FM三重『ウィークエンドカフェ』2014年9月6日放送

今回のお客様は、尾鷲市早田の町に『地域おこし協力隊』として赴任した石田元気さんです。
7月に都会からやってきた彼は、少しずつですが町に溶け込んでいるようです。

『赴任して最初の1週間は、朝の4時30分に起きることがとっても辛かった。
でも朝日を浴びると生きているって感じることができる』

最近では、船が欲しいそうですよ。

9-6-1

■『地域おこし協力隊』のミッション

『地域おこし協力隊』は国によるプロジェクトで、現在の僕の所属としては市役所になります。
市役所に所属して、この『早田』という人口150人の集落を町おこししていくのが僕の仕事。

早田は漁師の町なので男の人は仕事がありますが、女性にあまり仕事がないのです。
だから、女性向けの仕事を作っていくという、今のミッション。
最近ようやく、ある程度流れができ始めていて、地域のお母さんが月に一回集まって、地元で捕れた魚や、地元産の野菜を使ったお弁当を作販売しています。
それをもっとうまく形にしていって、法人化していけたらな、と思っています。

僕が来たのは7月で、先日一度、お弁当作りが行われました。
その時は特別注文ということでオードブルなんですが、サザエがてんこ盛りなんですよ!
白身のフライや、アオリイカの刺身があって・・・弁当じゃないレベル(笑)
しかも値段のわりに入っているものが豪華すぎでした(笑)
とにかくすべて地の物で、美味しさと新鮮さが詰まっている。
白身魚のフライも、よくお弁当に入っている冷凍のものではなくて、その場で捕れた魚を、お母さんがさばいてフライにしているので、美味しさが全然違います。

魚の町ということで、観光客のみなさんに見てほしいのは、やっぱり朝の市場。
大漁だと、町の人たちが直接魚を買えたりする時があるんです。
大漁の時はサイレンが鳴ります。
そうすると、みんなでバケツを持って降りてきて、魚をみんなで取り合って持ち帰る・・・面白い光景なので、ぜひ見に来てほしいですね。


4-6-2

■男の井戸端会議は漁協の自販機前

早田に来たときの第一印象は、「小さい町だな」と。
10分くらいで町を回れるほどでしたし。
また、おじさんたちが昼からお酒を飲んでいると言うのが印象的で、とてもビックリしました。
漁が終わってから、ワンカップ一気飲み(笑)
あんなに美味しそうに飲む人、みたことないっていうくらい。
漁師町ならではの光景ですね。
漁をする人は時間のサイクルが我々と違うので、夕方にはもう眠くなっちゃう。
昼の3時くらいが夕飯の感覚だったりするし。
5時くらいには家に引っ込んじゃいますもんね。

漁業の前にお酒の自販機が1台あるんですけど、そこの売り上げがすごい。
そこしかない上に、一升瓶まで売っているんです。
その前に集まってくる空き缶の量が山盛りで、収拾が付かないことになっています。
でもまあ、ある意味、その自販機の前が早田のコミュニティスペースなんですね。
いつでも誰かいるというか。
男の井戸端会議が行われています(笑)


4-6-3

■魚をさばけるようになった!!

ちょっとした風の変化で「あ、風が変わってきたね」みたいな会話が繰り広げられていて、僕にはわからないんだけど、漁師の人たちにはわかる。
風や雲の動きに敏感なのが、とてもカッコいいです。
僕も早くそうなりたいです。

あと、男として魚をさばけるようになりたいですね!
今までまったくさばいたことがありませんでしたが、早田というか漁師町では、男が魚をさばけないといけないので、今、仕込まれています。
包丁は近所の方が出刃包丁と刺身包丁をくださったので、それを使っています。
ようやく最近さばけるようになり、昨日は小ガツオをさばいて焼いて食べました。
その日釣ってきたものをもらったので、やっぱり美味しいですね!
早田に来るまでは、切り身すらも調理したことなかったんでです。
けれど、焼くことを、フライパンでも以外にいけるということがわかると、自分でもできるな、と。
料理のバリエーションはまだまだ(笑)
今のところ切って焼くだけか、刺身にするかしかないので、これからバリエーションを増やして行きたいです。

そういえば先日、マグロを共同で買った人がいたんですが、それも1人でさばいちゃいました。
解体ショーみたいですが、それが生活の風景の一部になっているんですね。


4-6-4

■縁があって赴任した早田で、自分にできることを探す

この仕事についたきっかけは、東日本大震災です。
僕は宮城県出身で、大震災が起きた時は東京で就職していたため、数日間、家族とも連絡が取れず不安でたまりませんでした。
そしてその時、自分の地元がなくなること、地元の繋がりがなくなることを考えると、とても悲しく思えて・・・そこから地域の仕事に興味が出てきました。

そこから仕事外で地域のことなどの活動をした後、『地域おこし協力隊』に登録したという感じですね。

『地域おこし協力隊』は全国の自治体で募集をかけていて、任期は最大3年。
なので、タイミング的に募集している自治体が色々あり、自治体ごとに依頼したいミッションが違います。

僕がここ尾鷲市早田の『地域おこし協力隊』になったのは、2年ほど前に尾鷲市商工会議所で、「東京で働きながら地域のことをしたい」という人たちを集めた、地域に向き合わせようというセミナーに参加したこと。
当時僕は東京で働いていたので、セミナーに参加したことで初めて尾鷲に来て、以来、商工会議所の伊東さんとやりとりさせてもらって。
そして僕が東京での仕事をやめようかな、という話をしたら、『地域おこし協力隊』というのがあるよと教えてもらって、応募させてもらいました。

早田にはのんびりとした「早田らしさ」があるので、それを残しながら、いかに若い人たちを呼び込めるかに挑戦していきたいですね。

実は、昨日発売された、ロハスな人のための快適生活マガジン『ソトコト』10月号の巻頭で、僕について特集を組んでいただきました。
これを目にした若い人が、尾鷲に、早田に興味を持ってきてくれると嬉しいです。