三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2015年3月29日放送

若者や障がい者の自立支援・就労支援を目的とした施設をスタートに、伊賀の特産品を使った加工品のブランド化、そして地域産業の活性化を目指します!

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こちらは伊賀市の上野市駅。
駅前広場で、毎月第二日曜日に開催されている『伊賀風土FOODマーケット』が最近、とても人気なんですよ。


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そんな駅前からほど近い場所にあるのが、江戸時代から400年以上続く老舗和菓子店『桔梗屋織居』。
店内で発見したのが、伊賀のご当地キャラ『イガ★グリオ』のかたやき。
かたやきは、伊賀の名物お菓子です。


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店主の中西伊英さんに、このかたやきについてお聞きしました。

「かたやきは丸いのが一般的ですが、当店では手裏剣型や季節の行事に合わせたかたやきを製造販売しています。
このかたやきは『いがぐり工房』という施設で作っているんです」


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こちらがその、『いがぐり工房』。
運営する伊賀市社会福祉協議会の一見俊介さんに、この施設について教えていもらいました。

「この施設は、若者の自立支援、障がい者の就労支援を目指した中間的就労の場です。
和菓子作りのノウハウは、専門家である桔梗屋織居の中村社長に指導していただき、訓練を行っています」

『いがぐり工房』は、県の補助金を利用し、元製麺所を改装して今年2月にオープン。
現在、伊賀、名張市に住む4人が働いています。


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この『いがぐり工房では、桔梗屋織居から生地を届けてもらい、焼く作業までを行っています。
焼きあがりには、なんと40〜50分もかかるそうです。


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焼き印でつけているのは、いがグリオの顔。
作業をするのは平日の朝9時から午後4時まで。
個人の状況に応じて3時間から6時間。
型抜したかたやきの生地をひとつひとつ丁寧に焼き上げていきます。
現在、いがぐり工房で焼かれるかたやきは6種類ほどあるそうです。


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「美しく焼くが目標なので、目標を達成できた時にすごく、楽しいです。
自分が働いている姿はまだ想像できませんが、カフェなどの人と接する仕事に興味があります。また、ここ『いがぐり工房』で作る楽しさを発見したので、カフェで何かを作る仕事ができたら良いな、と考えています」

と、ここで働く榎本真弓さん。

いがぐり工房のみなさんが丹精込めて焼きあげたグリオ焼きは、桔梗屋織居のほか、伊賀市の社会福祉協議会でも販売中。
売り上げの一部は、赤い羽根共同募金に寄付をしているそうです。

また、『いがぐり工房』では、就労支援だけでなく、栗を使ってのプロジェクト『いがぐりプロジェクト』を計画しています。
栗を地域で育て、その加工を行い、新しい伊賀の産品を作っていくことで、様々な分野が連携して雇用の拡大や作物のブランド化するとともに、産業の活性化を目指しているのです。


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そのプロジェクトの一端となるのが、名張市にある山。
こちらで、伊賀の特産品に育てるための栗の木を育てています。
これらの栗の木は、昨年12月、『NPO法人赤目の里山を育てる会』のみなさんの協力を得て植樹をしたもの。
名張の就労支援施設の利用者やボランティアも大勢参加し、100本の栗の木を植えました。


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この日は『赤目の里山を育てる会』を訪問していた、海外交流の研修生のみなさんが、栗の木を植樹していました。
里山の保全を目的とするNPOが、なぜ『いがぐり工房』の取り組みに協力することになったのでしょうか。


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「里山の保全では木々を切ることも大切。そして切った後に植える木を何にしようかと考えていた時に、古くから付き合いのある(桔梗屋織居)の中村さんと会い、『栗の木を植えられるところがないか?』と尋ねられてたんです。
それで植える木を栗にしようと。
それが地域のまちづくりや産業に貢献することになれば、里山の保全をしている側としても、とても嬉しいです」

と、『NPO法人赤目の里山を育てる会』の理事長、伊井野雄二さん。

いがぐり工房では今後、『伊賀風土FOODマーケット』への出店を検討しています。

「作ったものを自分でお客さんに売るということが、就労支援の一つの形になると思います。自信がついたり楽しみになったり・・・広がりが出てくると思うので、マーケット出店などの機会をどんどん作っていきたいです。
また、一度途切れた流れみたいなもの・・・『農』と我々の『商売』であったり、その間をつなぐ『モノをつくる作り手』をつなげていく輪を作りたいですね。
最初は栗ですが、さらに違う農産物や物産に広がっていってほしいです」

と、中村さん。

「『中間的就労』と全国的に言われていますが、一般就労が難しい人、いろんな課題を持つ人が今、たくさん増えているという状況です。
『いがぐり工房』はそういう人たちの訓練の場所として、役立つ場所になっていければと考えております」

と、一見さん。


一度は途切れてしまった、地域の農作物のつくり手と、商品の販売をする人たちとのつながり。
それをつなぐのは、地域に対する熱い思い。
そして若者やハンディを持った人たちを思いやる気持ち。
栗などの農作物の生産から、商品の加工製造、販売まで。
伊賀らしく、伊賀ならではの地域活性化の取り組みは、いま芽吹きはじめたばかりです。