「ふれあい」VOL.20 2010年3月号

便ノ山地区の英雄・種蒔権兵衛さんを『権兵衛踊り』を通して町内外に伝えたい!
種まき権兵衛祭では、故郷の英雄・権兵衛さんと村人の強い絆が生んだ踊り「権兵衛踊り」が楽しめます。


会長 畑内 紀雄さん

故郷の英雄・権兵衛さんと
村人の強い絆が生んだ踊り

故郷の便ノ山地区に伝わっている種蒔権兵衛さんの言い伝えから誕生した『権兵衛踊り』を残す活動をしています。

権兵衛踊りの起源は分からないのですが、農作業が苦手だった権兵衛さんが便ノ山村で村人に農業の手ほどきを受けたお礼として、村人に災いをもたらす大蛇を成敗し恩返しをした。

そんな村人と権兵衛さんの心温まる絆ですかね。
そういう絆から権兵衛踊りは生まれたのではないかと考えています。

権兵衛さんが亡くなったのは今から300年ほど前の1736年のことですから…。
村人との強い絆がなければ権兵衛さんの功績は伝えられてこなかったと思います。
こんな長い年月、権兵衛さんは、村人に慕われてきたんですね。

昔から伝わってきた踊りを真似て
現在の権兵衛踊りが形になった

私たちの種蒔権兵衛保存会は大正12年に結成されているのですが、当時の資料にも権兵衛踊りのことは書かれていません。

ただ、盆踊りの晩に権兵衛さんを偲んで、村人が権兵衛さんの格好に見立てた百姓姿で踊ったという話を子どもの頃に聞きました。
権兵衛さんの話を何かの形で継承していくために踊りといった形が必要だったんではないでしょうか。

会員数をもっと増やし、
権兵衛踊りを踊れる後継者を育てたい

現在、権兵衛踊りは古くから守られてきた「旧権兵衛踊り」、旧権兵衛踊りを現代風にアレンジした「新・権兵衛踊り」、子どもも踊りやすい「新・新・権兵衛踊り」の3種類があるんですが、私たちが心配しているのは会員の減少と後継者の問題ですね。

今の子どもたちは学校を出て社会人になるとよその土地に出て行ってしまうので、どうしても町に残る人が少ないんですね。
でも、権兵衛さんの功績や便ノ山地区をPRしていくためにも、権兵衛踊りの踊り手として、若い人に入ってもらいたいですね。

他の地域で踊りの会を作っている方からの問い合わせや、踊りを教えてほしいというお話があります。踊りをやっている方には、一風変わって見えて、興味を引かれるんでしょうか。

保存会自体に参加はできないけれど踊りを教えてくれないかという人はいるので、踊りの練習などに地域内外から参加してもらえるように考え、地域芸能を継承していきたいですね。


宝泉寺 住職 竹内 文英さん

世界遺産『熊野古道』を
訪れる皆さんに来てもらいたい

権兵衛さんが熊野古道馬越峠で大蛇を退治した言い伝えから、古道を訪れた際に当寺院まで足を運んでくれる方もみえますが、これからは権兵衛さんのゆかりの地としての魅力を伝え、もっと多くの古道客の方に来てもらえたら嬉しいですね。
(権兵衛さんの民話に登場する「ズンベラ石」や銃などが見学できます。)


NPO法人ふるさと企画舎 理事長(権兵衛役) 田上 至さん

権兵衛を演じるのを認めてくれた保存会の
皆さんや地域に感謝したい

ぼくが権兵衛姿になって銚子川で舟渡しができるのは、保存会の皆さんや地域が権兵衛さんを守ってきてくれたおかげですね。
この衣装も保存会の会長からいただいたんですよ。
これからも権兵衛さんと古道など、それぞれの観光スポットをうまく繋ぎ情報の発信をしていければ楽しくなると思いますね。


紀北町役場 濵田 多実博さん、植松 登志典さん

権兵衛の里を通じて
権兵衛さんや権兵衛踊りを売り出したい

権兵衛の里には、地域の方も、観光に来られた方も憩いの場として利用できる日本庭園や権兵衛さんの民話をアニメで楽しめる資料館などがあります。
この施設を通じて権兵衛さんの魅力を発信していくことで権兵衛祭りに参加したいという方が増えてくると嬉しいですね。


便ノ山地区 区長 玉津 正人さん

権兵衛踊りがなくては
権兵衛祭りは始まらない

権兵衛踊りは、祭りになくてはならない名物です。
私の気持ちとしては、祭りのときに踊りをもっともっとたくさん披露してもらえたらなあと思います。
そして祭りに来てもらった皆さんに権兵衛さんの魅力を感じてもらいたい。
そのためにも保存会の活動に新しい方が参加してもらえるようにしたいですね。


便ノ山地区 顧問 玉津 充さん

権兵衛さんを守る輪を
紀北町全体へ広げたい

権兵衛さんは、便ノ山地区の大切な宝です。
自治会でも権兵衛祭りを通じ、子どもたちも一緒に踊れるきっかけを作り、後世に残そうと考えています。
旧海山町の時代に踊りを町全体で支えようと、便ノ山から他の地域に嫁いだ方も来てくれました。
これからは合併で広くなった紀北町全体で守っていければと思います。
実は私も権兵衛踊りを踊れるんですよ。


種蒔権兵衛保存会の踊り手の皆さん

民話の通りに振り付けが再現された、ほかの地域にはない踊りなんですね。
小学生の頃に、お母さんたちが権兵衛踊りの稽古をして踊っているのを見ていたから、これだけは残していきたいと思っています。
ただ、少しユニークな踊りなのでなかなか地元の方も参加しづらいのでしょうか。
保存会のメンバーも他の地域から嫁いできた人がほとんどなんですよ。

色んなチャンスを活用してもっと権兵衛さんの踊りを知ってもらう機会を作り、多くの人が訪れることで地域をにぎやかにしていきたいですね。
男性会員も大歓迎!!
権兵衛踊りは毎月1回練習を行っています。
権兵衛踊りの練習に参加してみませんか。

(問)種蒔権兵衛保存会 TEL 0597-32-2057