湯の山温泉、僧兵まつりの他にも、御在所ロープウェイや地場産品のマコモ、そして知られざる名跡など、たくさんのオンリーワンがある町、菰野町。
長い歴史がありながらも、新しく移り住んでくる人も多く、現在の人口はおよそ4000人です。
今回は、菰野町教育員会社会教育室の浅井優萌さんと菰野町を巡ります。
浅井さんは、いつも菰野町の図書館でお仕事をしています。
歴史に関するお話をしたり、郷土資料のコーナーを担当して、訪れる人にいろいろなことを教えてくれるんですよ。
その浅井さんが、一番に菰野町のおすすめの場所として紹介してくれたのが、竹成の五百羅漢。
■大日堂境内の『五百羅漢』
菰野町の誰でも知っているのが、竹成にある『五百羅漢』。
大日堂というお寺の境内にこんもり山があって、そこ469体の羅漢さんが並んでいるんです。
泣いている羅漢さん、怒っている羅漢さん・・・いろいろな表情をしており、自分に似た顔が必ずあると言われています。
今でも登っていけるんですよ。
しかも仏様だけではなく、閻魔さん、天照大神さん、七福神に天狗さんまで、いて、神仏集合なのが不思議なところです。
五百羅漢を彫った神髄和尚の石像もあるので、探してみてはいかがでしょう。
そもそも羅漢は仏教のくらいとしてはお釈迦様のお弟子さん。
本堂にある大日如来さんも、県の文化財に指定されているので、見事な物です。
大日如来の後背が紺色でラピスラズリのような色で美しいんです。
●五百羅漢
大日堂境内の小さな山、頂上の大日如来と四方仏を中心に、496体の羅漢が並んでいます。
毎年5月5日には『藤まつり』を開催。
藤棚の下、五百羅漢を眺めながら、野点や茶会などを楽しむことができます。
■江戸時代まで続いていた、菰野藩
藩主は土方家。
もともとは土方雄氏、織田信長の息子に使えていた人。
領地は関ヶ原の戦いの後、徳川家康から1万2千石をもらった城下町となっています。
江戸時代は他の藩はお取り潰しにあったりしていたのですが、菰野藩は江戸時代の終わりまで続きました。
菰野藩だけでなく、桑名藩なども混ざってきますが、基本的に土方家が藩主。
姫路城や大阪城のような、みなさんが思い描くお城はありませんでしたが、陣屋、いわゆる館が、今の菰野小学校のあたりに建てられていました。
●三岳寺
織田信長の焼き討ちに遭い、消失した寺院を土方雄豊が江戸時代に再建した『三岳寺』。
焼き討ちに遭った際に戦った僧兵を忍んでの『僧兵まつり』が有名ですが、現在で者ご縁を結ぶパワースポットとしても有名です。
■菰野町には隠れた名所が!
夏休みになると毎年、子どもたちが図書館に来て、宿題として菰野町の歴史などを調べます。
私も子どもたちに歴史に持ってほしいので協力したいのですが、彼らが必ず言うのは、「何やったら良いのかわからん」。
そこで、「君たちはどこに住んでいるの?」と聞くんです。
菰野町は菰野地区、朝上地区、千種地区、鵜川原地区、竹永地区があります。
その中でどこに住んでいるのかを聞き、まず、その地区の歴史を調べることを勧めます。
一番身近な歴史を知るのが重要だと思うので。
例えば、竹永地区は竹成の五百羅漢、朝上地区は杉谷や尾高観音、千種には陸軍の演習場があったり。
菰野地区はお城跡や寺社仏閣があります。
●尾高観音
静かな森の奥にある六角の観音堂。
聖徳太子の作とされる千手観音菩薩立像が安置されています。
この4月12、13日は、年に1度の千手観音の御開扉です!
■宮廷歌人 鈴木小舟
私が今とても興味を曳かれているのは、鈴木小舟さん。
菰野の人にもほとんど知られていないのですが、宮廷に上がった歌人なんです。
江戸時代の終わりに、菰野で生まれました。
お父さんは勤王の志士となるくらい過激な方だったそうで、小舟さんも横浜の女学校に入り英語を習ったり・・・時代の最先端を行っていたんですね。
そんな彼女が菰野に帰ってきた時に詠んだ歌が、当時の明治の皇后様の目に留まって宮廷に上がったと。
そんな時代に菰野から宮廷に登った女性がいたなんて、素晴らしいです。
「世の中の春には遊ひあきにけりいさ鴬と山こもりせむ」
春の情緒あふれる歌でしょう。
菰野町の旅をさらに楽しむなら・・・
●御在所岳
ロープウェイで山頂まで行く事ができ、春は花、夏は涼、秋は紅葉、冬は雪…と、四季折々の自然を楽しむことができます。
いくつもの登山コースがあり、初心者から上級者まで、また、山歩きから本格的なロッククライミングを楽しむことができます。
●湯の山温泉
開湯1300年。関西の奥座敷とも言われ、豊かな自然と良質な温泉が楽しめる温泉地。
多くの宿で日帰り入浴を行っているので、散策の途中に立ち寄ることができます。
●パラミタミュージアム
池田満寿夫の陶彫『般若心経シリーズ』をはじめとする多彩なコレクション群と、魅力あふれる企画展を両輪に、展覧会を開催しています。