FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年4月18日放送

今回は多気町の大須賀由美子さんと、お嬢さんのきこちゃんがお客様です。
大須賀さんは、多気町で子供料理教室『だんだんキッチン』を運営されています。
だんだんとは、大須賀さんのおばあちゃんのお家がある島根の言葉で「ありがとう」という意味。
いろんなことにありがとうの気持ちがいっぱいです。
大須賀さんが今住んでいる多気町波多瀬との出会いもだんだんですね。

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■皮までおいしい豚まんは、子どもたちに大人気!

私が運営している子ども料理教室『だんだんキッチン』には、4歳から小学6年生までの子供たちが参加しています。
年齢の違う子供たちが一緒に料理をつくるのですが、みんなしっかりと助け合っています。ゴマをするときは、大きな子が鉢をしっかりと持って。

『だんだんキッチン』での大人気メニューは豚まんです。
もちろん、皮から手作りしています。
せいろの下ででスープを作って、上で蒸し野菜を、また、豚まんを一つのせいろで蒸しました。
驚きがいっぱいで、子どもたちがとっても喜びました。

きこ かほちゃんていう子が、「皮だけでもおいしい」って言ってたよ。

そう、そのコメントが嬉しくて!
今、チラシを作っているのですが、その幸せそうな表情を載せています。

もう本当に可愛いです!


■移住を決めたのは、畑の見学会に参加したご主人とお嬢さんの写真から

関西からまず松阪に来て、そこでもう、三重県に住もうと主人と決めました。
ちょうどその時。同じせいわ地区で有機野菜をしている野呂さんが、波多瀬地区の隣の片野地区で畑の見学会を開催したんですね。
そこに主人と娘が行ったのですが、その写真を見たらとても良いところで。
聞いたら20分で行けるというんです。
そこからなら仕事にも通えるし、すぐに引っ越そうと。
実際に住んでみたら本当に心地よくて、娘たちももう波多瀬から出ない!と。
毎日安心して遊んでますし、外で友だちと遊んでいても、心配しなくて良いのがうれしいです。
家にいたら散らかすから早く外にでて、というくらい(笑)

きこ いつも遊んでいるのは、縄跳び。烏岳に登ったことがある。
 
昔、波多瀬保育園があった頃は、年中さんと年長さんが幼稚園のおわかれ遠足でも行っていたらしいです。
数年前ですが、園児を連れて数人の先生だけで登るなんて、たくましいですよね。


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■あたたかいご飯を食べることができたら強く生きられる

最初に子どもができた時は私も自信がなかったので、手をかけて育てていました。
そのためか、娘がなんというかこう、人の目を気にするような感じになってしまったんですね。
そこで、何か自信が持てれば良いな、と。
その自信で歩いていけるようになったほしいな、と思いました。
子ども料理教室の先生を知っていたので、そこに通わせようとしたところ、私自身が三重県に住むことになったので、ちょっと遠いな、と(笑)。
そうこうしているうちに「私がやったら良いんだ」と思い、そこから『だんだんキッチン』へと向かったんです。

大学の専攻は料理とは無縁でしたが、その後興味を持って、キッズキッチン協会というのに入会し、そこで勉強してインストラクターの資格を取りました。
今でも年に数回はそちらの仕事をしています。

子どもたちの力は本当にすごいと思います。
私が料理教室を通して子どもたちに伝えたいと思っているのは、
「こんなん作れた!」
「お母さんがおいしいと言ってくれた!」
など、小さな小さな自信を積み重ねて、それが大きくなった時、何かしんどいことがあってもその自信が子どもたちを支えてくれる・・・そんな自信です。

子どもは愛おしいですから、親が我が子を守りたいと思うのは当然です。
しかし人間ですから、いつ何があるかわかりませんよね。
その時に落ち込むだけでなく、自分で生きていくためには、やっぱりあったかいご飯を食べたら、何があっても行きていけるし元気になっていくだとろうと。
なので『だんだんキッチン』に来てくれる子どもたちにも、そんな力を付けてほしいんです。
でもそんなこと当然、教室では言いません。
むちゃくちゃ鬱陶しいですよね、そんなん言われたら。

