地域のお母さんががんばる月1回のモーニングで、みんなで顔を合わせて、楽しく話せる交流の場づくり!
さらに畑作りで休耕地を減らし、地域をゲンキにします!
こちらは津市美里町、経ヶ峰の麓にある小さな集落『平木』。
津の市街地から車で30分ほどのところにありながら、豊かな自然、昔ながらの生活が残されています。
そんな集落の中、キャンプ場のような一角で、女性たちが何か作業していますね。
「ここで月に一回、『やまびこカフェ』というモーニングを行っているんです。
大変だけど、楽しいですよ!」
と、『平木やまびこ会』の理事、田中のぶ子さん
この日は、その『やまびこカフェ』。
『平木やまびこ会』のお母さんたちは朝6時から、こうして用意しているのです。
『平木やまびこ会』代表の池村博さんに、『やまびこカフェ』を始めたきっかけについてお聞きしました。
「平均年齢が65歳で、すでに限界集落に近い状態です。
この状態を放っておくと大変なことになるので、平木にいる有志が中心となり、去年の8月に立ち上げました。
まず、平木にいる人が集まる場所を作るために、モーニングはじめたんです」
『平木やまびこ会』が運営するコミュニティ・カフェ『やまびこカフェ』は去年の10月にスタート。
地域に拠点を置くNPOのカフェスペースを利用して毎月1回、日曜日の朝8時から、2時間の営業。
地域のお母さんたちが、ボランティアでおもてなしします。
朝8時のオープンとともに、続々とお客さんが!
現在、平木地区には、ひとり暮らしの高齢者も増えつつあり、まずは、みんなで顔を合わせ楽しく語らえる場所と機会をつくりました。
ちなみに、平木区の人口は96人。
にもかかわらず、『やまびこカフェ』はその半数以上、50人から60人のお客さんで毎回賑わうそうです。
この日も、ひっきりなしに、お客さんがやって来ます。
こちらがこの日のモーニング。
具だくさんの豆乳のスープにサラダ、ウインナー、ゆで卵、粉ふきいも、みかんシャーベットまで付いて200円。
しかもパンとコーヒーはお代わり自由!
できるかぎり地元産の野菜を使い、手づくりを心がけています。
「最初からず〜っと、毎回来ています。常連ですね」
「電話で誘い合って、みんなで来ています。
早くこなくても良いのに、早く来て席を取っています(笑)」
「こうしてね月に1回ずつ、地区の人がみんな顔を合わせて、話ができるのが楽しみです」
みなさんリピーターなんですね!
モーニングは大好評のようです。
一方のお母さんたちは大忙しです。
「順調ですが忙しいです。
時間が集中してくるので、もっと多い時もありますね」
「忙しいけれど、みなさんのために提供しているのはとても楽しいです!」
スタッフのみなさんもやりがいを感じているようですね。
さらに『平木やまびこ会』の取り組みはカフェだけではなく、地域のNPOと連携して、休耕地を耕作し始めています。
「畑作業をしているのは僕ともう一人の女性で、他の人たちは、この地区に住んでいる人たち。
みなさんに野菜作りの先生になってもらっているんです」
と、『NPO法人サルシカ』のスタッフ、中谷兼敏さん。
実はスタッフたちは、他の地域からの移住者。
地域の人から畑を借り、耕すところからを教えてもらいながら野菜作りを行っているのです。
休耕地を増やしたくないのは、景観や防犯上の問題だけではありません。
地域の雰囲気、そして、地域に暮らす人の元気な気持ちを失いたくないからです。
田畑は、地域の活力。
平木やまびこ会のみなさんは、休耕地を減らす努力をしています。
「こちらに来てくれたら、機材、農機具などは全部提供します。
ここも荒れていましたが、冬から何回も耕して、ようやくこういう形になりました」
と、『平木やまびこ会』のメンバーであり、野菜の先生。
今、平木やまびこ会では、NPOや地域外の人と連携して、茶畑の再生、昔ながらの米作りも始めています。
今後は、田畑のオーナー制や長期貸し出しなども検討。
地域の景観、安全、そして元気を維持し、継続していく・・・そんな新しい仕組みづくりに、取り組んでいます。
「家で食事しているより、ワイワイ言いながら情報交換できる場ができて、本当にみなさん喜んでいます。
地域全体が、ちょっと元気が出て来た気がしますね」
と、平木区自治会長の野田眞嗣さん。
「これからの活動としては、他の地域に出ている若い人たちを呼び戻して、今度はその人たちが中心となって欲しいな」
と、『平木やまびこ会』副会長の井村定郎さん。
「子どもが手を離れると、集まることが年に1回くらいしかなくなっていました。
でも、カフェを始めたことで、最低でも月1回は集まることができるので、それが楽しみです。
活動を始めて大正解です!」
「将来的には自分の子どもや孫などにもこういった場に参加してもらい、これから先も継続できるようにしていきたいですね」
田中さんと池村さんも、確かな手応えを感じています。
まずは、顔を合わせることから。
笑い、語らい、そして、未来を共に考える。
カフェは、小さな最初の一歩。
ここから、美里町平木の未来は、始まります。