FM三重「ウィークエンドカフェ」2010年10月23日放送

今日のゲストは志摩の元気なおかみさん!
志摩いそぶえ会の 伊藤泰子さんです。
志摩町和具にある和洲閣の女将さんでもあります。
伊藤さんたち志摩町の女性たちで作る志摩いそぶえ会は、 志摩の食材を使ってのお料理のレシピを広めたり、 郷土の味を守っていく活動をされています。
志摩町といえばてこね寿司が有名ですが、そのてこね寿司よりも古くからあったのが「おんこ寿司」
この料理は志摩いそぶえ会のみなさんにとって大切な大切なお料理です。
今は、あおさを使ったお料理を全国に発信中です。

■『いそぶえ会』を結成したわけと活動内容は?

志摩を盛り上げるために、平成15年に「女将の会」として結成しました。
メンバーは、私のような旅館の女将から、民宿の女将さん、主婦の方、真珠店の奥さんの15人。
盛り上げるって言っても、具体的に何をしたら良いんだか最初、途方に暮れましてねぇ。
もう既に伊勢海老とアワビは有名だし・・・って考えついたのが、志摩の郷土料理!
昔から伝わる料理のレシピを冊子にしようってなりましてね。
 
漁師や海女さん、地元のお年寄りに聞いて回って、実際に作ってみて・・・。
35,6品のお料理が載ったレシピ本を完成させました。

■郷土料理のレシピ本・・・反応は?

びっくりしました!
伊勢海老を贈る時に一緒に入れてもらったりしていたら、ものすごい反響が来て!
300部くらい刷ったのが、あっという間になくなったんです!
それで、じゃあもう一冊作ろうって話になって・・・。
ここらではアオサやヒジキ・アラメ・ワカメ・・・海藻類が豊富なことと、乾物としてどこの家庭でも常備していることから、海藻レシピを作ろうと。

ちょうどその頃、真珠が売れなくなってきた業者さんが、二次産業としてアオサ作りをはじめていたっていうのもありました。

■料理レシピ、第2巻の発行ですね!

それでメンバーみんなでアオサのレシピを考えていたところ、志摩商工会が『アオサプロジェクト』を立ち上げるので、いそぶえ会でも考えてくれないか、と。
で、プロジェクトに参加しながらレシピ本を作っていたんですが、驚くことが起きたんです!
アオサの値段が上がってきたんですよ!
第2巻を発行したら、さらに値が上がって、またビックリ!

その一年前、ある知り合いに、
「本業を放って、そんなこと(レシピ本作り)しててええんか?」
と言われていたのが、一年後にお会いしたら、
「あんたらの取り組みのおかげでアオサの値が上がった! ありがとう!」
って(笑)

■アイデアの源は?

手を変え品を変えです(笑)
真珠貝の貝柱入りの『真珠てこね』、桜鯛の季節なら『めでたいてこね』、アオサ入りの『アオサてこね』・・・ネーミングを変えるだけでも結構イメージが変わるんですよ。
地元の人は、いつでも見てるしいつでも食べられるから、これが町おこしになるとは気づかなかったんですね。

■ホームページでもたくさんの料理を紹介していますね!

ええ、2007年8月に開設しました。
限られた地域だけじゃなく全国に発信したかったのと、せっかく新しいレシピがあっても、すぐ本には出来ないし、本にするにもお金がかかりますから。
たまたま教えてくれる先生が見つかって、必死で勉強しました。
それで、ホームページを開設するにあたって、何か目玉となる料理を紹介したいと思ったんですが、『てこね寿司』はメジャーすぎる・・・。
そこで探し出したのが、『おんこ寿司』。
てこね寿司よりもっと古い歴史があって、今よりもっと『白飯』が貴重とされていた時代から伝わるお寿司なんです。
お刺身はちょっぴりで、ご飯がメイン。
旧暦の10月はじめの『亥』の日、漁師さんや海女さんが、家内安全・無病息災・大漁祈願を念じて、山の神様の祠へお供えする、という慣わしがあるんです。
ホームページで紹介してから、てこね寿司以上の人気レシピになっています。

■郷土に対して思うことは・・・?

私たちが暮らす志摩は、海に囲まれていて、海のおかげで商売ができ、生活させてもらっています。
魚はもちろんですが、海藻も大切な資源。
例えば台風でアラメがいっぱい打ち上げられると、それをお年寄りが拾いに来るんです。
乾かして貯めておいて売ると、結構な金額になるので、お年寄りのお小遣い稼ぎにしたり。
それから、食べられない海藻でも、リンなどの栄養素が含まれているので、畑の肥料に。

海から出るものには、捨てるところがないんですね!
自然の摂理みたいなものを感じて、毎日過ごさせてもらっています。