FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年8月21日放送

最近、お芝居って見てますか?
演劇の世界は興味ありますか?
今日のゲストのお話を聞けば、劇場に足を運びたくなります。
津あけぼの座 支配人 油田晃さんです。
江戸橋駅の近く、たくさんの学生が行き交うこの場所が油田さんの宝箱です。
お芝居のおもしろさ、生で見ることの大切さ。
演劇ひとすじの油田さんから、役者、脚本家、演出家としての楽しさもたくさん教えていただきました。
まずは、あけぼの座に行って空間を楽しんでみませんか?

「だいたいどんな人でも『江戸橋駅を降りたらわかる』って聞いたらたどり着きます(笑)!立地の良さは天下一品です」

■津あけぼの座は、どんな劇場ですか?

小さな小さな劇場です(笑)
実は昔、この辺りに『あけぼの座』という芝居小屋があったようなんです。
でも現在というか当時、三重には、東京や名古屋にあるような民間クラスの小劇場がなくなっていて。
誰かが作らねばという想いはありましたね・・・しかしまさか、自分がやるとは思いませんでした(笑)
オープンしたのが、2006年の10月22日。
よく今までもっているなあと、自分でも思います。

この劇場の規模を考えると、儲けるのは難しいとわかっていたので、最初から道楽に徹しちゃった。
それで気持ちが楽になった(笑)
ここは、人と人との繋がりを作り、はぐくみ、アーティストたちの成長を促す・・・いわばソフトを充実させた劇場なんです。


■道楽でしたいほど演劇にのめり込む・・・油田さんと演劇の出会いは?

高校までは全然興味もなく、ほとんど観たこともありませんでした。
それが大学に入ったら、周りで演劇をやっている人が多かったんですよ。で、ホントにたまたま「ちょっとやってみない?」と誘われたのがきっかけ。
最初は舞台道具を作ったりの製作や、ポスターを作ったりの広報をしていたんですけど、途中で一人空いたから出ろって言われて初出演。
・・・次の芝居で、気づいたら脚本書いていました(笑)
なので独学です。
今では支配人の傍ら、演出と台本もこなします!

■ズバリ、演劇の魅力は?

今、映画1本が1,800円・・・津あけぼの座で上演する舞台も、同じくらいな価格設定にしています。
で、映画でも演劇でも、つまらないのに当たっちゃうってことってありますよね。
つまらない映画は、その時どんなに腹がたっても、数日で忘れられちゃう。
でも、つまらない演劇は、その人を一生演劇から遠ざける可能性があるんです。
それだけ『生の舞台』の力は大きいんですよ!
何十億かけたハリウッド映画より、どんなに小さな劇場でも、目の前で繰り広げられる舞台には人生を変える力ほどの魅力があるんです。
ちなみにまあ、僕もその魅力に取り付かれた一人で・・・。
正直、出会わなかったら良かったと思います(笑)

■津あけぼの座の役割は?

三重発の「世界で活躍するアーティスト」を生み出す場になれば・・・と。
別にここを拠点にしてほしいわけではなく、地方からでも世界に通用するアーティストを生み出せるということを実践したい。
そういった意味での、アーティストの研鑚の場としての役割を担いたいです。

あともっと、小劇場ならではの可能性を追求したいです。
既に年に数回の落語会や、一時間ストーリーがあってじっくり見せる『シアタークラウン(ピエロ)』などに挑戦していますが、いつかはコンテンポラリーダンスをレジデンス形式でやりたいし・・・色々構想はあります。

『劇場』ってずっと昔からあったと思うんですよ。
最初は火のまわりにみんなが集まって、獲って来たイノシシなんかを食べながら。
「オレがイノシシの後ろに、こう回りこんで・・・!」みたいな、手振り身振りがスタートだったと確信しています(笑)
・・・時代が流れて、舞台装置が凝ったり照明が点いたり色々変わったけれど、連綿と繋がる文化としての『劇場』を伝えるのが、僕の役目だと思っています。