けるようにはなったものの、走ることは10年以上できなかったといいます。


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月に1度の合同トレーニングの日。
今回も初めて参加する人や、県外からの参加もありました。
まずはストレッチなど準備運動から。
義足をつけている人もいない人もメニューに違いはありません。


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そしていよいよ走行の練習へ。
ここで普段つけている義足から、『板バネ』と呼ばれる陸上競技用の義足に付け替えます。
軽いカーボンファイバー製で、強力な弾力性をもっています。
『板バネ』は体重をかけるとしなって反発するので、走りやすくなるそうです。


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こちらは競技用の義足を付けて、まだ間もない石田真彦さん

「18の時に障がいになって、多分、これだけ走れたのは、もう20何年ぶりです。
『また走れる!走れた』という気持ちで、とても嬉しいです」


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こちらは義足での走行を体験できる器具。
これを装着すると、いかに義足のみなさんがリハビリやトレーニングを積んできたのか、いかに頑張ってきたのかを実感できます。


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日根野翔太さん(左)と前田良伸さん。
前田さんはトライアスロンに挑み続けている、義足のアイアンマンです。

日根野「1人で練習するのと違い、競い合えるので、楽しく練習できます。記録は今年のジャパンパラリンピックで14秒94です。次の東京パラリンピックを目指しています」

前田「みんなが明るいから、もっと頑張らなきゃ、という気持ちになるね」


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『大和鉄脚走行会』結成のきっかけの一人、整形外科医の加藤弘明さん。

「渡辺さんと堀田くんと3人で、3人でも60までやろうと始めたた会なので、3人でも続けるつもりでした。
だから、やりたい人がたくさんいるというのが発見でしたね。
義足で走ることをそもそも知らずに諦めている人もいると思うので、是非一度来て、みんなで走って、『あ、走れるんだ』というのを体験してほしいです」

「リハビリで歩くのがゴールではなく、『走る』ことにチャレンジする、またチャレンジしている人を知ることで、長期的に走れるようになるようなプログラムを考えたり、入院患者さんにも大きな影響を与えてくれているので、仕事やリハビリの幅が広がった・・・本当に大きな変化だとと思います」
と、堀田さん。

「障がい者とか健常者だからとか分け隔てなく、みんなが集まって一緒に走って楽しめるような会になれるといいなと思います。
走ることに関してはいつかはフルマラソンとかも挑戦してみたいなとは思ってます」
と、渡辺さん。

10月20日、渡辺さんは、菰野町で行われた第8回鈴鹿山麓かもしかハーフマラソンに出場。
見事、完走を果たしました。

あきらめずに走る。
そこには微塵の暗さもありません。
走る先にあるもの・・・それはみんなの笑顔です。