平成26年3月。勢和多気インターから尾鷲北インターまでおよそ55キロ間において紀勢自動車道が全面開通した。
津市から尾鷲まで国道42号だと約130分かかっていたのが、紀勢自動車道を使うと約80分。驚くほど便利になった。
高速道路が開通して、並走する国道42号線沿いの地域はどう変わったのか。
サルシカ隊長の奥田は、相棒の写真師マツバラと共に国道42号線を南へとくだる旅に出た。
国道42号線の旅が続いている。
並走する紀勢自動車道の紀勢大内山ICを過ぎると、一気に交通量が減ってしまった。
飲食店、釣具店、ラブホテル・・・閉店してしまったところが目につくようになってきた。
国道42号で荷坂峠を越えるのは久しぶりであった。
峠の一番高いところにある駐車スペースに車を止め、眼下に広がる熊野灘を撮影する。
ここは有名な写真スポット。
天気がいいと真っ青な海とリアス式の海岸の入り組んだ様子がくっきりと見える。
続いて立ち寄ったのは、紀伊長島の漁港。
紀伊長島のFacebook友だちが、みんな一斉に「紀伊長島の港で燈籠祭の準備中!暑い!暑い!」とアップしていたのだ。
取材をしていたこの日は、7月24日。
そして翌日の25日土曜日が、紀北町の三大祭りのひとつである「燈籠祭」の開催日であったのだ。
今年の燈籠が船に設置されていた。
近くで見ても、その燈籠が何かわからない。
ドラゴンボールの悟空みたいなヘアスタイルをしているのにヒゲがあるし(笑)。
あとで聞いたところ、カツオ漁に出ている漁師をイメージしたものであった。
巨大な棒は、しなった釣り竿である。
この燈籠が光り、暗くなった紀伊長島の海に浮かぶのである。
そしてその上に花火が打ち上げられる。
祭りの本番は見られないが、燈籠をこんな近くで見られてラッキーであったのだ。
港近くの草むらでは、駐車スペースをつくっていた。
地域の若者総出で準備である。
作業をしていた人に話を聞いてたら、毎年2万人が集まってくるという。
駐車場の確保だけでも大変なのだ。
こちらは観客席づくり。
たぶん来賓のみなさんが座る場所をつくっているのであろう。
みんな手慣れた様子で、どんどん作業を進めていた。
後日聞いた情報によると、今年も燈籠祭は盛大に行われ、大成功であったらしい。
紀伊長島からさらに南下して、古里(ふるさと)地区に入る。
海水浴と温泉で有名なところで、小さな宿がいくつもあるのが特徴である。
その古里地区にある日帰り温泉に立ち寄る。
まだ午前中だからお客さんの姿はない。
テレビでも取材したことがある産直の店「ふるさと温泉市場」が営業していたので覗いてみた。
新鮮な野菜が並んでいる。
これから灼熱の中、まだまだ取材を続けるのでさすがにナマモノは買えない。
で、天然のてんぐさ(寒天の原料ね)を購入。
安かったのであるだけ買った(笑)。
お店の方とおしゃべりを楽しんでいたお母さん。
なんと今年100歳!!
まじで若い。
お店のお母さんにお話をうかがうと、やはり紀勢自動車道が開通してお客さんが減ったという。
「高速が(手前の)紀伊長島までしか開通してなかったときはお客さんが増えたんやから、これは順番やでね。
ぼちぼちがんばっていくしかないわさ」
みたいなことを言った。
てんぐさの代金を支払いつつ、「このてんぐさはふるさとの海で採れたの?」と聞くと、
「そうそう、まえの海岸に打ち上げられたんを拾ってきて干しただけやから、まじりっけなしの天然よ」
と、笑う。
いいなあ、古里では食材がまえの海に落ちているのだ(笑)。
気候にも自然にもめぐまれた地域である。
続いて古里海岸へと出た。
浜辺に人の姿はなく、管理人らしき若者がぽつんと・・・。
「きょうはずいぶん寂しいですねぇ・・・」とワタクシ。
若者の話によると、週末、しかも8月に入ると一気に人が増えてくるというが、彼も今年古里に帰ってきたばかりなのであまりわからないと笑った。
まあね。
お客さんにしてみれば、混雑してるより、のんびりできる方がいいに決まってるからね。
ここは「穴場」ということだ。
有料ではあるが、キャンプも可能である。
それにしても暑い。
そろそろ冷たいものでも食べて涼もうか。
というわけで次回へ続く。
写真/松原 豊