FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年1月3日放送

あけましておめでとうございます。
2015年が始まりました。
ウィークエンドカフェは7回目のお正月となりました。
新年最初の放送は、オーナーの洋子さん、前田憲司さんと伊東将志さんで
お送りします。
去年は伊東さんにとって節目の年でした。
長年勤めていた場所を卒業し、夢古道おわせの支配人へ。
現在40歳の伊東さん。
前田さんが今の職業に就かれたのも40歳の時だったそうです。
色々と考えて今があるお2人です。

2014-1-3-1

■伊東さん、『夢古道おわせ』の支配人に

伊東(以下、伊) 22年間勤めた商工会議所を、去年やめることになりまして。
もともと『まちづくり』をしたいと思って入った仕事だったので、それをずっとやって来ました。
そんな中、『夢古道おわせ』の存在もあり、40という節目に自分の環境を変えたいなという思いがあったんですね。
ちょうどその頃お話があったので、昨年9月1日付で『夢古道おわせ』の方に移ることにしました。
以前いた場所だったので、勝手知ったる感じではあるんですが、もっと『まちづくり』的なところに仕事を移行していきたいなと。


前田(以下、前) 伊東くんがいた商工会議所は、その中で色々なところに移ったり仕事が変わったりしたけど、今度はひとつのの現場的なものを任されることになりますよね。
これまでの伊東くんを見ていると、色々なところを飛び跳ねて楽しそうだなと感じていたんですが、『夢古道おわせ』を選んだという気持ちはどこにあったんですか?


 商工会議所のお仕事も大変意義深かったですね。
しかし『現場感』という観点でいうと『夢古道おわせ』はお客様をお迎えする場所で、その反応というか反響が肌感覚でわかるので、非常にやるべきことに近いんですね。
特に尾鷲や熊野などの三重県の南部の方は、熊野古道が世界遺産登録されてからたくさんの方が訪れるようになりましたが、人口が減っているなど、ネガティブな問題もいろいろあります。
そんな中で『夢古道おわせ』はゲンキを発信できる施設でもあると感じ、また、そういう現場のほうが自分にはあっているなと思ったんです。
あと、ストレートに物が見えやすいというか。
尾鷲市はすでに人口2万人を切っていて、日本の縮図のようなんです。
人口が減っていくという未来が待っている中で、全国に先んじて、我々が挑戦できている気がします。
現に、尾鷲で始めた挑戦について、全国から依頼をいただき話す機会があるので、今はとても充実していると感じます。


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■まだまだ知らない尾鷲がいっぱい

 ずっと尾鷲にいて、まだ知らない魚とかがいるんですよ。
市場に出回っているのに食べたことがなかったり、食べたことはあっても知らない食べ方をしていたり。
そんなのまだあったんだという驚きが、尾鷲にはゴロゴロあるんです。
例えば、冬になると尾鷲ではソマガツオが揚がるんですが『じふ』という食べ方をするんですよ。
すき焼きという料理があるでしょう?
尾鷲は魚の街なので、なかなか肉が口に入らなかったそうなんです。
そこで魚、ソマガツオをお刺身のように切って、すき焼きにするんですよ。


 すき焼きの割り下みたいのを使って?


 そう、そうです。
甘辛い味付けで、生卵を絡めて食べて。
そういうのが尾鷲の周辺部というか集落に残っているんです。
なぜ『じふ』と呼ばれるのかはわかっていません。
「今日はすき焼きだよ!」と家の人に言われて喜んで帰ったら魚だったという話を、漁村の集落の人たちから聞きました(笑)
最近は核家族化が進み、『じふ』が食卓に登ることもあまりなくなったそうです。
そこで先日『夢古道おわせ』のランチで出したところ、懐かしいと大好評でした。


鈴木(以下、鈴) 今の時期のカツオは美味しいんですか?


 戻りガツオですからね。
脂も乗っていますし、今の時期はたくさん揚がるし、安いし美味しいですよ。
もちろん揚がったその日だったらお刺身で行けるほど新鮮です。
でもあえて、すき焼きにして食べることで、お魚を違った味わいで楽しもうという庶民の知恵ですね。


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■三重にまつわる落語

 僕が携わっている落語や漫才などの芸能は、笑いというコミュニケーションをみなさんに届けています。
その中で、三重にまつわる落語もいっぱいあるんですよ。
特に大阪の落語では、お伊勢さんにお参りに来る道中のものなどがありますね。
『弥次さん喜多さんの膝栗毛』みたいなのが、東の旅っていう『伊勢参宮神乃賑』という大げさなタイトルで、全部で20くらいの話があります。
大阪を出発して奈良から伊賀に入って伊賀越えをして、お伊勢をお参りして、今度は北上して桑名を回って鈴鹿峠を越えて滋賀県に入って・・・という一連のネタ。


