FM三重「ウィークエンドカフェ」2011年1月22日放送

今回のお客様は『ディーグリーン』の東 城さん。
前回、お越しいただいてから一年以上経ちました。
ご当地バーガーのプロデュースをしたり、おばあちゃんがやっていた駄菓子屋さんを改装して「千や」というカフェをオープンしたり・・・
本当に楽しい方です!
千やでは、まんぼう焼きというスィーツのほか、カレーもメニューに加わりました。
「紀伊長島のいろんな飲食店でカレーめぐりなんてのもおもしろいんじゃない?」と東さん。
紀北町のご当地ヒーロー「KIHOKU戦隊アババイン」の仕掛け人でもあります。
「デザインすることは、町をプロデュースすること」と話す東さんに、プロデュースの楽しさをうかがいました。

■デザイン会社がカフェをオープン?

僕の実家は、『千や』という、駄菓子屋というか市場の前にある何でも屋さん。
駄菓子もあればパンも惣菜も売っているような。
祖母が亡くなって以来、長いこと空き家になっていたんです。

そこをカフェ『千や』にしようと思ったのは、あまりお金をかけなくても形になるよ・・・ということを、実践を通して伝えたかったから。
また、デザイン会社ならではの、きめ細やかなサービスができるんじゃないかと。

最初はカフェというより、名物作りのお店を作ろうと思っていたんですが、それだけじゃつまらない。
みんなが集まれて、美味しいコーヒーでも飲める空間にしようと考えた結果カフェになりました。
田舎にいても、ちょっとお洒落な空間はできるんです。

『千や』では、食べるものにもこだわっていますよ!
珈琲は自家焙煎のものを使い、スイーツも手づくりケーキや和菓子など、この辺りではあまり見ないものを。
それから最近、スパイスから自分で調合した、インド風チキンカレーを始めました。
僕がインドカレー好きなんですけど、このへんではお店がないので。

また、この辺りでは食べられない料理を出すことで、近所だけでなくもっと広範囲へ、さらに若い層へ広がって行ってほしいですね。

■会社を立ち上げたときの様子を・・・

もちろん最初は、お客さんは全然(笑)
一時期あったHPブームも、もう終わっていて、だいたいの企業さんはもうひとしきり作っちゃていた。
なので、クライアントは、名古屋、大阪、東京・・・SOHOでやっていました。
そのうち、地元事業者さんや、HPを作っても効果がない・・・という人たちの相談を受けるようになって。

ちょっとした気配り・・・デザインで良くなったり、お客さんは呼べるんですよ。
例えばタウン誌の表紙、街中の看板ひとつとってもね。
そう、デザインはプロデュースなんですね。
コップひとつでも、使い勝手の良し悪しがあるでしょう・・・これもデザインですよね。

今まで会社で働いていたときは、全然お客さんの顔を見ないで、「こんな感じで作って」っていわれて、それを作っていただけ。
満足しているかどうか、あまり考えなかったんですよ。
でも、自分たちでプロデュースして、お客さんを満足させる仕組み・・・これが本当の意味での『デザイン』なんじゃないかって気づきました。

■インターンシップに協力をしているということですが・・・

はい、大学生が研修生として企業で働く、インターンシップのお手伝いをしています。
純粋なだけに、結構何気ない質問がグサッと来たり(笑)
「何で会社をはじめたんですか?」とか「なんで社長になったんですか?」
とか、もう超直球ですよ。
それにちゃんと答えられないといけないんで、スタッフや自分にも刺激がありますね。
自分自身も成長しないと。

職場体験ではなく、期限はあってもれっきとした就労。
なので、教えるだけでなくお互い学ぶことも多いです。
しかしまあ、僕は人に教えるというガラじゃないんで、自分で学べ!オレに付いてこい!というスタンスですね(笑)

それでも、預かっている間はいろいろ気を使います。
通える距離じゃないのでもちろん住み込み。
そうなると、おこずかいはあるのか、ちゃんと食べてのかな、とか。
車もないし、休みの日はどこかへ連れて行ってあげなきゃ、とか。

インターン期間は1ヶ月。
住み込みなだけに、インターン同士の絆が強まるようで「お互い頑張っているよな!」みたいな感じで、頑張っていますよ。
そういうのを見ていると、受け入れてよかったな、と思います。

■デザイン会社に場所は関係ない?

いや~、正直言ってありますよ。
一番の問題はこの地域に光ファイバーが通っていないこと、それからプロデュースするものの幅がどうしても狭まりますから。

あとはやはり情報。
自分から探して求めれば情報は見つかるんですけど、都市部のように放っておいてもどんどん情報が入ってる、ということはまずないです。
あと、地域に根付くのは大事だけど偏ったりしたくないんですよ。
なので、機会があるたびに都市部のセミナーに出席したり、同業の友達に会ったり。
常に偏らないよう、新しい情報が入ってくるよう、気にかけています。

それでもやはり、お客の顔が見えない以前の仕事より、お客さんと対話してデザインを作る、今は楽しいです。
今のお客さんは魚屋さんや干物屋さんや味噌屋さん・・・紀北町の小売業さんが多いんですが、やっぱり目を見て対話しないと信用してもらえないというか・・・。
田舎のデザイン会社ですね(笑)

デザインは完成形がなく、年々進化しています。
そういうのもお客さんに提案できて、地域の業者さんと僕のデザイン会社と、お互いパートナーとして実績を上げていけたらいいなあ、と考えています。