第4回「サルシカ隊長レポート」2011年7月

カヌー&カヤックを愛して止まない男、それがサルシカ隊の隊長オクダである!
しかしなかなかカヌー&カヤックに乗る機会を得られず、グギギギギギと歯ぎしりしてくやしがっているのもこの男である。
今回誰にも頼まれてもいないのにテレビの撮影に同行! いそいそとカヤックに乗り込むのであった!(笑)

国道42号を南下して紀北町に入ってすぐのところにあるのが、道の駅紀伊長島マンボウである。
ここの名物のマンボウの串焼きなんぞをほおばりながら、道の駅横の芝生をすたすたと歩いて進んでいくと、思わず「おお」と声をあげるほどの水面(みなも)が広がっている。

片上池。
護岸のせいで人工池にみえるが天然の池で、その昔は淡水であったが、いまから数十年前に海とつながり、海水が入り込んで汽水湖になっている。

その片上池のほとりにぽつりとたたずむのが、今回訪ねる「小山ハウス」である。

シーカヤックのステーションであり、地元食材を味わえるレストランでもある。
「で、つまりは何だ?」
と聞かれると返答に困るのであるが、
こちらの案内によると、「海の駅」とあるので、そういうことでご容赦願いたい(笑)。

そのまわりには、おおおおおおおおおお、さまざまなカヌーやカヤックが!!!

カヌーざんまいな日々を過ごすために三重に引っ越してきたにもかかわらず、なぜか山に暮らしてしまい、しかものんびりスローライフを送るつもりが、テレビだの雑誌だのWebだのと連日締切りに追われているワタクシにとって、まさに夢の楽園なのだ!!

うほほーい、と、ちょっと小躍りしたのだ(笑)。

今日はここで三重テレビの番組のロケが行われるのである。
隊長であるワタクシはその番組に「構成作家」としてかかわっているのである。
構成作家がロケ現場にくる必要性はまったくないのであるが、ワタクシはカヌーに乗りたい一心で、誰にも頼まれていないのにわざわざ泊りがけでやってきたのだ!

こちらが、小山ハウスの責任者の森田さん(写真左)とスタッフの紺野さん(写真右)。
二人は互いに支え合い、助け合う本当のパートナー。
詳しくは、近日中にアップされる予定のテレビ番組『ゲンキ!みえ!生き活きリポート』をご覧いただきたい。

ここでちょこっとだけ書いておくと、
森田さんはシーカヤックで日本一周をしたことがある強者。
そして紺野さんはあの震災を乗り越え、東北からやってきている強者。

しかし、
心も体も強靭な男たちの笑顔はとことん優しい。
そしてとことんひょうきんである。

さて、撮影準備のスタートである。
普段は何かにと理由をつけてすぐには動かないサルシカ隊長のワタクシであるが、
この日ばかりはいそいそと、

「あ、カヌー運ぶの!? いいのいいの、みんなは座ってて! ボクやるから!」

などと殊勝すぎる返答をし、後部にタイヤのついたカヤックをゴロゴロと引きずっていくのであった。

ちなみに、
この日乗るのは、シットオンカヤック。
上にちょんと乗っかるカヤックで、そのまわりに覆いなどはない。
濡れやすいが、その分安定がよく、たとえひっくり返っても船体が沈むことはないので安心なのだ。

ライフジャケットも借りて装着。
そしてカヤックの操作の基本を紺野さんに教えてもらう。

ワタクシはカヌー&カヤック経験者であるが、誰かに教えてもらったわけではないので、ここでしっかり基本を身につけてしまおうという魂胆。

この小山ハウスさんでは、まったくの初心者から体験OK。
カヤックはもちろん基本装備、そしてある程度のものは貸してもらえるので、ドライブの帰りにちょっと立ち寄る・・・ってことも極端な話可能だと思う。

いよいよ撮影の開始だ。

テレビ撮影の流れはこんな感じ。
まったく初心者の女性レポーターが、森田さんに教わりつつ片山池でシットオンカヤック体験。
それを撮影するカメラマンをスタッフの紺野さんが二人挺に乗せ、ワタクシは音声さんを二人挺に乗せて、被写体の二人を追いかける・・・・という構図なのである。

それにプラスして、こちらもまったく初心者の番組ディレクターがひとりで追いかけつつ演出するのだ。

遠目に見ると、いかにものんびりと水面を漂い、ゴキゲンじゃないか~って感じに見えるが、
実際は大変である。

なんたって女性レポーターは初カヤックである。
まっすぐすら進めないのだ。

レポーターが曲がると、それを追いかけてカメラが向きを変える。
すると、音声さんとワタクシが画面に写りこんでしまうので、必死に後ろに回らなければならないのだ。

少し距離がとれたら楽なのだが、あまり離れすぎると、電波が途切れて録音が出来ないのだ。
しかも音声さんは機材の操作で忙しく、パドルを握るのはワタクシのみ。

「あ~、奥田さん、どいてどいて!! もっと早く!!」
「ごめん、邪魔邪魔」

最初はディレクターもカメラマンもこんな感じであったが、だんだんと声が険しくなり、

「そこどけ! 邪魔じゃあ!」
「潜れ、ボケェ」

などと罵詈雑言を浴びせられる始末。
ワタクシはヒイヒイハアハア言いつつ、汗を滝のように流しながらパドルを振り続けたのだ。

「た・・・体力の限界・・・・」

浜に上がってもしばらく立ち上がれない隊長のワタクシ。

レポーターの女性は初カヤックを存分に楽しみ、最後は池に飛び込んで楽しんでいた。
小山ハウスのシットオンカヤック体験は楽しい。
それは間違いない。
しかし、それをタダで楽しもうと、撮影クルーに入り込んだりすると、トンデモナイ目に遭う。

ごめんなさい。
もうセコイ考えは捨てます。
次回は、ちゃんと体験します。
いや、させてください!!!(涙)

などと言いつつ、カヤックを降りるなり、水の中に入って魚とカニを追うワタクシであった。
懲りないのがワタクシの長所であり、強みなのだ。
わはははは(強がり笑)。

カヤック体験が終わったら、冷房の効いたレストランへ飛び込もう!

「ひやあああああああああ!」

テレビクルーもレポーターも森田さんたちも一様に声をあげるのが面白い。
幸せは身近なところに転がっているのだなあ(笑)。

カヤックで存分遊んでお腹がペコペコになったら、ここでがっつり腹ごしらえができる。
若い人たちにはカツカレーやマンボウカレーが用意されているし、ワタクシのようにちょっと油物は・・・というオッサンには、こんなメニューも!!

地元の干物を焼肉ロースターで焼いて、アチアチをハフハフで食べられるのだ。
ごはん何杯でもいけちゃうのだ。

ワタクシにとってここは幸せの楽園だ。
森田さんと紺野さんは人生の師匠だ。
いまの仕事がなくなったら、ワタクシはここに弟子入りする(笑)。

バカなことばかり書いてきたが、最後にもうひとつ幸せを書いておこう。
小山ハウスには、かき氷がある。
しかも中に寒天が入っている。
紀北町ではそんなに珍しいものではないらしいが、ワタクシは初めて!
しかも1杯200円!

じゃり、ニュル、キーン。
これがこのかき氷の幸せの擬音である(笑)。

小山ハウス。
いかがであるか。

シットオンカヤックの体験は、大人3500円から。
経験者にはいろいろなツアーも用意されている。

いきなりシーカヤックはちょっと・・・・という方は、まず200円のかき氷から体験するのだ。
幸せは、水面と風の向こう、そう、すぐそばにある。