三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2015年1月11日放送

高齢化・過疎化が進む山間地で、里山の資源を活かした体験事業や特産品づくりでをとおして地域づくり!
世代や地域を越えた仲間作りを進めます!

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伊賀市の最南端、上高尾(かみたかお)は、奥深い山々に囲まれた淀川の源流域。
過疎化、高齢化が進んでいるものの、川には、オオサンショウウオが生息。
美しい自然が、昔のまま残ります。


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こちらでこの日集まっていたのは、『藁灰こんにゃく』づくりをするという、『ふるさとづくり 上高尾』のみなさん。
グループは伊賀市の支援事業を受けて、5年前に活動を開始。
京都大学の協力を得て、京阪神地域の住民との交流が始まり、地元の人と共同で米作りをするなど、様々な取り組みをしてきました。

上高尾を『第二のふるさと』に、そして、いずれは、移住先として考えてもらえるように、活動しています。


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『ふるさとづくり 上高尾』の会長・森谷巌さんに、お話をうかがいました。

「地域でお互いに会話をする機会があまりなかったため、そういう場をつくろうと有志が集まったんです。
立ち上がった当時は14名。そして、何か村おこしをしようということで。
設立当時はこんにゃくは作っていなかったのですが、田んぼや畑やソバなど作って、他地域と交流会をしようとの一環からはじめました」

『藁灰(わらばい)こんにゃく』を、上高尾の新しい特産品に。
そんな思いから始まった、昔ながらのこんにゃくづくり。
昔は上高尾でも作られていたそうですが、その製法は失われて久しく。
みんなで試行錯誤を重ねて、ようやく完成させました。


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まずは、乾燥させた『稲藁(いなわら)』を燃やします。
真っ白な灰になるほど燃やさず、黒い灰を残すのがポイント。
そして、その黒い藁の灰を、熱湯の中へ投入。


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その後、10分ほど藁灰を浸したままにしたものを2~3度ザルで濾して、こんにゃくを固める灰汁(あく)を完成させます。
その灰汁の中で、こんにゃく芋をすり下ろします。
芋は、もちろん、上高尾の会のみなさんが育てたものです。


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灰汁の中ですり下ろして、一晩寝かせたものがこちらのこんにゃく玉。
これを茹で、最後に冷水に浸して、ようやく完成。
本当に、手間暇がかかるんですね。

こちらのこんにゃくは『藁灰』を使っているため、薬品をいっさい使っていません、
手間暇はかかりますが、こんにゃくの純粋な味が楽しめるということで、ここ上高尾の名産にしようと頑張っているんです。


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できたてのこんにゃくは弾力性があり、自然そのままの味わい!
黒蜜を付けていただくと、まるで高級なわらび餅のようです。


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『藁灰こんにゃく』は、上高尾の会のみなさんが参加するイベントで販売しています。


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『藁灰こんにゃく』を作るきっかけにもなったのは、京阪神地域のみなさんとの交流。
大阪からのお客さんをもてなすため、軽トラの上でこんにゃくを手作りし、振る舞ったことから交流が始まり、今も続いているのだとか。

この日も、こんにゃく作りの応援のため何人かのメンバーが駆けつけていました。
その名も、『上高尾サポートの会』。
現在、会員は40名に上るそうです。


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『上高尾サポートの会』会長、丸尾聡さん。

「『上高尾』の魅力を一言で言うと『心地よさ』です。
自然はもちろん、大阪の町の人をここに連れてくると、みんな初めて見るほど生き生きとした表情になるんです」

上高尾の人たちにもてなしてもらってばかりでは申し訳ない・・・そんな思いから2年前、大阪で『上高尾をサポートする会』を結成。


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そして、上高尾を『第二のふるさと』と思い、地域の人と一緒になって、米作りなど田舎体験を続けてきた『サポートの会』のみなさんを受け入れるために用意したのが、この『上高尾の家』。
古い民家を家主さんの好意で借り受け、『上高尾の会』のみなさんで、改装工事。
わずかな費用で、宿泊場所として提供しています。

まさにここは、都市部と上高尾をつなぐ交流拠点。
笑い声が絶えない場所です。


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「もう10回ほど泊まっています。
夜がとても静かで、川の流れの音が聞こえてくると、とても心地よいです」

「泊まることのできる拠点があれば長く滞在できるので、ありがたいですね」

と、『サポートの会』のメンバー。

「みなさんにお世話になって、来てもらって、あんなにいい話聞いたら
本当にやり甲斐があり、うれしくあります」

『ふるさとづくり 上高尾の会』の会長・森さんの喜びもひとしおです。

地域の人が、地域のために汗を流す。
その地域を愛し、『第二のふるさと』だと思う人が地域の人を支え、応援する。

「都市と田舎、お互いが支え合える仕組みづくり」
これまでにない新たな風が、伊賀の山間の地に、心地よく吹いています。