そんな中で、私が米の研ぎ方を教えると、家に帰った子どもたちが、
「お母さん、今日、お米研いでおこうか?
毎日こんなに冷たい水で研いでたんやな、ありがとう」
と言うんですって。
そんなにいろんなことを感じ取っていたの!?と感動しました。
私が教えられることはちょっとだけど、それ以上にとても大きなことを感じてくれているんですよ。


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■魚をさばくということ

自分の力であったかいものを食べられるようにしたら、絶対行きていけると。
料理教室のくせに「生きる力を付けてほしい」とか言っていますから。
男の子、いわゆる料理男子も来ます。
結構チェックしているんですよ、娘のお婿さんに、とか(笑)
男の子も楽しくやっているし、器用な子が多いです。

年に一回でも良いので、お魚を捌く機会を作っていきたいと思っています。
やはり魚をさばくと血も出るし、内臓もあります。
そういうのを感じてほしいです。
面白いなと思ったのは、だいたい子どもたちは「気持ち悪い」から入るんですよね。
でもそこで私の感情を入れちゃうと、子どももそれらしい意見になってしまうので、そこは淡々と事実だけを。
「ここが内蔵で、ここに肛門があるでしょ」、と。
気持ち悪いと言った子に、「でも、みんなにもあるよ」と言うと、一生懸命考えるんですよ。
言葉を探して。
きっとちゃんと言葉にはならないのかもしれないけれど、頭のなかではいろんなことを考えて、どこかで自分の言葉を見つけていけるのかなあと。
それを感じ取ってもらうだけでも、楽しいレッスンだと思います
「手袋していい?」とか訊いてくる子もいますが、それでもやり始めると面白いって没頭するんですよね。
きれいにさばけて、きれいに骨が取れた時は、やっぱり楽しいですよ。
イワシ6匹を用意して、3〜5人のレッスンで、結局じゃんけんで取り合ったりしますからね。
生臭いかもしれないけど、やってみないとわからないですから。
ご飯を全部作っての配膳なども、やらないと自分が食べられる量もわからないですよね。
自分が料理をしていると気づかないのですが、子どもたちと料理をしていると料理って、とてもたくさんのことを学ぶことができるんだ、と気付かされます。


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■成功体験が大切

最初の1〜2回の子に対しては、成功体験をとても大切にします。
「こんなにおいしくできた!」という体験をしてもらい、自信を持って次のステップに進んでもらいたい。
例えば、「今日、醤油ちょっと少ないんちゃう?」と思ったら子どもが見ていない隙にちょっと足してみたり。
で、出来上がっておいしいというのを大切にしています。
でもそれだけやっていてもその子は伸びていかないので、回数を重ねていくにつれ、失敗しても次はどうリカバーしようかな、というのを自分で考えたり、考えるきっかけを作っていくように。
「あれ、さっき醤油少なかったな。もうちょっと足そうか」
とか、説明しながらやっていきます。
もうこれで一年経ったので、今度は子どもたちに肉じゃがを作ってもらおうと思っているんでけど、肉じゃがの味付けには何が使われているか、何が一番入っているのか・・・そのあたりから投げかけていこうと思っています。

『だんだんキッチン』が終わると、子どもたちは自分のお家で習った料理をすぐ作っているようですよ。
お料理教室の終わりが夕方6時過ぎ、お家で料理を始めるのが7時ごろ。
お母さんたちも子供のやりたい気持ちに応えています。
子供たちもすごいし、お母さんたちもすごい。
そんなお家で育っている子供たちは、本当に幸せな子たちだな、と思います。

お料理を通じて学べることはとても大きいですし、生きていく力を付けるなどの理由付けをしなくても、やはり食べることは生きることの基本。
その部分を子どもに伝えることがとても大切だと思っています。
しかし私が教室で教えることができるのは、限られた人数です。
もっとたくさんの子どもに触れてもらえるようなプログラムや方法を考えて、ここに来なくても知識を与えられるような仕組みを作っていきたいですね。