 シリーズ物みたいですね。


 そうそう。そこにお伊勢さんのこともでてくるんです。
ただ残念なことに、伊勢神宮へお参りするという部分だけ滅んでしまっているんです。
復活させようとしている人もいるんですけど、やはり道中が楽しんでしょうね。
また最近、三重県出身の落語家さんも増えてきて、ベテランから若手、女性、新作の方などを含めると、15人近くいます。
昨年は三重県でも活躍している林家染弥さんが、百何年ぶりに大名跡である由緒ある『三代目林家菊丸』を襲名し、今年は津や亀山、四日市で襲名披露が行われます。
襲名披露というのは、「菊丸をこれからもお願いします」という場なので、有名な先輩たちが出てきて、菊丸さんを盛り立ててくれるので、出演者が豪華なんですよ。
桂文枝さんや笑点メンバーや、桂ざこばさんなども出演しますので、観に行くべきだと思いますよ。


 映像とか音声でしか聞いたことがないので、ライブで観ると面白いかもしれませんね。


 生で観ると、やはり一期一会の空間を共有したという感じがしますよ。


 銭湯で落語っていいですよね。
洗い場にザブトンを敷いて。


 実は、那智勝浦を中心に何箇所か落語で回ってもらっている人がいるんです。
山の中の地域地域、50人とか集まる場所を、順番に2泊3日くらいでやっていて、もう5年ほど続いています。
その人に三重県に足を伸ばしてもらおうかな、と考えているところです。


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■落語は何回聞いてもおもしろい

 歌舞伎にはイケメンな役者さんがいますけど、落語でもいらっしゃるんですか?


 今年は上方落語協会で『イケメンカレンダー』を作ったんですよ。
上方落語の協会員が250人くらいいますので、女性スタッフや女性落語家、三味線を弾いている女性たちにその中から投票してもらい、12人の落語家を選びました。
それが毎月一枚ごとのカレンダーになっているんです。


伊&鈴 見てみたい!


 ただし、落語家の中のイケメンなので、「ちょっとな」と思うところも(笑)
ところで、落語家の楽屋はほとんどみんな一緒なので、女性がいる前でも着替えをするんですね。
一人、筋肉隆々で腹筋が割れている落語家さんがいるんです。
正直、顔はまあ普通なんですが、その人が12人の中に入っているんですよ。
おそらく着替えを見て選んだのではないかな、と(笑)


 それ、落語になりそうな話ですね。


 まあ、なかなかイケメンが揃っていますよ(笑)


 林家や桂、月亭などの名前、あれは何がどう違うんですか?


 今はプロの落語家さんの話をしていますけど、話には著作権などがないので素人の人でも自由に演じていいんですよ。
ミュージシャンの人たちは自分でない誰かの曲を使ったら、JASRACから請求が来るでしょ。
落語の場合はそれがない。
じゃあプロの噺家と素人の違いが何か。
素人と言いながらも舞台に出てギャラをもらっている人もいれば、定年後始めた人もいます。
社会人落語選手権というのがあって、それの職業欄に『素人落語家』と書いた人がいるそうです(笑)
いいですね、職業『素人落語家』(笑)
プロの落語家として認められている人は、まず師匠に弟子入りをし、名前をもらうことがスタート。
どれだけ上手な人でも、師匠に弟子入りをして名前をもらえない限りはプロじゃない、という不文律があるんです。
そういうわけでプロになるためには必ず師匠に弟子入りし、そこの苗字(桂・月亭・笑福亭など)を名乗ることになります。
そしてだんだん修行して出世して違う名を襲名していくわけです。
200年ほど前の江戸時代に、桂や林家や笑福亭三遊亭の初代が生まれて、そこからずっとつながっています。
だから名前をたどれば、初代にたどり着く・・・その師弟関係が現在まで連綿とつながっているんです。

同じ落語でもその系統によって違うこともあります。
例えば『子別れ』というネタがあります。
簡単に言うと親が離婚して、子が片親に引き取られていくんですが、その子どもをきっかけによりを戻すという話。
『子は鎹(かすがい)』のあれです。
子どもが母親に取られるパターンと、父親に取られるパターンがあるんですが、系統によって違ったりするんですよ。

落語にだんだんハマってくると、何回聞いても「それ知ってるわ」という部分ではなく、情に訴える部分とか、自分に子どもができた時のその可愛さとかがわかってきます。
映画でも若いころに観て、また年取ってから観ると、「あ、そういうことだったんだ」と気づく部分があるでしょう。
落語も同じように、感心する部分、笑える部分、泣ける部分が聞くたびに変わるんですね。


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■今年もよろしくお願いいたします!

 ラジオを聴いているみなさんで、取り上げて欲しい人がいましたら、ぜひ投稿していただきたいですね。


 この番組をはじめて6年、のべで300人くらい登場してもらっているんですね。


 そうですね。


 すごいですけど、まだまだ登場していただきたい人はいると思います。


 今年、どんな方に出会えるのか、楽しみですね。
老若男女問わず、いろいろな方に気軽にお越しいただける場にしたいです。


前・伊・鈴 今年も1年、よろしくお願いいたします!