「ふれあい」Vol.18 2009年11月号

地域の一大イベントである夏祭りを
自分たちが子どものころ楽しんだ時のように盛り上げたい!
と、阿曽地区の若者たちが立ち上がりました。
地区役員や夏祭り実行委員会との活動を通じて生まれた地域の一体感、夏祭り復活までの過程とそこから生まれた人の輪について、阿曽青年団と夏祭り実行委員会のみなさんにおうかがいしました。

右上/阿曽青年団相談役 村田 英紀さん
右下/阿曽青年団団長 奥村 崇さん
左上/阿曽青年団書記 下村 清剛さん
左下/阿曽青年団副団長 小野 雄士さん

※役職はそれぞれ取材時(2009年)のものです。

祭りの賑わいを取り戻すため
              地域の若者が立ち上がる

毎年、お盆の時期に行われている阿曽地区の夏祭りは、昔からこの地域の一大イベントでした。
私たちが子供のころはお祭りが来るのを今か今かと待ちわび、大人も子どもも輪になって盆踊りをし、わくわくと楽しんだものです。

しかし近年、過疎化や高齢化が進んだことで夏祭りの参加者も減り、盛り上がりに欠ける寂しいものとなってしまいました。

昨年までの祭りの現状を寂しく思った阿曽地区の20代~40代の私たちは、「夏祭りを根本から変えたい、大人も子どもも一緒に楽しめるものにしたい」との思いから、同世代の仲間の署名を集め、実行委員会に直談判に行きました。

そこで祭りに対する思いのたけを話し、今年の夏祭りの企画や運営を若い世代に任せてほしいと熱い思いをぶつけたのです。

丁度、実行委員会としても祭りの開催を3年に一度に減らそうかという話が出ていたこともあって、この話は思いのほかすんなりと認めてもらうことができました。
中には「よくぞ言ってくれた」と称えてくれる人もいたぐらいなんですよ。

そして、夏祭りを盛り上げるため、私たちは10年ほど前になくなってしまった地区の青年団を再結成することにしたのです。


青年団と実行委員会が
           連携を取りながら祭りを運営

今回、活動の中心となった青年団メンバーの9割が地元消防団に所属しており、
彼らは「自分たちのまちは自分たちで守ろう」という地元意識が強い連中ばかりなんです。

自分たちが楽しんでいたころの祭りを取り戻し、今の子どもたちにもわくわくとする期待感を持ってほしいという同じ思いを持って立ち上がりました。

しかし、青年団だけで祭りを運営することはできません。
そこで、祭りの企画や盛り上げなどの実行は青年団が行い、予算を組んだり、寄付を集めたりという下支えを実行委員会にお願いするというように役割を分担しました。

阿曽地区は昔から住民の繋がりが強く、年齢差も関係なく、気軽に話ができる地域性を持っています。

こういった地域性もあり、祭りに向けて会議を重ねていく中で、これまで繋がりのなかった人ともコミュニケーションがとれて、世代や立場を越えてより一体感を得ることができたように感じます。

今回は夏祭りでしたが、まちを元気にしていく活動に、これからも若い力を存分に発揮してもらいたいですね。

左上/実行委員長 村田 幸司さん
左下/実行委員 大西 和志さん
右上/創心太鼓 代表(音頭保存会会員)生駒 佳也さん
右下/実行委員会 会計 奥村 一夫さん

※役職はそれぞれ取材時(2009年)のものです。

子どもからお年寄りまで
みんなで祭りを盛り上げる

今年の夏祭りではかつてのように盆踊りを盛り上げようと、これまで音頭保存会の方々が行っていた太鼓や音頭(唄)、拍子木などのお囃子を青年団で受けもつことにしました。
保存会の方を先生に週に一度集まって練習をし、音頭を録音したCDを練習以外の時にもできるだけ聞くようにしました。

最初はどうなることかと思いましたが、練習を重ねていくことで徐々に上手くなっていき、青年団の飲み会などで興が乗ってくるとみんなで音頭を唄ったりと本番前から大いに楽しみましたよ。

また、たくさんの方々からの要望もあり、今年はここ10年以上行われてこなかった花火を復活させました。
間近で見る花火は迫力満点で、花火の復活を喜ぶ声も多く聞かれましたね。

その他にも、夏祭りのポスターを小学生に描いてもらったり、ペットボトルをリサイクルした行燈を保育園の園児たちに作ってもらったりと、小さな世代にも祭りへの参加を意識してもらえるような試みを行いました。

さらに、私たちが子どもの頃に誇らしく感じた祭りの醍醐味を今の子どもたちにも感じてもらえるよう、祭りに来た小中学生に櫓の上で拍子木をたたいてもらうなど、住民みんなが参加でき、楽しめる祭りを心がけました。

祭りの準備期間中に阿曽の祭りの噂を聞き他の地区から「音頭のCDを貸してほしい」といった要望も届き、音頭復活に向けた嬉しい動きも広がりつつあるようです。
夏祭りを通して阿曽地区だけでなく周辺地域へと元気の輪が繋がっていくといいですね。

盛況のうちに祭りが終了
来年以降への期待も高まる

今年はなんと言っても祭りに一体感があったように感じます。

「楽しかった!」、「来年も続けてほしい」という意見もたくさんいただいており、特に子どもたちの参加が多かったことが嬉しいですね。
来年以降も住民が一体となって阿曽地区を盛り上げていくことで、この活動を次世代を担う子どもたちにも引き継いでもらえるようにしたいですね。

今年の夏祭りはエネルギッシュな青年団との協働運営により、例年になく盛況で、区民のみなさんに満足していただける祭りができたと思います。

様々なイベントを通じて、婦人会、老人会、子ども会などの参加者の輪をどんどん広げ、地域ぐるみで阿曽地区の元気づくりを目指したいと思います。