FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年9月4日放送

元気のいい声と魚をおいしく語る人。
今日はねじり鉢巻もかっこいい雑魚屋 かんばやしの藤川孝二さんです。
大阪から熊野にやってきてもう数十年、すっかり熊野人です。
ここのお店の売りは鰻を使ったお弁当や『うなむす』!
県外の方や熊野出身で県外に住んでいる人から発注が入ったときは 地元の新聞も一緒に送っているんですって!
これがお客様に大変喜ばれているんだ~と誇らしげに語る藤川さん。
おにぎりやお弁当には、必ず東紀州の食材を使ってます。
熊野に行ったら、ぜひ藤川さんに会いにいってください。

■『かんばやし』と言えば、『鰻』ですが・・・

もともとは鮮魚も扱っていたんだけど、漁獲量が減ったり大手スーパーが進出したりでね、後を継ぐときに思い切ってやめちゃった。
それで干物とお弁当と鰻を扱っていたんだけど、中でも鰻に力を入れようと。
一匹でも多く鰻を食べてもらおうとがんばってね、価格を抑えた鰻弁当を売り出して、ようやく軌道に乗ったところです。

でも私は貪欲でして(笑)
もっと手軽に鰻を食べてもらえないかと、考え出したのが『うなむす』です。
ご飯に鰻のたれを混ぜて、芯にうなぎの蒲焼を入れておむすびにしたもので、人気商品です。
熊野の花火大会のなどのイベントのとき、いろいろなものをちょっとずつ食べたいでしょ。
これもちょっと食べたい、あれもちょっと食べたい・・・そんなときに手にとってもらえるようですね。

私のオススメは、鰻の白焼きと熊野の名産高菜漬けを芯にして焼いた、『菜むす』。
白焼きは美味しいし、高菜の味付けも完璧です!

■藤川さんは大阪出身だとか

そう。
ここのお店はもともと家内の両親がやっていたお店です。
大阪の中央市場に出入りしていた頃に、家内と出会いまして・・・運命の出会いですな。
彼女が一人娘だったこともあって、こっちに連れて来られて、もう40年。
今じゃすっかり熊野の地の者みたいですけど、最初はそりゃもう大変でした。

最初に熊野の駅に立った時点で、家内以外知り合いが誰一人いない!
誰と誰が親戚だとか、まったくわかりませんし。

まず最初に詰まったのは、言葉。
熊野の人は、こっちから声をかけると逃げちゃうんですよ。
店の奥から「いらっしゃいませ!!」て出てったら、手に持っていた商品、置いて逃げちゃったお客さんもいました(苦笑)

それでしょげてたら、家内のお母さんに、
「お客さんが『売って』言うまで、声かけたらいかん」
と言われてね。
大阪の市場にいて、『いかに買わせるか!』という世界にいたのに、しゃっべてはいかんという苦痛。
正直、最初の2~3年は寂しかったですよ・・・食べ物が良かったんで乗り切れました。

■『雑魚屋かんばやし』の名前の由来は?

家内のご両親が営んでいた頃の店名は『上林魚店』だったんですが、私が後を継いだのを機に、名前を変えようと。
『上林』は「かんばやし」と呼んでいたので、子供でも読めるようひらがなに。
それから、大阪ではケンカやなんかの時、「大したコトないヤツ」のことを『雑魚』言うんですよ。
魚を扱っているんはもちろんだけど、「もう一回、底辺からはじめよう」「一からやり直そう」という気持ちで『雑魚屋』にしたんです。

・・・で、気づいたらもう18年。
誰にでも呼んでもらえて、町を車で走っていても声かけられるし、待ち合わせの場所になったり・・・親しまれてますね(笑)

今は雑魚屋のHPもあるし、私もブログもはじめてますんで・・・もっともっと『かんばやし』の鰻を知ってもらって、食べて感動してほしいですねぇ!