第118回『サルシカ隊長レポート』2015年2月

トロッコ列車に乗って秘湯温泉へいく!
三重県熊野市紀和町を写真師マツバラと訪ねます!

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「三重の温泉をすべて回ってコンプリートしよう!」

そういう話を、このコーナーでずっとコンビを組んでいるカメラマンの写真師マツバラと昨年からずっとしていた。
もしやるのなら、三重の最南端にあり、そして三重を代表する秘湯のひとつである湯ノ口温泉から取材スタートだな、と決めていた。

で、今年に入って早くも2月。
寒い日が続くし、そろそろ温泉ポカポカ取材を決行するか、と、湯ノ口温泉の情報を調べたら、なんとこの2015年2月28日で一時休業し、古い温泉施設は取り壊され、現在建設中の新しい施設に変わる、と書かれているではないか!

「た、た、た、た、た、た、たいへんだあああああああああ!!」

ワタクシは写真師に慌てて電話をし、「立て込む予定なんぞどーでもよいのだ、不義理上等、伸ばせる締め切りは伸ばしてスケジュールを確保し、ただちに熊野へいくのだ、いかねばならぬのだ〜!!!」とわめきたてた。

で、2月の下旬に入らんとする頃、写真師とワタクシは熊野へと向かったのである。

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まず最初の目的地。
三重県熊野市紀和町にある入鹿温泉ホテル瀞流荘。
熊野川に合流する北山川沿いにある宿泊施設で、大きく河原の広がる北山川を優雅に見下ろすことができる。

なんとこちらは、昨年9月、全国グリーン・ツーリズム大会が開催され、その基調講演をなんとサルシカ隊長であるワタクシが担当させていただいた。

その様子のレポートはこちらをご覧ください。
第93回サルシカ隊長レポート「隊長、熊野で飲んで語らい、そして講演する」

2日間にわたるイベントで、夜の交流会は当然宴会となり、翌朝の基調講演はやる方も聞く方も二日酔いという状態で、参加者には大変申し訳ないことをした(笑)。

実はその時も、ホテルの敷地内でトロッコを発見し、「おおおおおおお!」と大騒ぎをしていたのだ。
そのトロッコに乗って秘湯温泉へ行けると聞いて、はげしく萌えていたのだ。

そして。
駆け込みギリギリセーフで、その夢を果たすことができたのだ。

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入鹿温泉ホテル瀞流荘の敷地内にあるトロッコ乗り場。
このあたりはかつて紀州鉱山として銅が採掘されていて、鉱石運搬のための敷かれた専用鉄道がこのトロッコ。
昭和53年に閉山されたものの、湯ノ口で温泉湧出がきっかけにもなり、観光目的に奇跡的に復活。
1989年から運行が再開されたのだという。
現在は、旧小口谷駅に位置する入鹿温泉「瀞流荘」と湯ノ口温泉駅(旧湯ノ口駅)の一区間のみの運行となっている。

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それではここから、全国の鉄道ファンのために、写真師マツバラが待ち時間をフルに活用して撮影した渾身の写真を、いつも以上にたくさんご紹介しよう(笑)。

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いや〜、味わい深いですね〜。
鉄ちゃんではないワタクシですら萌えてきます(笑)。

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列車は木製。
超小型なので大柄のワタクシなどは乗り込むのはちょいと大変です。
ま、遊園地にある小型の列車だと思っていただければ。

運行は1時間に1本程度。
朝9時から夕方4時ぐらいまで。

ちなみに料金はおとな片道210円、往路で410円。
湯ノ口温泉の入浴料込みの往復チケットは620円となっている(2015年2月現在)。

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運転手のお父さんがヘルメットをかぶりつつやってくると、「出発しますよ〜」と声をかけてくれる。
乗客は我々と、年配のご夫婦の4人。

ガゴン。
大きく揺れてトロッコは動きはじめた。
大きなバッテリで動く電車だと聞いていたので静かだと思っていたが、ぜんぜん静かじゃなかった。
トロッコはすぐさまトンネルに入る。
鉱石運搬の鉄道だから当然である。
まわりが暗くなると同時にスピードがあがる。
すると・・・。

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揺れる。
モーレツに揺れる。
木枠の窓がギシバシと外れそうなほどにきしむ。

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そしてはげしくうるさい。
会話をするのは大変である。

ががががが、ぎしばし、ががががが!

ずっとこんか調子。
が、楽しい。
すこぶる楽しい(笑)。

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わずか10分ほどでトンネルを抜け、湯ノ口温泉駅に到着。

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運転手さんが帰りの時間を教えてくれる。
乗ってきたトロッコが折り返すのは30分後。
それに乗るのはちょっと忙しいが、その次の1時間半後であればのんびりできるな。

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さて。
いよいよ秘湯めぐりである。
念のため言っておくが、この湯ノ口温泉には車でも来ることが出来る。
でも秘湯気分を味わうにはトロッコに乗るべきであろう。

ご覧あれ。
このひなびた雰囲気!
次回は、つげ義春の世界を存分に味わっていただくのだ!!

写真/松原 豊