三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」2011年4月24日放送

450年伝わる『一色能』・・・郷土の歴史と文化の重みをを感じつつ、地域住民が一体となって、奉納能を作り上げます。

伊勢市一色町で、450年の歴史を持つ『一色能』。
室町末期、北畠家の滅亡によって庇護を失った能楽師が、伊勢の一色に移り住み、以来ずっと守り伝えられている伝統芸能です。

この地域の歴史と伝統を守っているのが『一色町能楽保存会』のみなさん。
一色能の最大の特徴は、舞や囃子、そして演出も、すべて地域の人が中心となって取り組んでいること。
現在メンバーは、キャリア50年を超えるベテランから、3歳の子どもまで、およそ80名。

毎年3月に行われる一色神社の例大祭では、保存会と地域が一体となって地元、能額の舞台を作り上げます。

一色町の人たちにとって、年に一度の奉納能は、一年で一番大きなイベント。
一年間、例大祭に向かって練習を重ね、例大祭が終わると安心して一年間を過ごすことができるのだとか。
かつては学校もお休みになるほどの、まさに「お祭り」だったそう。
稽古にも熱がこもります。
能楽の先生である高林白牛口二さんも、京都から駆けつけてくれました。

『一色能』自体も県や市の無形文化財に指定されていますが、能面や装束などの小道具類も、有形の重要な文化財として指定されています。
これらの歴史と文化を身につけて、舞台で舞うのです。

舞台の建てこみには、保存会のメンバーだけでなく、地元自治会のみなさんも参加。
毎年繰り返されてきた町をあげての祭り、その準備です。
出演者も裏方も関係なく、みんなで力を合わせて作り上げていくのが一色能。
一色町の歴史、文化、町を思う気持ちがここにあります。

能の舞台には欠かせない鏡板。
これはなんと、藤堂藩が安政の時代に作った鏡板を、明治になってから一色町が譲り受けたもの。

そして一色神社例祭能 奉納能当日。
町をあげての奉納能だけあって、小さな子供も堂々とした踊りを見せています。

この日のトリを飾るのは『猩々』。
「シテ」と呼ばれる主役を演じているのは、会に入って25年のベテラン、石原隆明さん。
これまでは囃子と唄を中心にやってきましたが、今年初めて主役を努めることになりました。

450年にわたり継承されてきた、郷土の歴史と文化。
一色町の伝統芸能は、おじいちゃんおばあちゃんから、お父さんお母さんへ・・・。
そして次代を担う子どもたちへ・・・舞い、唄い、紡がれていきます。