FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年5月8日放送

今日のお客様は、伊勢で1300年以上続く名刹・松尾観音寺のご住職、木造隆誠さん。
既成宗派に属さない観音寺には、さまざまな国のさまざまな宗教の人たちも訪れるそうです。
そんな『集まる場』としての、お寺の役割を、熱く語ってくださいました。

■松尾観音寺は宗派に属さないお寺?

そうなんです。
1300年以上続いているため、大火や統廃合があり、私自身が何代目なのかはわからないですが、創建当時から一貫して、どこの宗派にも属さない『単立』を貫いています。

それから、お寺には2種類あって、本山や檀家さんを持つお寺と、檀家さんを持たずに祈願を目的としたお寺。
松尾観音寺は、祈願を目的とした『祈祷時』で、悩み事や心配事や願い事・・・色々な願い事の祈祷をしています。

なので、境内の絵馬を見ていただけるとわかりますが、中国語やタイ語、英語・・・さまざまな国の方が訪れ、さまさまな言葉で願い事が書かれているんですよ。
お参りの仕方もいろいろです。
ひざまずく人がいたり、敷物を敷いてその上に座って祈る人もいたり・・・どんな形であっても良いんですよ。

■『木造』家は何故、観音寺の住職に?

『木造』の先祖は、ここ伊勢ではなく久居の『木造町(村)』が出身なんです。
そこで城を構えて城主となっていたんですが、伊勢の国の国司・北畠家が滅んだときに、北畠家が崇拝していた松尾観音寺に、木造家が身を寄せた・・・という形で、以来住職を継いでおります。
私は20歳の若さで寺を継ぎましたが、既に17年経っていますので、キャリア的にはそこそこかと(笑)

■観音寺には、色々な逸話があるとお聞きしましたが・・・

はい、あります(笑)
そもそも観音寺がこの地に建てられたのは、本堂裏にあります二つ池に雌雄の龍が住んでいるという伝説からなんです。
古くは600年前、本堂が火災にあった際、二つの池から龍があらわれ、本尊である観音様を守ったと言われています。
なので今では、ここ観音寺は『水難除け』のご利益があるとされているんですよ。
また、観音様が難を逃れたのにちなんで、年末に一年の厄を落とす『毎年参り』も行っています。

最近ではですね・・・なんと、本堂の床板の模様が龍に見えると、口コミで噂になりまして、東京からわざわざ見に来るお客さんもいるんですよ。

■お寺は元来、色々な人やものが集まる場所!

仏教が伝えられたときに、土木、医学、建築とか・・・お寺や僧侶を介して色々なものが広まっているんですよね。
今の時代のお寺の役割は、人々が集まり、発信されるコミュニケーションの場。
また、命も含め、いろいろなものが軽んじられてしまいがちな今、人だけではなく人と物・・・万物を大切にしてほしいんですよ。
そんな気持ちで3年前から年2回、春と秋に『手づくり市』と『骨董市』を開催しています。
古いものを大切にして後世に伝えることと、新しいものを作ってそれをまた大事に使い続けることを、市を通して気づいてもらえたら嬉しいですね。
古くなった下駄は捨てるんじゃなくて、綺麗な鼻緒にすげ替えて・・・着物や端切れを使ってちょっとした手提げ袋とか・・・モノや人が『再生する市』を目指しています。

他にも松尾観音を賑わせるために結成された『十八回』が、毎月18日に観音市を開催していたりと、人を集う企画をどんどん進めています!

お寺は意外と、魅力的な場所なんですよ。
皆さん、もっともっとお寺に来てください!

まずは、毎月18日に行われている『観音市(10:00~15:00)』へどうぞ!

※観音市主催『十八会』
 TEL 0596-22-2722