何が出てくるかわからないおまかせコース!
この日に出会える料理を、五感をフルに使って味わいます!
料理とは?食とは?・・・食べることについて考えさせられるひとときです。
前編は前菜が凄すぎて、それだけで終わってしまいました。
ようやく次のお皿です。
焼物の、アマゴとサワガニ、キュウリ。
器は妻であり芸術家の、佐知子さんの手作り。
ものすごい存在感があります。
まさにアマゴやサワガニが清流の中でたゆたっているように見えるのですが、それをどうやっても画像で表現できないのがもどかしいです。
アマゴは炭火でじっくり時間をかけて焼き上げてあり、頭からそのままいただけます。
皮はパリパリで、身はしっとり!
鼻から抜ける香りが、甘いです!
サワガニは、旨味をそのまま身体に閉じ込めて揚げたかのよう。
こんなに小さいのに、旨味がめちゃ濃いのです。
キュウリも程よい塩気で、良い仕事をしています。
ハモの黄身衣天麩羅バルサミコソース。
身はホクホクで噛んでいると溶けていく感じ。
衣は黄身が混ざっているためか、食感がしっかりしています。
不思議ことに、これだけミョウガや大葉などの薬味が乗っているのに、薬味がきつくありません。
天麩羅に優しく寄り添う感じ。
バルサミコの風味がそうさせているのでしょうか。
鹿の炭火焼き、醤油麹のソース。
これまた存在感のある熱々の器に、鹿肉のいろいろな部位、同じく炭火で焼かれた玉葱、ヤングコーンが添えられています。
正直、料理と器のコラボレーションの完成度が高すぎて、見たままを写し撮るのが難しいです。
この日の参加者全員で、いろいろな角度から撮ったにもかかわらず、料理が運ばれてきた時の驚きが表現しきれていないように感じます。
鹿肉アップ。
低温調理をほどこした上で、炭火で周りを炙っているのでしょうか。
まったく臭みがなく、純粋な旨味のみ。
これが鹿の肉の本来の味だとしたら、これまで食べていた鹿肉とは何だったのでしょう。
そのくらい美味しく、瑞々しく、身体に良い味がするのです。
メンバー全員、頻繁に鹿肉を食べている方だと思うのですが、本気で黙りこくってしまいました。
そのくらい、スゴイ。
これは是非、実際に食べていただきたい!
この鹿肉、実は美杉町の罠師である古田洋隆さんが獲ったもの。
鹿は後ろ足が罠にかかると暴れて内出血を起こし臭みが出るため、暴れられない前足が罠にかかるように仕掛けるのだそう。
熟練の技と勘で罠にかかる足を狙い、さらに獲ったらすぐに心臓近くの動脈にナイフを入れ、肉に血が回るのを防ぎます。
こうすることで、臭みのない鹿肉になるのだとか。
・・・と話を聞いたものの、それがここまで味に直結するのを目の当たりにすると、魔法のように感じます。
そのくらい、はっきりと、味が違うのです。
くどくど語って申し訳ない。
めちゃくちゃ衝撃を受けたのです。
そしてショックが収まったところで、ごはんと汁物。
汁物はアオサ汁、お米は自家製の不耕起栽培米。
汁も美味しいですが、ごはんがめちゃめちゃ美味しい!
粒がしっかりしていて、一口目からいきなり甘い!
そしてその甘さが、噛んでいる間中、後から後から湧いてくるのです。
おかずなしで、一杯まるごと食べられます。
なんて言いつつ、糠漬けもいい塩梅に漬かっていて、ついつい箸が。
ここまでけっこう量があったのに、あっさり2杯、完食してしまいました。
食事を堪能した後は、カフェに移動。
お皿もそうですが、店内の装飾品もほとんどが佐知子さんの手によるもの。
素敵すぎる空間です。
デザートは、美杉の水のゼリーに、家の近くで採れた肉桂の香りを添えて。
お店横の茶畑で摘んだ自家製の煎茶とともに。
ここで最後の衝撃。
このゼリー、いったい何!?
水!
美杉の水を、そのまま固めたかのごとく、口に入れると弾けるような食感なのです。
ゼラチンとも寒天とも全く違う・・・透明感のある食感とでも言ったら良いでしょうか。
そこにはんなりとした黒蜜と、シナモンの淡い香り。
すべてが淡く、とろけるようです。
この食感、もう一度体験したい・・・。
久しぶりに、感動する食を味わいました。
食べ終わった後、ちょっと虚脱状態に陥ったくらい。
『食』とは、『命』とは・・・とか、珍しく考えるきっかけになりました。
でもまあ、結局は美味しかったということなんですが。
次の予約をしてから帰りたかったですよ、本当に。
次にお邪魔できるのはいつでしょうか。
その日を励みに、M子は明日から生きていきます!
沓澤敬さん、佐知子さん、ご馳走様でした!!!