FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年2月12日放送

今回は、四日市松本にある『子どもの本専門店 メリーゴーランド』の増田喜昭さんがお客様。
お店を始めて35年
今では3世代に渡りメリーゴーランドのお客様もいらっしゃるそうで・・・
すごいですね~
メリーゴーランドが販売した絵本がビルマにあったり、いろんな有名な作家さん達がメリーゴーランドを訪れたり・・・
増田さんとのお話はどんどん魅力に引き込まれます!
今度は川遊び一緒に連れて行ってください。

■絵本専門で35年・・・すごいですね!

ええ、今や三世代にわたって来てくれるお客さんもいて、嬉しいですね。
これだけ長くやっていると不思議な話もあって・・・。

『小さなお家』という絵本があるんですが、ビルマにその絵本から名前を取った『小さいお家』という本屋があるんですね。
それでたまたま絵本の『小さいお家』を手にとった人がいて、それを開いたらなんと『メリーゴーランド』のしおりが挟まっていたと!
その本を発見した人も、小さい頃この店に来ていたから気づいたんですね。
もうビックリでしたよ!

■児童書の魅力は?

児童書には『ベストセラー』はなくても『ロングセラー』がいっぱいあります。
『ぐりとぐら』『バーバパパ』・・・子供は成長するけど、その人が大人になって親になったとき、自分たちの子どもに、また読ませたいと思うような素敵な作品がたくさんあるんです。

そしてですね、10歳前後の子供の記憶は、その後の人生でも永遠に残っているんですよ。
表面的には忘れていても、引っかかってくるキーワードがあると思い出すんです。
小さな頃読んだ本はいつまでも記憶の片隅にあって、大人になってからも、同じ本を読んだもの同士で盛り上がれるでしょう。
同じ本を愛するもの同士、親戚みたいになっちゃうんですよ(笑)

■オープン当時のお話を・・・

そりゃ、最初はなかなかお客さん来ませんよ。
お客さんを呼ぶために、京都の作家・今江 祥智さんが来てサイン会と講演会をしてくれることになってね。
でも、それだけじゃ面白くないから、谷川俊太郎さんや、河合 隼雄さん(心理学者)・河合雅雄さん(霊長類学者)にも手紙を出して、来てもらったんです。

谷川俊太郎さんは基本、講演会をしない人なのに、こんな地方の本屋さんにわざわざ来てくれまして。
でも、100人以上入れる会場に40人しか入らなかったので、申し訳なくて謝ったら、「君は友達だから、お客さんが3人でも僕は来るよ」と言ってくれたんです。
初対面なのにどうして・・・と訊ねたら、手紙をくれただろう、と。
僕が谷川さんの本や詩が好きで、その思いで書いた手紙を、ちゃんと気持ちごと受け取ってくれて、嬉しかったですねぇ。

■作家さんとのお付き合いは?

谷川さんが毎年来てくれるようになって、他の作家さんも来てくれて・・・。
今では、五味太郎さんや飯野和好さん、江國香織さんは一緒に野球をしたりする遊び友達(笑)
四日市に来たら何か楽しいことがある・・・と思っているようですね。
いらっしゃる皆さん、四日市には『磁場』を感じると仰っています。
江國さんは、文春に「魅惑の四日市」と書いているくらいです。
同じ本を愛する者として、仲間になってしまうんでしょうね

■今、夢中になっていることは?

子どもたちと外で遊ぶこと!
延々穴掘るだけでも、子供とやっていると楽しいですね。

川を上流に向かって延々と歩くのも面白いです。
意外に流れが早くて、特に上流に向かって歩くとそれだけですごい鍛えられるし、いろいろ発見があるんですよ。
ゴミがいっぱい捨ててあるな~とか、鳥は川で暮らしているんだとか、このクレソンは食べられるかな、とか。
特に印象に残っているのは、小学1年生の子が言った、
「流れているから面白い」のひとこと。
そう、プールは流れないですからね。
そんな素朴なことに気づかさせてもらって・・・僕を含めた大人が、子供に遊んでもらっているみたいですね。

冒険家の石川直樹くんも、「河の一番の元ってどこにあるんだろう」って、隅田川の上流に向かって歩いたのがはじまり。
でも今は、川も立ち入り禁止になっちゃってね。
だから何の変哲もない『川を歩く』という遊びに、東京や神奈川からわざわざ参加してくる人がいるんですよ。

■増田さんの夢は?

夢は、子どもたちと一緒に船で日本一周ですね!
やはり日本は島国だから、旅をするとしたら船。
立ち寄る港々で、谷川俊太郎さんやあべ弘士さん、疎の他の素敵な作家さんたちも乗せて、みんなで自分たちの未来や、日本の未来を考えたいです。
出航はもちろん、四日市港からですね(笑)。