三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート」2011年7月10日放送

荒廃した山をよみがえらせる事は、豊かな海を守り、魚や伊勢海老などの資源を守ることに繋がっている!
そのためにオレたちが山を守る!

海の幸、恵みによって多くの観光客を楽しませてきた鳥羽市。
が、ここ近年、鮑や伊勢海老などの海産物の漁獲高が減少しています。
その原因の一つとされているのが、山の荒廃。

荒廃した山は間伐されていないため、地面まで日が届かず、下草も生えていない状態。
腐葉土も流れ出し、土と石がむき出しとなっています。

この状態になると、山が水を蓄える力と地盤を守る力がなくなり、普段は水のない川がいったん降ると氾濫したり、大雨が降ると土砂崩れを起こしたりします。

そして土砂崩れは、土や枯れ枝を川へ流し、海へと流れでて、漁業に大きな被害を与えています。
豊かな海は、豊かな山によって育てられてきたのです。

そんな荒廃した山を再生させ、山と海を豊かにする取り組を行っているのが、『ODAWA創林』の皆さん。

小田さんたちが間伐をして手入れをした山林は、陽射しが入って明るく、下草が茂っています。
山を守っていくためには、作業を持続させていかなければなりません。
一度でも人の手が入った山は、その先ずっと人が手をかけていかないと育たないのです。
何年先にはさらに間引きを行い、良い木を育てながら・・・違う木を植えながら。
10年20年・・・何十年もかけて山を育てる必要があるのです。

山の手入れには欠かせない間伐。
『ODAWA創林』では、その間伐材を使った薪作りも行っています。
原料となる木は『ウバメガシ』。
実は備長炭になる原木で、伊勢志摩に多く繁殖しています。
特に伊勢志摩地方のウバメガシは火のつきの良さと、火の持ちが良いのが特徴だそう。

薪の作り方は、まずチェンソーで切り、山から運び出し、割る・・・そして1年以上乾かす。
時間と体力と根気のいる作業です。

こうして手間ひまかけて作られたウバメガシの良質な薪は、少しずつですが、地域で使われつつあります。
伊勢神宮のおかげ横丁にある食事処『すし久』でも、かまどにはウバメガシの薪を使用。
地元産の薪を使うことは、地元の自然環境を守ることにもつながり、生産者と連携することで自然の循環にもなるのです。

そんなウバメガシの薪は、ビジネスとして成功する可能性を秘めた農林水産資源として県から認定。
初の薪ブランドとして注目されています。
いま鳥羽市では、大切な観光資源を守るため、『森と海・きずな事業』をスタート。
山を守り、海を豊かにしようと動き出しました。

その活動とは、積極的に間伐を行い、切った木を活用。
バイオマス発電や薪ストーブ、炭焼・・・その他のさまざまな活用法やアイデアを募っているそうです。

山の再生。
それは果てしない時間と労力がかかる作業です。
しかしいずれ、下草が青々と茂り、水と養分をたっぷりと含んだ力強い元気な山が育ち、その山が、川を美しく、海を豊かに育てるに違いありません。

そう信じて、ODAWA創林のみなさんは山の手入れを続けているのです。