三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」2011年5月22日放送

浦村のブランド牡蠣・・・そのカキ殻から生まれた『ケアシェル』が、アサリの成長を促進!
浦村アサリは新たなるブランドとなるか!?

浦村と聞いて、まず頭に浮かぶのは、牡蠣。
毎年2月には、数万個の浦村牡蠣を用意してお客さんをお迎えする、牡蠣祭りも開催。
まさに牡蠣養殖の本場です。

しかし浦村では、牡蠣だけでなく、アサリの養殖に頑張っている人たちもいます。

『浦村アサリ研究会』のみなさんと、代表の浅尾大輔さん(右から二番目)。
牡蠣のシーズンは冬であり、牡蠣養殖業者にとっては、夏は空いてしまうそう。
そのため、夏は他の地域に働きに出て、冬には戻ってくる人たちも多く、中にはそのまま牡蠣養殖を辞めてしまうケースもあるとか。

そんな状況を食い止めるために立ち上がったのが、『浦村アサリ研究会』。
メンバーは牡蠣の養殖業者や、その息子さんたち。

浅尾さん「若者でも地元で仕事をしたいという人は多いので、いずれはアサリ養殖が仕事として定着すれば・・・というの が狙いです」

研究会が実践する、全国でも珍しい、アサリの養殖方法。
特徴的なのは、まずアサリの稚貝が育つ場所を作ること。

ネットに白い粒と砂利を混ぜて入れ、それを波打ち際に並べます。
その数数百個。
そこに、海の中を浮遊する稚貝や卵が付着し、成長していくという仕組みです。

ここで重要なのが、山口恵さんと小林節夫さんが共同開発した『ケアシェル』と呼ばれる、白い粒。
実は浦村では、海の低質が酸性状態でヘドロ化し、アサリがほとんど採れなくなっていました。
このケアシェルは、アルカリ性のため、アサリが住みやすい環境を作り出してくれるのです。

原料は浦村で処分に困っていたカキ殻。
カキ殻をパウダー状にし、巨大なべに放りこみ、攪拌。
水酸化マグネシウムと水を適量加えて攪拌し続けていくと完成です。

処分に困っていたカキ殻から、アサリを育てるケアシェルへと生まれ変わりました。

波打ち際に一年間置いたアサリ。
通常アサリは1年で1センチほど成長。
しかし、『浦村アサリ研究会』のアサリは明らかにそれより大きいです。
ケアシェルがアサリの成長を促進させているんですね。

数ヶ月たった貝は、牡蠣のように筏へ。
海中に吊るす『垂下式』で育てられます。
理由は、干潮のときに塩が吸えないためと、より大きく身を成長させるため。
浜辺のアサリは形がずんぐりしているものの、身は薄いのだそうです。

究心と努力の賜物で、二年足らずでここまで大きくなったアサリ、出荷の日も近かったのですが・・・。

実は、東日本大震災のおりの津波で、ここ浦村も大きな被害に遭っていました。
筏が流され、アサリを養殖していた箱も転覆。
残ったのは七分の一だそうです。

しかし浅尾さんは言います。

「僕たちには一年やって結果を出しました。ということはノウハウは出来ているんです。
 今年から新たに頑張っていくつもりです!」

メンバーの夢とともに、今も浦村アサリはどんどん大きく育っています!
将来、浦村牡蠣に継ぐ、浦村の新たなブランド化を目指して・・・。
来年はきっと、この味と香りが多くの人の元へと届けられるに違いありません!!!

■(株)ケアシェル
  TEL 0599-26-2061