今回のお客様は、桑名市長島町からのお越しです。
「おもちゃの病院ながしま」で壊れたおもちゃのあれこれを直してくれる先生、丸山善頌さん。
東京を拠点としてまずスタートしたおもちゃの病院。
ここで得た経験を活かし三重県で第1号の病院がオープンしました。
いったいどんなふうにして、おもちゃを直すんでしょうねぇ。
■おもちゃの病院を始めたきっかけは?
55歳の定年間際のときに、この先何をしよう・・・と思ったんです。
そんな時、ふと見た新聞に『日本おもちゃ病院協会』の本部を東京に立ち上げるという記事が載っていまして。
『おもちゃの病院』をしている人がいるのは、以前から知っていました。
最初は一人で、デパートの催事を中心に活動していたようですが、メンバーが増えたので、この『おもちゃの病院』を全国に広めたいと、組織を作ったそうなんです。
それに興味を引かれて、ちょっと行ってみようと。
行ったら、新幹線で来ていたんは、私だけでした(笑)
■もともと機械関係のお仕事?
いや、全然(笑)
仕事は機械や電気は関係なしです。
でも、小さい頃からドライバーを見ると分解したくなるクセがありまして。
目覚まし時計は3つほど壊しました。
中のぜんまいの仕組みが不思議だったり、歯車を戦車の車輪に仕立てて遊んだり・・・。
私が子供の頃は戦争中だったんで、動くものが目覚まし時計しかなかったんですよ。
自分では分解して調べているつもりなんだけど、親から見ると壊している、と。
だから私にはドライバーを持たすな、と常々言われていました(笑)。
■実際『おもちゃの病院』をはじめてみて・・・
思っていたのとまったく違いました。
まず、直すのはぜんまいを巻くようなおもちゃじゃないんです。
電子部品・・・トランジスタ、コンデンサー、ランプがついて光ったり、鍵盤を押すと音が出たり・・・。
こりゃ面白い!
自分がしたいのはこれだ!!
・・・と、ますます夢中になりました。
しかし実際には、私では手に終えないおもちゃも持ち込まれます。
三重県にはおもちゃの病院がまだなかったので、東京都の本部に色々教えてもらうんです。
FAXでやりとりすることもあったり、最終手段で、東京の本部におもちゃを送ったりしたこともありました。
今では三重県内にもおもちゃの病院が増えて、嬉しい限りです。
■お金を取らないということですが・・・
私たちがやっているのは、あくまでボランティアなので、もちろん直してあげたいけれど、完璧に直せるかどうかはわからない。
だからお金は取りません。
完璧に、確実に直してほしかったら、やっぱりメーカーさんにお願いして・・・ってなりますね。
そして、私も含めた『おもちゃの病院』の先生が絶対に約束していること。
「持ち込まれたおもちゃを、さらに壊して返すようなことだけはしない」
直して欲しいということは今まで大事にしてきたということでね、それをさらに壊しちゃったら、持ち主はそりゃあ傷つくでしょ。
■「直す」ことの意味は?
もちろん大事に使って欲しいというのもありますけど。
昔は、どこでも商店街に職人さんがいたでしょ。
下駄の鼻緒をすげ直す下駄屋さんや、時計を修理する時計屋さん、靴底を直す靴屋さん・・・鍋底の穴を塞ぐ鋳掛屋さんなんて商売があったわけ。
私らは、今、そういった役を担っているんじゃないかなあ・・・と思っているわけです。
それから、4年前から、おもちゃのリユース活動もはじめています。
子供さんが大きくなって使わなくなったおもちゃを引き取り、綺麗にして、欲しい方に整理券を配って差し上げる・・・というか、引き取ってもらうんです。
1年に1回の回収で、約300個のおもちゃが集まるんですよ。
そういった意味でも、これからもどんどん直す人が増えていって欲しいです。