三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2015年4月12日放送

買い物に出られない高齢者のため、地域の自治会が福祉バスを運行!
交通手段としてだけでなく、交流の場としても利用され、お年寄りたちの輪が広がりました!

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津市豊が丘地区は世帯数2300戸、およそ6500人が暮らす大きな住宅団地です。
しかし開発が始まって40年近くが経過し、住民の高齢化が進んでいます。
特に、問題になっているのが、日常の買い物や通院に、不自由している交通弱者の増加。
そこで、地元の自治会連合会が主体で生活支援などの活動を行う『ライフネット豊が丘』を設立。
地域住民の新たな生活の足として、福祉バスを自主運行しています。


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こちらは豊が丘地区にあるスーパー。
『ライフネット豊が丘』が運行するバスが来ていました。
運転手さんと助手さんの2人セットで、バスを運行しています。
この時間、お客さんはスーパーで買い物中。


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買い物が終わったら、荷物ごと、なんと家まで送ってくれるんです!
なので、こちらの利用者の方は、バスの運行日に合わせて飲み物などの重いものを購入するようにしているそうです。

バスはステップ付きで、中も広く、15人乗れますよ。


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「重たいものを買うときは、こうしてお世話になっています」

「ものすごく優しくて、親切にしてくれるのでありがたいです」

スーパーを始発とするルートは、ピストン運行。
乗車を希望する利用者が少人数でも、随時、出発しています。
これは大助かりですね!

車の乗り降りも、しっかりとサポート。
高齢者の方が、安心して利用してもらえるようになっています。
地元の自治会が福祉バスを運航する取り組みは、県内でも、ここだけだそうです。


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この日運転を行っていた遠藤優さんと、辻久留美さん。

「この団地が買い物をするのに、車がないとちょっと不便なところなので、少しでもお役に立てて、みなさんに生き生きした生活を送ってほしいと思い、お手伝いしています」

「大きな団地なので、自分のような人が周りにいないと思っている人が
多いんです。
でもバスに乗ることで、他にもそういうひとがいるのを知り、そのひとたちが
1つの輪にれば生活も楽しくなるのではとの思いから、参加しています」


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『ライフネット豊が丘』の代表、生川介彦さんに、福祉バスの運行に至った経緯をお聞きしました。

「団地が出来てから、30〜40年近く経っています。
高齢者が増えてきている中、このまま放っておいては、ゆくゆくは、みんなが困るのではと、先取って始めようと実行に移したのです」

平成25年9月に試行運転を開始、半年間続けてみてやはりこのバスの必要性を感じ、26年4月から本格運行を開始しました。


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バスは、毎月第2週と第4週。
対象は65歳以上の自治会員で、基本は予約制です。
15人乗りのバスは、地元の福祉施設から譲り受けたもの。
自治会の会員が、交代で運転しています。

コースは、月曜から金曜日までの日替わり。
停車する場所は、最寄りの病院から大型商業施設、津駅など、現在5つのルートが設定されています。


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『ライフネット豊が丘』の福祉バス運行日。
運行を担当するスタッフで、ルートと予約者の確認をしてから、午前8時30分に事務所のある『豊が丘会館』を出発。
この日は、いくつかの病院を回って、津駅西口に向かうルート。


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まずは、予約をもらっている利用者の自宅、もしくは、最寄りの集合場所へと向かいます。
この日はずいぶんと、利用者が多く、車内は賑やか。
元々は、付き合いの無かった者同士だったそうですがバスの利用を重ねる内に、顔なじみになったそうです。

「たくさん知り合いができて、輪が広がりました」

「みんな顔見知りになって、買い物に行く日はグループでご飯を食べたり、お茶飲んだりしてます」

交通手段としてだけではなく、交流の場としても福祉バスは活躍しているようです。


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「豊が丘は買い物や病院が不便ですが、とても良い所です。
多くの方に利用してもらえたら良いな、と思います」

「みなさんに色々な情報を教えてもらえるので、とても楽しいですよ。
乗ってもらうことで元気な様子を見ることができるので、最近姿を見せない人のところには、ちょっと様子を見にくこともあります」

と、『ライフネット豊が丘』の北谷祥子さんと遠藤悦子さん。


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また、『ライフネット豊が丘』のみなさんが走らせているのはバスだけではありません。
地域の防犯パトロールカーが、青いランプを点灯させて走っています。
自治会員のボランティアが、自分の空いている時間を活用して、巡回。
週に3~4回、青ランプをつけた自家用車で、団地内を回っています。

高齢者、子どもたちが、安心、安全に暮らせる地域にするために
地域のみなさん自らがんばっています。


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『ライフネット豊が丘』事務局長の清際和彦さん。

「豊が丘の住民さん限定で、現在、在宅支援という形で、庭木の剪定や草刈り、ゴミ出しなどを行っています。
今後はお年寄りが気軽に寄れておしゃべりのできる、サロン的な場所を作っていきたいですね。
最近では独居老人も増えているので、少しでも足を運んでもらい、地域の輪の中で支え合えればと思ってます」

生活の足に困っている高齢者のために、福祉バスを走らせる。
ゴミ出しや庭の草刈りなど、日常の不便を支援する。
そして、住民の安心・安全を守る。

地域の問題に、地域住民が対応する。
そんな、全国的に見ても珍しい『ライフネット豊が丘』の取り組みは今後、注目を集めるに違いありません。