「ふれあい」Vol.09 2008年9月号

地元産ヒット商品の開発で農地が活用されるまちづくりを!

ふるさと耕房大台 代表 浮田 耕作さんにお話をうかがいました。

長ケ区の先人達が育成した区有林の木を使った建物で、地域の人々にとっていつまでも懐かしの場所である旧三瀬谷小学校第一分校校舎。

この校舎を活用して、 離農、耕作放棄が進む地域に元気を取り戻したい!
と地場産品を開発する施設として平成10年に「ふるさと耕房大台」が誕生しました。

ふるさとを守りたい!
        という想いをもって。

現在、道の駅おおだいで販売している「ないしょ餅」は、周りの皆さんから昼間には売り切れてしまうほどのヒット商品といっていただけますが、私は、まだまだ「ふるさと耕房大台」の掲げる目標が達成できたとは思っていません。

せっかく、テレビや雑誌で取り上げてもらっても、「ないしょ餅」は作ったその日に食べなければいけないので地域の外に販売できませんし、お土産品にもなりません。

また、「ないしょ餅」の販売が順調でも材料を収穫するための地域の農地は、荒れたままの場所がまだたくさん残っているのです。

私たちのふるさとを守るには、
          まず自分たちが動くことから。

荒れたままの農地も、ただ農産物やお米を作るだけではなく、この町で収穫できる農産物にいかに付加価値をつけるか、品質のよい無農薬米を作るなど、地域で誇れるブランド品を作っていくことが大切です。

自分たちのふるさとのことは、自分たちが一番よくわかっているはずです。
これは人任せではできません。
ふるさとのために何ができるかを考え、大台町といえば「○○だ」と言ってもらえるヒット商品を作りたいのです。

メンバーに経営の意識も浸透。
            更なる挑戦へ!

これまで「ふるさと耕房大台」は補助金に頼らず「自分達のものは自前で」という基本方針で、故障した製麺機をはじめ煎餅焼機、ミキサー、包餡機等々多数の機械化を餅グループで行っています。

自ら出資することは、原価意識を高め、利益を追求し、自主財源の確保へとつながります。
行政からの援助に頼らず、全員で売れるものづくりに挑戦する姿勢が重要と考えています。

今後の「ふるさと耕房大台」の活動は、基本構想の一つである都市との体験交流事業に挑戦することです。

〈生き・活き現場からのメッセージ〉・・・・餅グループの皆さん

他の地域にない商品を作りたい!

ないしょ餅は、この地域に伝わってきた「なべ餅」とよばれる餅をもとにしています。自分たちで作って食べるものと売るものは違い、売れる味ができるまでが大変でした。

また、「発芽玄米煎餅」も好評でヒット商品に育ってきました。夏場には、冷やした「わらび餅あいちゃん」も大好評です。

次の名物商品の開発を目指して!

「ないしょ餅」は、添加物を使わないことを大切に、毎日早朝から作って、交代で配達に行くのが日課です。
そのため、他の仕事とのかけ持ちがむずかしく、今は現状を維持していくので精一杯です。

でも、私たちの代で終わらせたくはないので、新しい商品づくりにも力を注ぎたいと考えています。
大量注文用に購入した機械は、「ないしょ餅」以外にも使えるので、新しい名物をつくっていくことも考えながら、まだまだがんばっていきたいです。

名前を覚えてもらいたい!
との想いからユニークな商品名に。
その由来は昔、やっと手に入れたもち米を周囲に気遣いながら、そっと鍋でついたことから。

〈生き・活き現場からのメッセージ〉・・・草木染めグループのみなさん

趣味から商品が生まれ、
        子どもたちにも愛される体験に!

大台ブランドを作りたいと最初は地元産のお茶を使った草木染めを始めました。
どんな染め上がりになるのかが楽しみで夢中になってやっていましたが、試行錯誤した結果、生まれたのが地元で採取した山野草(クチナシ、アカネ、たまねぎなど)やお茶に鉄分を混ぜて染め上げる方法でした。

商品の販売場所ができ
          さらにいい商品作りを目指したい!

最初は趣味のつもりで仲間で材料費を出し合い始めましたが、地元のまつりや道の駅おおだいで商品として販売することにより、収益があがって材料費も戻ってくるようになり、制作にもはりがでてきました。

手ごろな値段の材料で手間をかけずにできることや、商品の作り置きができる利点を生かしながら、在庫の状況を見つつ、定期的にみんなで集まって楽しみながら続けています。

これからは売るだけでなく
          体験中心の活動も。 

ホームページなどにも取り上げてもらい、それを見た皆さんが体験に訪れてくれるようになりました。
今では、小学校からも呼んでいただけるようになりました。 

これからは販売だけでなく、子どもたちや高齢者に愛される体験イベントの活動も続けていきたいと考えています。

〈生き・活き現場からのメッセージ〉あられグループのみなさん。


地元の皆さんの声から生まれた
               自慢の商品づくりを!

私たちが子どもの頃に家で食べたあられの味を孫たちに伝えたいと、手づくりあられを販売しています。
材料はもち米をはじめ、よもぎ、ごまなど、すべて自分たちで作った無農薬のものだけを使い、もち米を炒るための炭も地元産のものにこだわっています。
子どもたちが食べるものだからこそ、安心して使えるものだけを選びました。
 
あられの他に漬け物づくりも行っていますが、塩加減などの味付けが難しく、最初はなかなか買ってもらえませんでした。
そんな中、地元の皆さんに味見をしてもらい、試行錯誤するうちに、何度も買いに来てもらえるようになりました。
自分たちの作ったものにお金を出してもらえることは何よりも心の励みになります。

販路拡大の想いも・・・
          でも、何より品質を一番大切にしたい!

売値が決められている農産物と違い自分たちの手で値段をつけることができるため、少しずつ利益も生まれるようになりました。
手づくり品だけにたくさん作って売ることはできませんが、何よりも地元の皆さんとの絆から生まれた味を大切にしていきたいと思います。

また、イベントなどで実演を行い、あられを作る様子を子どもたちに見てもらったり、この町の産品や、伝統の味に一人でも多くの方にふれてもらいたいと考えています。