三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2014年12月14日放送
林業への道・移住への夢をバックアップ!
そして、木を育て、活かすことにつなげていこうと、イオン株式会社・三重県のとの連携で企画された『森つなぎプロジェクト』で『森びと養成講座』を開催します!
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今回紹介する取り組みは、大台町宮川の森林から!

宮川村と呼ばれ、林業で栄えてきた奥伊勢の地。
しかし、国内材の値段の低下により林業は衰退し、荒れ果てた山が目立つようになり、それが、大きな災害の要因のひとつにもなっています。


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そんな水源地の山、そして、林業を復活・再生させようと、10年前から活動を続けてきたのが『NPO法人みやがわ森選組』のみなさん。
森林の保全・管理だけでなく、様々な取り組みをしてきました。
『みやがわ森選組』の活動のきっかけを、代表の岡本雄大さんにお聞きしました。

「メンバーはほとんど全員が『Ιターン』の移住者で、林業に関わっている人たち。
最初は親睦会的に集まっていましたが、10年前の宮川村の土砂災害が転機でした。災害地に植樹をすることになり、役場の方からコーディネートの要請があったことから、色々な活動が始まったのです」


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この日、大台町役場宮川総合支所に集まってきた人たちは、イオン、三重県のバックアップを受けてNPOである『みやがわ森選組』が取り組む、『森つなぎプロジェクト』の研修生。
土曜・日曜を中心に、全部で12日間、およそ半年に渡って『森びと養成講座』を開催。
座学、体験研修、フィールドワークによって、林業に必要な技術を学びます。

「実家に山があるので、それを管理するために学びに来ました」

「子供が生まれて田舎暮らしを視野に入れています。その時の仕事の選択肢として『林業』が最初にあり、参加を決めました」

参加者は伊賀市や愛知県、名古屋市などから。


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この日は、実地研修。
実際に、山へと入ります。


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行うのは、作業用の歩道を作りながら、林業の基礎を学ぶ講座。
いよいよ、実際の山での作業が始まりました。
道の土が流れ出さないように、土留め(どどめ)し、歩きやすいように階段をつけていきます。

歩道に使う階段の木も、杭に使う木も、現場で、すべて調達して、作り上げていきます。


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歩道づくりには、立ち木の伐採も必要になります。
チェンソーの実習は、受けてきましたが、研修生にとっては、これが初めての伐採です。
木をどの向きに倒すのかを相談し、作業方法を決めていきます。

「切るのが初めてなので、正直怖いです」

と、伐採担当となった研修生。


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無事に、思った方向に倒れました。

「見えない場所が多かったりと、練習と本番では違うことがわかりました」

と、伐採した研修生。

「何年も指導をしてきましたが、今年はみなさん若いということもあり、覚えが早いです。
しかも平地ではなく斜面なのに、上手にできていると思います」

と、岡本さん。

小さなミスが大きな事故につながる、林業の仕事。
講師を務める『みやがわ森選組』のみなさんは、しっかりと説明をしながら、研修生の作業をサポートします。


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メンバーの中屋友宏さん(上)と伊藤庸司さん(下)に、『みやがわ森選組』に参加している理由をお聞きしました。

中屋「普段は林業の民間企業に勤めているんですが、山仕事をしていると一日誰とも会わない日があったりします。一般の人たちや僕と同じ『Iターン』の人たちと交流を持つことで、みんなが高め合っていけたらと思い、参加しました」

伊藤「もともとは『森選組』の林業体験の参加者で、その後実際に林業に就業したので、自然にメンバーになりました。
林業をあまり知らない一般の人との橋渡しをしたいと思っています」

林業への橋渡し。
新たな人と地域のつながり。
そんな期待を込めて、山での研修は続きました。
お昼を挟んで、およそ6時間。
立つのもやっとの斜面で、様々な作業を学び、歩道を作りました。


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三重県地域連携部地域支援課の神田和弘さん(上)と、イオン株式会社
グループ環境・社会貢献部の木下順次さん(下)に、この取組についてお聞きしました。

神田「県では企業と農山漁村を結びつけて、双方にメリットがある関係を作りながら、『農山漁村の支援をしていく』という事業をしているので、今回イオンと『みやがわ森選組』の活動をマッチングしました。こういった事業を県内の他の地域に広げていきたいと思っています」

木下「これまでの植える事業から、森を循環させるための『育てて、それから、活かしていく』、そしてまた植えるという、取り組みに活動を広げていこうと考えています」


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参加者のみなさんを見送った後はメンバーで集まって、次回の打ち合わせ。
平日は、仕事で山へ。
週末に、また、研修の講師として、山に入る。
肉体的にも、精神的にも、決して楽なことではありません。
それを、なぜ、みなさんは、続けるのでしょうか。


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「僕らにとって山は身近でも、参加者たちにとってはとても新鮮に感じられることなんですね。
僕がしていることが相手に伝えられたと実感した時に、とてもやりがいを感じます」

「山に入ったことのなかった人たちが、木を切ったりして山に親しんでくれると嬉しいです。
実際にそういう生活を楽しんでくれる人が出てくると、やっていて良かったなと思います」



林業への道・移住への夢を、バックアップ。
そして、木を育て、活かすことにつなげていこうと企画された、この『森つなぎプロジェクト』。
今後は、山に入っての実地研修、フィールドワークなどを数回開催し、研修は来年3月まで続きます。
今回、ここから「新しい可能性・つながり」は、誕生するのでしょうか。