FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年8月22日放送

今回は『志摩ムービークルーズ』の会長、橋爪吉生さんがお客様。
地域主役型の映画を作るのが『志摩ムービークルーズ』。
1作目が『校歌の卒業式』、2作目は『校歌の卒業式~キボウノトビラ』。
どちらも本当に良い映画です。
橋爪さんたちが作った映画には、志摩に住む人たちの生活が見えてきます。

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■自主映画をつくったきっかけ

2年前に、私たちで自主映画を作りました。
というのは、66年間続いた我々の母校である、船越中学校が閉校することになったのです。
学校もなくなるし歴史もなくなる、子どもたちもいなくなるということで、虚無感にさいなまれていました。
そこで、映画を作ってみんなで元気を出そうと。
そして思い出を映画に封じ込めようということで、2013年に『校歌の卒業式』という映画を作りました。
時代を越えて、最後の在校生から卒業生まで共通しているのが『校歌』なんです。
それを口ずさんだ時に、フラッシュバックのように思い出が蘇る。
非常に良いではないですか。

そして実際に映画を作ってみたところ、意外と良いんですよね。
実際に中学校の校歌や校舎が、しっかりと映ってますし、フィクションでありながらドキュメンタリー的な感じが残っているところも良かったです。

地域の活力を生み出すにもとても良いと感じ、この動きを全国に広げたいというのが『志摩ムービークルーズ』の目的です。

自主映画を作るのは初めてだったので大変でした。
しかし船越出身の、同級生である山際くんが、『Always三丁目の夕日』のプロデューサーだったことで、力を貸してもらい、制作することができました。
一番大変だったのは、キャスティングや演出。
映画のほぼ99%が地元の人なので、みんなにお声がけをし、ご理解をいただく作業が非常に難しかったです。
また、実際の中学校を使うので、先生方や市の教育委員会の協力も必要でした。
そういった見えない部分が、意外ととても大変でした。

志摩市で行われた1作目の試写会には、なんと500人以上の人が集まりました。
普段、目にしている建物が映っていて、近所のおじちゃんやおばちゃんも出演しています。
どのシーンも船越のみなさんにとって、とても大切なものになりました。

 

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■地域の映画は、地域の復興に寄与できる

この作品を作ってみて思ったのは、映画が地域の復興に寄与できるのではということ。
今までは東京から来るものを受けていましたが、地域から発信しても良いのではないでしょうか。
みんなの想いを映像と音に乗せて、全国に発信するということ。
全国それぞれの地域が、発信するというのは非常に面白いと思うので、この活動を全国に広めていきたいですね。
その発信の元になっているのが、三重県の志摩市にある『志摩ムービークルーズ』だと知ってもらえたら。

そしてなんと、この9月6日に『賢島映画祭』を開催します!
どうなるのか・・・という不安ははありますが、とうとう映画祭をブチ上げてしまいました(笑)。
この『賢島映画祭』は普通の映画と違い、地域の方々が主役となった映画を集めて審査する、おそらく日本では初めての試みです。
偶然ですがサミットも決まったので、『賢島映画祭』でも全国から映画を募集したいですね。

伊勢志摩サミットが決まった時はびっくりしました!
賢島は『賢い』と書くので、「賢者が島にやってくる」という思いで『賢島映画祭』とネーミングしたのですが、まさか世界中の賢者たちが集うなんて、思ってもみませんでした。

 

■何かをやってきたという後姿を後世に見せたい

実は私も父親役で出演していまして、まさかDVDになって100年先まで残るなんて、思いもよらなかったです。
今までやってきたことの積み重ねの中で、こういっためぐり合わせがあるんでしょうけど。
映画や映像って残りますし、不謹慎ですが出演しているとなたかが亡くなっても残りますよね。
実際、中学校はなくなってしまいましたが、影像ではそのまま残っているんです。
ですから、半年後、一年後、10年後・・・見れば見るほど良いんですよ。
感動がずっと続きます。
見る方も、一人ひとりの思いが違いますしね。
単なる通過点で終わってしまうのではなく、その時に何かをしたという後ろ姿を子どもたちに残して行きたいです。
何かの時に、父親ががんばっている姿を思い出して、「僕らもがんばらないと」と、どんどん未来に続いていけば、素晴らしいですね。

 

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■映画は未来への橋渡し

今というか現在は、過去の積み重ねであり、努力があります。
そういうノウハウが影像や言葉として残って、それを見た将来の人たちが、復元するとか、より良くすることができれば、私たちは未来への橋渡しみたいな役目ができると思います。
夢はどんどん広がります。
今や地元だけでなく東京など、都心部とのネットワークもできてきていますし。
実は一作目は、さだまさしさんの娘である、ピアニストの佐田詠夢さんに音楽を全部担当していただき、さらに音楽教師役として出演もしてもらいました。
詠夢さん自身は三重県に来るのが初めてだったのですが、この映画を機にとても仲良くなり、志摩の良さもわかっていただいて、さらに東京で志摩の良さや三重県の良さを紹介してくれるので、とてもありがたいです。
映画を通して、そういう人がたくさん出てきました。
もう単なる地方からの発信ではなく、コラボできるというか、徐々に広がっていくのでは、という期待をしています。

最近では、全国から多くの問い合わせがやってきます。
私たちの町でも映画を作りたい。どのように映画を作っていけばいいのか?・・・という相談です。
地域の声を大切にし、地域の良さをふんだんに取り入れた、その町ならではの映画ができるよう、サポートしていきたいです。

実は『志摩ムービークルーズ』ではすでに3作目のオーディションが終わっています。
どんな映画になるか、楽しみにしていてくださいね!