三重県津市の津観音さんに小津安二郎監督の記念碑が建立されました。

「松阪、飯高方面にゆかりのある小津監督の記念碑がナゼに津に?」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、
祖母が津市宿屋町に嫁ぎ、自身も久居陸上自衛隊、今でもその名を残す33連隊に入隊した記録があります。

入隊の朝、久居に向かう軽便鉄道から見た一面の花の景色に着想を得て、
初の総天然色作品「彼岸花」の製作に至ったのではないかというのが小津作品研究の佐藤先生の見解です。
その後のカラー作品に使われた「小津の赤」とも呼ばれる独特な配色は、この彼岸花をモチーフにしているとも言われています。
淡々と繰り広げられる滑稽な会話喜劇「彼岸花」。
そこには彼岸花も、彼岸花という単語も一切でてきませんが、頑固な父親が最愛の娘を嫁にしぶしぶとしか送り出せなかったのを取り戻すように、後日汽車で広島に向かう最後のシーンの窓の外には、あの入隊の日の景色があったのではないかと想像してしまいます。
彼岸花の花言葉に「再会」というのがありますから。

小津作品に触れる素晴らしい機会を昨年の「津の昭和展」にて頂戴しました。心から御礼申し上げます。


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