FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年4月16日放送

今回のゲストは、『NPO法人ファームランド鈴鹿』理事長、森下晃さん。
鈴鹿産の小麦にこだわり、町に恩返しがしたい!
その思いでNPO法人を立ち上げました。
農家のみなさんに協力をいただき、鈴鹿産の小麦の収穫量は年々増えてきています。
子供たちは小麦を通じて、種まき、収穫、うどん作りなど様々な体験をすることができます。
1人ができることは小さなことかもしれませんが、こつこつと・・・。
地域全体が潤うことを森下さんは考えています。

■鈴鹿産小麦に目を向けたきっかけは?

鈴鹿は今、正直言って景気が停滞している状態です。
地域に対して、自分に何ができる?・・・と思ったのがきっかけ。
僕は『ヱビス.カンパニー』という会社をやっていて、うどん屋を経営しているので、小麦粉をたくさん使っているわけです。
当時は北海道産を使っていたんですが、実は鈴鹿でも小麦を作っているんです。
年間1100トン。
これを使えば、地元に貢献できるのでは、と。
しかし、独立した『鈴鹿産小麦』というのはなくて、三重県産の小麦として全部混ざってしまっているんですね。
『鈴鹿産小麦』だけを別にして、ブランドとして確立することで、少しでも鈴鹿という地域が潤えば・・・との思いからスタートしました。

■NPO法人設立にいたるまでの経緯を・・・

最初は僕一人の思い付きだったので、鈴鹿商工会議所青年部の先輩に相談しました。
その先輩が、さらに青年部の大先輩の農業をしている方に話したところ、無理だと。
鈴鹿産だけの小麦を別にして卸すのには、いろいろハードルがあったようです。
それでも繰り返しお願いしているうちに、仕切っている人と話をしてくれたんですよ。

その時協力してくれた人たちが、今のグループに繋がっていったんですね。
『農商工連携事業』といって、生産農家と飲食店などの商売人、製粉業の工業が一体となった取り組みとなりました。
それで、せっかくやるんだから、もっと広くいろいろな人や業者さんに鈴鹿の小麦を知ってもらおうということに。
誰かの利益を追求するのではなく地域の発展を望む取り組みなので、NPO法人で行こうということになったんです。

■ブランド名『鈴鹿小麦』への思いは・・・?

鈴鹿の小麦の直接調達はJAにさんの助けもあって、少しずつはじまりました。
『鈴鹿』といえば、F1では世界に名をとどろかせる地名です。
鈴鹿の小麦もF1に負けないくらい、世界的なブランドにしたい!との思いから、ブランド名を『鈴鹿小麦』に。
まず、名前を売らないと!ということで、鈴鹿の小麦を知ってもらうための活動をはじめました。

■種まき収穫体験で得たものは?

3年前から、食育も含めて、市内の小学生たちに、種をまくところから収穫してうどん作り・・・つまり種から口に入るまでを体験してもらう取り組みをスタートしました。

うどん作り体験は、そりゃもう皆さん楽しんでましたよ!
どんなできばえでも、自分で作ったうどんですから、太かろうが硬かろうが、世界一美味しいに決まっています(笑)

ところで、実は僕自身、農業体験は初めて。
仕事上、小麦粉の良し悪しや味は知っていても、最初はどんな状態なのか全然知りませんでした。
だから僕も、小学生と一緒に体験した一人ですね(笑)。

土を触るのも、鎌の握り方を学ぶのも楽しかったです!
その先に『食べる』という楽しみがまっているんだからなおさら(笑)
土の匂いや麦を刈った匂い・・・土の感触・・・麦の穂の音・・・農業というものを五感で感じました。
また、農業の楽しさを知るとともに、その大変さもわかりました。

小麦は製粉すると半分になってしまうんです。つまり1100t獲れても、小麦粉になるのは550t。
残りは肥料や家畜の飼料に・・・これも体験を通して初めて知りました。
あれ以来、パン一枚、うどん一本食べるときにも、感謝の気持ちが起こりますよ。

■『鈴鹿小麦』にかける思いは?

僕がこだわっているのは、うどんではなくあくまでも「小麦」。
なぜかというと、小麦は餃子やピザやパスタ、麺、パン、お菓子・・・いろいろな食べ物になれるから。
いろいろな飲食店の方に使ってもらうことで、『鈴鹿小麦』の認知度を上げ、もっと広め、もっと使って欲しいんです。
今は学校給食にもアプローチをしています!

この活動をはじめてから3年目。
昨年は10tだったのに対し、今年は100t、鈴鹿産の小麦粉を直接流通してもらう予定です。
飲食店だけが潤うのではなく農家だけが潤うのではなく、製粉業者だけが潤うんじゃなく・・・地域全体を潤わせたいと思っています。

僕がいつも考えているのは「百年先」。
鈴鹿っていう地域が百年後、今と同じか今以上に発展して、活気がある街になってみんなが幸せで・・・。

その思いに皆が協力してくれたから、今、この活動ができているんだと思います。