三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年9月21日放送

400年以上に渡る伝統芸能を、大人だけでなく小学生・中学生も継承!
毎年9月15、16日に行われる安乗神社での奉納人形芝居で、その歴史と文化を披露します!

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志摩市阿児町安乗は、映画『喜びも悲しみも幾年月』の舞台となった地域ですが、ここには忘れてはならない伝統芸能があります。

それが毎年9月15日、16日に演じられる安乗人形芝居。
安乗神社の祭礼に奉納する人形芝居として、地域の人に演じ続けられてきた伝承芸能です。
400年の歴史を持ち、昭和55年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。


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言い伝えによると、豊臣秀吉による海外出兵の際、安乗神社を参拝した志摩の国の領主、九鬼嘉隆をもてなすために、村人が披露した手踊りが起源と言われています。
そんな古い歴史を持つ人形芝居も、大正末期の不況と戦争により中断。
しかし昭和26年、復興を願う村人たちの努力によってよみがえり、現在に至っています。

安乗神社の境内にある倉庫には、じっと出番を待っている人形たちが。
こちらの人形の頭には、なんと『文政五年』と書かれています。
江戸時代から守られてきたのですね。


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そんな安乗の伝統芸能を守るのは、『安乗人形芝居保存会』のみなさん。
現在メンバーはおよそ20名。
地元の小学生や中学生たちも参加し、安乗の歴史と文化を守り続けています。


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『安乗人形芝居』への思いを、『安乗人形芝居保存会』会長の浅井弘之さんにお聞きしました。

「これは後世に伝えていかなければならないです。
我々は間に立って、後の世の人に渡していく役目。だから我々よりも若い世代の大人にも継いでいってほしい」


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『安乗人形芝居』本番に向けて、保存会のみなさん、そして参加する小学生と中学生は、ほぼ毎週、3ヶ月に渡って練習を重ねます。


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そして当日午後6時半。
開演の時刻です。
初日である15日は、小学生による人形劇、中学生による人形芝居、そして『保存会』による人形芝居と、3つの演目を上演します。
舞台裏では、最初の出番を控えた小学生たちが大わらわ。
直前まで、みんなで人形の動作を確認します。


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安乗小学校5・6年生による人形芝居がはじまりました。
演じるのは歌舞伎十八番のひとつ、源義経と弁慶が登場する『勧進帳』。
待ちに待った弁慶の登場に、客席からおひねりが飛び交います。


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続いて安乗中学校文楽クラブによる人形芝居。
演じるのは、徳島で古くから親しまれる人形浄瑠璃『傾城阿波の鳴門(けいせい・あわのなると)』。
中学生ともなると人形遣いだけでなく、語りや三味線も自分たちで演奏します。


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そして、本日のメインイベント。
安乗人形芝居保存会のみなさんの出番です。
みなさんが堂々と演じるのは、戦国武将、明智光秀の苦悩と葛藤を描いた人形浄瑠璃の傑作『絵本太功記』。

安乗人形芝居保存会のみなさんは、2日間で4つの作品を上演します。


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「緊張したけれど、できばえはとても良かったと思います!」

「大変疲れましたが、やっぱり楽しいですね」

大役をやり遂げ、ホッとした様子の保存会のみなさん。

小学生も、中学生も、そして大人も、この日のために練習を積んできました。
ふるさとの歴史を守る。
文化を継承する。
そんな地域のみなさんの思いが、人形たちに宿されているのです。