FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年7月4日放送

今回は志摩市浜島町にある『磯体験施設海ほおずき』の所長、井上雅平さんをお迎えしました。
磯で遊ぶだけではなく、学び、体験できる場所、それが『海ほおずき』です。
伊勢えびまつりも終わり、これから夏本番を迎える浜島のまち。
『海ほおずき』の駐車場には、大きなバスが何台も並んでいます。
今日もたくさんのお客様。
海のことを学び、海の面白さを感じられる場所です。

7-4-1

■磯体験だけではなく食育も学ぶことができる『海ほおずき』

『海ほおずき』のような磯体験施設は、全国を探しても類がないと思います。
ここには2つの軸があります。
1つは安心で安全に、地元の磯場にいる生き物に触れ合えて楽しむことができる施設。
そしてもう1つ、干物体験や手こね体験という、志摩の食材を食べる施設。
おそらくこれから、『食』という中で注目されていくと思います。
最近では、幼児・小学生などの子どもだけではなく、婦人会や若い人がグループが干物を作りに来て、その干物を持って帰ったり、手こね寿司を作って食べてもらうなど、幅広い年齢層の方に利用してもらっています。

私どもの目的としては漁業の体験という中で、若い人にどんどん魚に触れ合ってもらいたい、魚離れを食い止めたいという思いがあります。

『わんぱく磯』で、小さな子どもたちが生きている魚を追いかけ回すというのは、自然の動き。
しかし、その魚を包丁を使って食材にする過程というのが、最近の子どもたちはあまりできません。
やはり魚離れが進んでいるということで、この施設で解消できたらと思っています。

先日、おばあさんからお孫さんの三世代家族が初めて『海ほおずき』に来られ、
「孫の顔がぜんぜん違う! こんなに楽しいと思わなかった!」
という感想をいただきました。
ここではお孫さんを軸に、おじいさんおばあさんも昔海で遊んだ記憶を元に、お孫さんと一緒に潮のタイドプールの中で楽しむことができるんですね。
溺れたりすることもありませんし、疲れたら足湯に浸かるなど休憩もできます。

海水浴にお孫さんを連れていくのは、ちょっと大変というおじいさんやおばあさんにも安心、どの世代もみんなが楽しめる『海ほおずき』。
みなさんもぜひお出かけください。

 

9-7-8

■海水を井戸から汲み上げているので、干潮や満潮を常にチェック

ここ『海ほおずき』は海水を井戸から汲み上げています。
潮には大潮中潮小潮、そして干潮満潮の時期がありますよね。
大潮の時期になり、井戸の水位が下がってくると、ポンプが砂を吸い込んで止まってしまうことがあるんです。
なので大潮の時は24時間、心配ですね。
自然を再現するのにはどうしても無理があるので、足りない分は人的な努力でやっていかないと。
自然の状況に合わせてやる必要があるので、厳しい部分もあります。

いろんな試行錯誤を繰り返しながら、『海ほおずき』を運営して11年目。
「生き物の魚に触れることから、その命をいただくところまで子供たちに体験してもらいたい」というのが、私たちの思い。
これからも、もっともっとたくさんの人に楽しんでもらえるようにしたいです。

 

7-4-2

■磯の生き物は海女さんが供給

施設の裏側は大変です。
地元の海女さんが漁に出ているときは、ヒトデやヤドカリ、法螺貝、サザエ、ナマコなど、いろんなものを供給してもらい、『わんぱく磯』に届けてもらっています。

生き物なので、弱ってきたら補充するなど、日々の手配も大変ですし。
それから、最近では全国的にカツオ減っているため、手こね寿司に使うカツオも足りない状況です。
しかし予約が入っていたら仕入れないといけないので、鮮度のいいカツオを手配するために、全国の港を追い掛け回しています。
どこどこの港にカツオが水揚げされるということを、年中チェックして。
地元で常に揚がれば良いのですが、カツオも動いていますからね。
志摩沖から千葉の方まで上がって行き、そして今度は千葉から下って来る。
上りのカツオと戻りのカツオを、時期に合わせて探しています。
私たちが小さな頃は、魚市場に行くと、漁師さんが1本持ってけくれたものですが、10年ほど前に比べると、値段もとても高くなり、今や高級魚です。

それでも三重県はカツオの漁獲量順位が全国2位!
なので、カツオの味を都市部の人に楽しんでもらいたいですね。

 

02071

■志摩の味が詰まった『勝っお(鰹)バーガー』

『勝っお(鰹)バーガー』の開発には、パンのサイズからカツオの味付けに至るまで、1年半ぐらいかかりました。
「パサパサなのでは?」
などの先入観を捨てて、まずはガブっと頬張ってみてください。
「え? これカツオ? 肉じゃないの?」
と、たくさんの人に訊かれますが、肉ではなく正真正銘のカツオなんですよ。
そしてあまり油がないので、若い人だけでなくお年寄りの方にも好まれています。
『勝っお(鰹)バーガー』を開発したきっかけは、長崎を訪れた際に食べた、ご当地グルメの『佐世保バーガー』。
佐世保で『佐世保バーガー』ができるのなら、志摩でも特産を生かしたバーガーができるのではと考えたのです。
鳥羽にはすでに『とばーがー』というご当地グルメがありました。
でも、鳥羽の真似はしたくないので、『とばーがー』に入っていない志摩の食材をと考えた時、カツオしかなかったんです。
さらに、志摩が天下一品の産地であるアオサはパンに、大王町船越の味噌はソースの中に混ぜ込んで。
さながら志摩の味を詰め合わせたバーガーとなりました。

これから夏を迎えます。
『海ほおずき』にお客さんがたくさん来るシーズンですよ。
『勝っおバーガー』を食べたい方は、ぜひ予約してきてください!!